しんぶん赤旗 全国紙をも上回る取材力の秘密、編集局訪問

4月27日(木)7時0分 NEWSポストセブン

編集局に潜入(しんぶん赤旗のHPより)

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 日本共産党が発行する政党機関紙、しんぶん赤旗の特徴はなんといっても、全国紙をも上回る取材力にある。


 さかのぼること50年以上前の1966年、「田中角栄氏の秘書グループらが奇怪な河川敷買い占め」(日曜版)を特報している。今太閤と呼ばれた田中角栄氏を退陣に追いやる引き金となった立花隆氏の「田中角栄研究」が『文藝春秋』に発表される8年も前に、その金脈に触れる記事を掲載していたのだ。


 共産党の路線と赤旗のスクープが補完関係にあるのも興味深い。共産党が労働問題を追及していた2004年、赤旗は「極秘資料入手 ピンハネ月収の28%」(日曜版)と題して、偽装請負で働く人の実情を取り上げた。これをきっかけに偽装請負問題は大手有名企業にまで波及した。


 震災後に党が脱原発を強く打ち出すと、「九電が“やらせ”メール」(2011年)で、九州電力玄海原発の再稼働に向けて九電が関係会社に再稼働賛成の投稿を依頼していたことを暴露した。


 昨年は、「稲田防衛相 3年間で520万円 疑惑領収書『白紙』で受領認める」(日曜版)で、白紙領収書で政治資金を使う慣習を告発。いずれも全国紙が後追い取材を余儀なくされ、国会でも赤旗の記事を追及材料にした論戦が行なわれた。


 全16ページの紙面はどうやって作られているのか。渋谷区にある共産党本部にほど近い建物にある赤旗の編集局を訪ねた。赤旗を印刷する別会社のビルを間借りしていて、下の階には「1時間に11万部の印刷能力」の高速輪転機もある。赤旗の小木曽陽司編集局長が答えた。


「日曜版の40人を含めて記者は約300人います。東京本局に約250人で、札幌、仙台、東京、長野、名古屋、大阪、広島、福岡、沖縄に総局・支局があります。北京、ハノイ、カイロ、パリ、ワシントンの5か所に特派員がいます」


 4月13日付の国際面トップ「トランプ氏 対北単独行動を示唆」と、準トップの「G7外相会合 具体策出せず閉幕」は、それぞれワシントン発とベルリン発の“自前原稿”だ。全国紙並みの取材態勢である。


 赤旗編集局は、党中央委員会内の組織で、記者は全員党員だ。多くの記者が赤旗一筋の人生だという。編集局全体で20代の割合が7%しかいないために、最近は若手記者の募集に力を入れ、応募条件の党員歴を3年から1年に短縮した。


 紙面の題字回りのレイアウトが、どことなく読売新聞に似ているのは、「1945年に起きた読売争議で読売を辞めた人が赤旗に来て、編集の中心を担ったからだと聞いています」(小木曽編集局長)。業界紙、専門紙からの転職組もいるという。


 ある全国紙の政治部記者は、赤旗を「情報源でありライバルである」と言う。


「赤旗は大手紙に先んじたスクープを放つので、ほとんどの新聞の編集部に置いてあり、記者たちも常に抜かれていないか、チェックしています。現場でも熱心な記者に遭遇します」


 大手紙を出し抜くスクープが多い理由について、小木曽編集局長は、


「私たちの立場は反権力だけで、タブーがないからです。広告や権力との癒着はなく、何でも書けることを記者たちも実感しています」


 加えて、盤石の体制もスクープの秘訣だと言う。


「記者のほかに全国に共産党の地方議員が3000人弱いるなど、私たちの強みは組織力。大きなテーマは調査報道チームを作ってノウハウも蓄積している。政治資金報告書などの資料を読解する力に長けたベテランもいます。


 記者の担当をあまり変えないので、専門記者が多いという面もあります。都政担当記者はもう30年ほど担当を続けている記者です」(同前)


 現在話題の豊洲問題も、赤旗は「豊洲新市場室内汚染 発がん物質ベンゼン」(昨年8月5日付)など他紙に先駆けてスクープを連発していた。次に狙っている“火種”は何だろうか。


※週刊ポスト2017年5月5・12日号

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