4月15日から5月14日は「みどりの月間」“緑の募金”で森林づくりを支援する国土緑化推進機構の活動に注目
2025年4月28日(月)6時0分 TOKYO FM+
4月20日(日)の放送では、公益社団法人 国土緑化推進機構の常務理事 今泉裕治(いまいずみ・ゆうじ)さんがゲストに登場。4月15日(火)から5月14日(水)まで実施される「みどりの月間」にちなんで、森林の役割や保護の重要性を伺いました。

(左から)パーソナリティの川久保秀一、今泉裕治さん、横田香峰
<今泉裕治さんプロフィール>
大学で林学を学び、林野庁に入庁。国内の森林や木材に関する政策だけでなく、国連食糧農業機関(FAO)への派遣など国際関係の仕事も多岐にわたって経験。林野庁を退職後、2024年に国土緑化推進機構の常務理事に就任しました。
◆国土緑化推進機構の活動に注目
森林は、生物にとってなくてはならない緑と水のふるさとです。しかし、都市開発や過度な伐採により世界的に森林が失われつつあります。
5月4日の「みどりの日」は、自然に親しみ、その恩恵に感謝し、豊かな心を育むことを目的とした国民の祝日です。また、毎年4月15日から5月14日までは「みどりの月間」として、緑の大切さを伝えるとともに、環境保全への意識を高め、持続可能な社会の実現を目指す期間とされています。今回の放送では、「国民参加の森林づくり」を推進する公益社団法人・国土緑化推進機構の取り組みと、森林の果たす役割に注目しました。
国土緑化推進機構のはじまりは、1950年の国土緑化推進委員会の結成です。「当時、日本の各地では森林の木が切りつくされてしまっていて、多くのはげ山が広がっていました。台風や大雨が来るたびに都市部では洪水があったそうです。そういったことから国をあげて国土を緑化していこうということで、委員会が設立されました。その後、組織が法人の形態になったり名称の変更などがあり、現在に至っております」と今泉さんは経緯を説明します。
国土緑化推進機構の主要な活動のひとつが「全国植樹祭」です。1950年から毎年、天皇皇后両陛下のご臨席のもと、全国各地の緑化関係者らが集まり、両陛下によるお手植えや参加者による記念植樹がおこなわれています。この行事を通じて、国民に森林への愛着と関心を育むことが目的です。さらに、全国植樹祭を開催した都道府県では、同機構と開催県の共催による「全国育樹祭」が毎年秋に実施されています。
また、1950年から始まった「緑の羽根募金」は、平成7年の「緑の募金法」制定後、「緑の募金」として継続。ボランティアによる森林づくりを支える活動として発展してきました。
「そのような活動を通じて、子どもから大人まですべての国民のみなさまに国土緑化運動に参加していただこうということで、国民参加の森林づくりを展開しております」と今泉さんは解説しました。
◆森林のさまざまな働きを知ろう
森林は、山地災害の防止、二酸化炭素の吸収、生物多様性の保全など、さまざまな役割を担っています。一方で、都会で生活をしていると、日常で森林がどう役立っているのかを意識する機会は少なくなっています。
今泉さんは森林の役割の一例として「水道水」を挙げます。日本では水道の蛇口をひねるといつでもおいしい水が出てきますが、これは世界のどの国・地域でも同じというわけではありません。「たとえば、東京都の水道局では、奥多摩方面と山梨県側に広大な水道水源林を所有しています。綺麗な水を都民の方に供給するために森林を管理しているんですね」と言います。
森林は、降った雨を地中に蓄え、自然に浄化しながら、少しずつ川へと流していきます。健全な森林があることで、雨の多い時期は洪水を防ぎ、少ない時期でも安定した量の水を育むことができます。これにより、下流にある田んぼや畑などの農業をはじめ、工業や商業、さらには漁業にも大きな恩恵をもたらしています。「全国各地の漁業関係者のみなさんが上流の森林を守るため、植林の活動などを一生懸命続けていらっしゃいます」と今泉さん。
近年では、地球温暖化対策の観点からも森林の重要性が見直されており、また、地域ごとの文化や暮らしと結びついた森林も数多く存在しています。今泉さんはリスナーに向けて「ぜひ、お住まいの地域と森林との関わりや、森林が役立っているのか調べていただけるとありがたいです」と呼びかけました。
◆緑の募金と使途限定募金の違いは?
国土緑化推進機構は春と秋に実施される「緑の募金」や、災害によって失われた森林の再生を目的とする「使途限定募金」などの活動もおこなっています。これらの募金は、国内外の大切な森林を守り、育てるために役立てられています。
具体的には、「緑の募金」は森林ボランティア団体などによる森づくり活動への助成のほか、普及啓発活動や人材育成にも使われています。「森づくりの大切さを知っていただくための普及活動にも活用していますし、次世代へ活動をつなげていくための人材育成にも力を入れています」と今泉さんは説明します。
そして、災害時に森林の保護や被災地支援をおこなうための「使途限定募金」は、2011年東日本大震災の際に初めて生まれました。「東北から関東まで広い範囲で津波により森林が破壊され、多くの住民や企業の方々が復興に向けた活動に取り組まれました。そうした方々を募金によって支援しました」と述べます。
ローソンやファミリーマートなどのコンビニエンスストアには、「緑の募金」の募金箱が設置されています。なお、「使途限定募金」については別途、振込での対応が必要です。募金方法の詳細は、国土緑化推進機構の公式ホームページで確認できます。
インタビューを終えた川久保は、「コンビニに立ち寄った際は、ぜひレジ横の募金箱にも目を向けてみてください。お釣りを入れるなどして、小さな一歩から始めることができます。私も募金しようと思います」とコメントしました。
<番組概要>
番組名:ロコラバ-LoCo Lovers-
放送日時:毎週日曜日 11:00〜12:30
パーソナリティ:川久保秀一、横田香峰(アシスタント)
番組Webサイト:https://musicbird.jp/cfm/timetable/loco/