ドラマもCMも…いまや芸能界はダンス必修の時代に

4月29日(土)7時0分 NEWSポストセブン

ダンスCM激増中(公式HPより)

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 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が独自の視点で最新芸能ニュースを深掘りする連載「芸能耳年増」。今回は、激増しているドラマやCMでの“ダンスシーン”を分析。


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 長きにわたり蓄積された抱負なデータと知識でCMを分析しつづけている『CM総合研究所』(東京・港区)発刊の『月刊CM INDEX 2017年4月号』。


 毎月発表される各業類のCM好感度ランキング中、“衣料”で3位にランクインしているのが『ジーユー/GU』「モリ袖・ヌキ襟ダンス」篇だった。


 出演しているのは、契約社数9社と、“CM美少女”の代表的存在の中条あやみ内田有紀。MCハマーの曲をBGMに、袖にボリュームのある「モリ袖」シャツの中条と、襟を抜いて着ることができる「ヌキ襟」シャツを着た内田が軽やかなステップで”技あり“な商品を訴求する。


 続編ともいうべき、「パラッツォパンツ」篇のBGMは、スキャットマン・ジョン。両篇とも「クリエイターの“世代”がわかる」という視聴者の感想も多いが、それよりも目がいくし、話題なのは、中条と内田による軽やかなステップだろう。


 今年3月に公開された映画『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』の撮影で、ダンスをみっちり叩き込まれた中条に“心得”があるのはわかるが、内田のプロフィールにあるのは「フェンシング」と「器械体操」。運動神経がいいのと、ステップやキメポーズとは「似て非なるもの」だと私には思えたものだ。


 ところが、165㎝と、比較的長身な内田が出演したダンスCMは、若い中条に決して引けを取らない出来栄えなのである。


 思えば内田有紀は、『ドクターX〜外科医・大門未知子〜』(テレビ朝日系)最新シリーズで、主演の米倉涼子と共に、『水戸黄門』(TBS系)の由美かおるよろしく入浴シーンに出演し、脚線美を披露していた。


 今回、『GU』のCMでも、そのスタイルの良さや手足の長さは十二分に発揮され、大きなステップや派手なキメポーズを、より視聴者に印象づけた。


 ファストファッションを利用するのは若者がメインだった時代も今は昔で、40代、50代も頻繁に店を訪れている。アラフォーで、気取らないキャラクターながら、若々しく美しい内田有紀に中条あやみと同じステップを踏ませたことで、大人の来店も促し、おしゃれ感をアピールすることにも『GU』は成功したと言えよう。


 中学でダンスが必修化されたり、多くの若者がヒップホップダンスを得意としていたりするなか、CM界では“ダンスCM”が激増。


昔は「一度見ただけでマネができる」ダンスやポーズが商材の知名度を上げることに一役買っていたものだ。が、いまは、「一度見たぐらいではマネができない」レベルの高いプロ風のダンスが採用されることが多い。


 理由は、カッコイイ作品に目を奪われた視聴者が、YouTubeで検索し、何度も何度も再生するから。その再生回数はすぐに話題となり、朝帯や昼帯の情報番組でネタにされることも多い。


 さらには、「踊っているのは誰?」「振り付けたのは?」と、昔なら、件の『CM INDEX』を始めとした業界誌にしか記されないような“プロ”の名前やプロフィールが、すごいスピードで取り上げられる。


 いまオンエア中の作品で圧巻なのは、『ポカリスエット』の「踊る始業式」篇だろう。水を抜いたプールで制服姿の男女による群舞が印象的な作品だが、WEBでは文字通り、始業式シーンから始まるロングバージョンが見られる。


 中条あやみや内田有紀のように、“ダンスCM”に出演することで、「踊れる」「うまい」と、ファンの層を新たに広げるモデルや女優、俳優も多い。


 かつて、佐々木希と『ロッテFit’s』のCMで「噛むんとフニャンフニャン…」とキュートに踊っていた佐藤健は、当時は、佐々木と共に「カワイイ」という評価だったが、現在オンエア中の『クラシエホームプロダクツ ナイーブ』「ダンスショータイム・リラックス」篇では、ダンサーを従えて華麗に踊っている。


 思えば、同CMに途中から加入したのは渡辺直美だった。“和製ビヨンセ”といわれた時代から彼女が大きくステップアップしたのは、やはりそのダンスのうまさだった。


 渡辺が尊敬するのはナインティナインの岡村隆史で、理由は「誰にでもわかる動きや顔で面白さを追求しているから」だというが、その岡村も、『吉本印天然素材』時代からダンスのうまさには定評があった芸人だ。


“天素”は、あの夏まゆみ氏の指導を受けていたこともあり、メンバー全員に“心得”があるのだが、特に雨上がり決死隊の宮迫博之やFUJIWARAの藤本敏史、そして岡村がダンス名人。彼らもまた「踊れる」ことで、その仕事の幅を広げてきた。


 CMや、お笑いだけではない。「踊れる」ことは、連続ドラマでも“役に立つ”。そう、エンディングの“恋ダンス”が視聴率アップの一因にもなっていた『逃げるが恥だが役に立つ』(TBS系)を思い出していただきたい。


 キャストが次々登場するエンディングで、もっともキレッキレなダンスを披露していたのが古田新太だ。少々のレッスンでは完コピできない「プロのためのダンス」といわれた“恋ダンス”を涼しい顔で踊っていた古田。


 長年、舞台で鍛えてきた軽やかな身のこなしとダンスの腕前は、『あまちゃん』(NHK)で「太巻さん」=元ダンサーのアイドルプロデューサーを演じたときにも発揮された。劇中歌『暦の上ではディセンバー』の振付師が、「実は古田さんがいちばんうまい」と評価し、覚えの速さにも驚いていたとも聞く。


 その古田は『大和ハウス』の「ベトナムにも」篇で10名ほどのプロダンサーのセンターでキレッキレのダンスを披露したことも。「踊れる」ことが仕事を広げた典型ともいえる。


 若手女優では、“踊れる”土屋太鳳が、Sia(シーア)のMVで圧巻のダンスを披露したのをきっかけに、『NHK紅白歌合戦』で郷ひろみのバックを務めたり、西武鉄道のCM「ちちんぷいぷい2017春夏」篇ではパパイヤ鈴木振付のコミカルなダンスを踊ったりと、明らかに仕事の幅を広げている。また、窪田正孝のようなイケメンや加藤諒のような個性派若手俳優らのダンスも「うますぎる」とファンの間では話題だ。


“恋ダンス”大ヒット以降、「踊るドラマ」は激増し、夏に向けて「踊るCM」の新作も増えつつある。中学校のみならず、芸能界でも「ダンス」は「必修」という時代がやってきた。

NEWSポストセブン

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