『月がきれい』4話 リアルな恋愛がはじまると、文学や太宰治はどこかへ行ってしまう中学生男子

4月28日(金)16時0分 おたぽる

『月がきれい』公式サイトより

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──ファンタジーなし、バトルなし、温泉回もサクッと終わらせる、ウブな中学生同士のムズキュン恋愛アニメ『月がきれい』を、地味アニメ好きのライター・大山くまおが全話レビュー。期待した君が間違っているとは言わないぞ。


■前回ラストで早くも告白! 続きは?

 川越市の中学3年生、文芸部の安曇小太郎(演:千葉翔也)と陸上部の水野茜(演:小原好美)。同じクラスになっても言葉を交わすことがなかった2人がお互いのことを意識し合うようになり、前話のラストでは小太郎が茜に告白! 続きはどうなった?

 結論から言うと、特に進展してませんでした。思いきって告白した小太郎だったが、茜のリアクションは「付き合うってよくわかんないし」というもの。まぁ、小太郎だってよくわかってないと思う。すぐにラブラブにならないのがこの2人らしい。

 一方、永原(演:広瀬裕也)と節子(演:鈴木美園)のカップルのほうは、同じ中学3年生だけどセックスもしっかり経験済。恋愛系のハウトゥー記事にはあまり書かれていないが、実は恋愛の速度は人それぞれなのだ。


■恋をすると太宰どころじゃ

 第4話は修学旅行回。行く先は京都。だけど、意外と持ち物チェックは厳格にやるんだね。スマホも教師に見つかったら即没収。いまどきスマホがないと、待ち合わせとか大変なんじゃない? と思っていたら、それがBパートへの伏線だった。

 修学旅行ではしゃぐ感じは、男子も女子も筆者が中学生だった30年前とほとんど一緒。小太郎の友人の小笠原(演:金子誠)が「トランクスからボクサーパンツにデビュー」と自慢げに言っていたが、かつては中3の修学旅行でブリーフからトランクスにデビューする男子が多かったような気がする。

 夜になると女子たちは恋バナに花を咲かせ、イケてる男子たちは女子の部屋へ。小太郎たちがまったく女子の部屋へ行く素振りがないところも“らしい”感じ。でも、小太郎はLINEで茜を自由行動に誘う。小太郎、恋愛はチャンスじゃなくて意志であるという太宰治の教えをちゃんと守ってる。

 面白いのが、恋愛の真っただ中に放り込まれた小太郎が、まったく文学や太宰について語らくなったところだ。それどころじゃないよね〜。あるある。


■ベタすぎることはやらないスタッフの心意気

 LINEを送ったのも束の間、小太郎のスマホは教師に見つかって没収! 細かな打ち合わせができないまま、茜は友人たちに連れられて出て行ってしまい、小太郎も友人たちと行動をともにする。これって、大人になってもたまにある。友人との付き合いを断り切れず、恋人(あるいは夫、妻)との約束にずるずると遅れてしまう……。バシッと言える人は言えるだろうし、何歳になっても言えない人は言えないのだ。

 スマホがないので連絡がとれず、すれ違ってしまう描写は非常にリアル。公衆電話から連絡しようという発想もなく、それどころか小太郎は茜の電話番号さえ知らない。ただ、それ以前に小太郎は友人たちを振り切って出てこれなかったようで、待ち合わせに明らかに遅刻している。これは初デート(?)には痛い。

 でも、ここで小太郎はあきらめない。ズブ濡れになりながら、千夏(演:村川梨衣)を見つけて、思い切って茜に連絡を取るように頼むのだ。ここでもまた思い切ったぞ、小太郎。そこに至るまで、千夏と小太郎の接点を幾度となく作っておいた脚本の細かさがニクい。ちょくちょく話すような間柄じゃないと、こんなことは頼めないわけだから。

 なんとか連絡が取れたけど、茜はブンむくれ。小太郎が待ち合わせに遅刻したこと、何も知らない場所でひとりきりにされた心細さ、楽しい修学旅行なのに「待つ」だけというつまらなさ……茜はいろいろな感情がないまぜになっていただろうけど、千夏と親しげに話していた小太郎を見て、自分の気持ちにはっきりと気付いたようだ。

「もっと、しゃべりたい。安曇くんと……」
「それって……返事」
「うん……」

 自分の気持ちに素直になれれば、大切なものをこぼさずに掴むことができる。茜はきっと素直な子なんだろうなぁ。そして通り雨はあがって青空が見えた。典型的な「雨降って地固まる」だけど、ラストでうかつに虹とか出しちゃわないところにスタッフの心意気を見た。こういうモジモジするドラマは演出がベタすぎると辛くなる。最後の茜の「うん……」という返事の音も、なんとも言えない響きだった。
(文/大山くまお)

おたぽる

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