越乃リュウ「宝塚男役時代、私服でもかっこいいを求め続けていた。卒業後は女性に戻ろうと、ゼロに戻って洋服選びを始めてみると…」
2025年4月30日(水)12時30分 婦人公論.jp
写真提供:越乃さん 以下すべて
100年を超える歴史を持ちながら常に進化し続ける「タカラヅカ」。そのなかで各組の生徒たちをまとめ、引っ張っていく存在が「組長」。史上最年少で月組の組長を務めた越乃リュウさんが、宝塚時代の思い出や学び、日常を綴ります。第97回は「元男役の洋服事情」のお話です。
(写真提供:越乃さん 以下すべて)
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前回〈宝塚の演出家・谷正純先生の早すぎる旅立ち。一番覚えているのは「とにかくお前は動くな!」と言われ続けた『ジャワの踊り子』。厳しくも愛のある先生でした〉はこちら
レディースサイズがなかなか合わず…
昔から着る服に苦労していました。
背が高くガッチリ体型。
レディースサイズがなかなか合わない人でした。
宝塚に入ると、男役の先輩達はメンズサイズの服を着ていました。
なんと!メンズものという手があったのか!
若い頃の私は、目からうろこの状態でした。
街へ出て試着をしてみれば、シンデレラフィットとはまさにこの事かと思うほどにピッタリ!
私のサイズの洋服はここにありました。
これからは迷いなくメンズで探せばいいんだ!
嬉しい発見でした。
以降、阪急メンズ館(現:阪急メンズ大阪)が私の行きつけの店となりました。
ずっとかっこいいを求め続けていた
男役時代の洋服選びのポイント
男役は、舞台を降りても夢を壊さないように普段からパンツスタイルで過ごします。
洋服やバック、小物に至るまで、かっこいいものを選んでいました。
男役時代の洋服選びのポイントは、ラインでした。
舞台で培ったスーツの着こなしから、ジャケットとパンツのラインやシルエットには強いこだわりを持っていました。
色や柄が気に入っても、ラインが美しくなければ却下。
ジャケットは、肩幅に合わせると胴回りが大きすぎて綺麗に見えないので、バランス優先でした。
パンツの理想は、後ろ斜めラインでしたが、それは高い靴を履いたときに、より綺麗に見せるための宝塚だけのものだったようです。
市販の服をお直しする度に、宝塚の衣装部さんの技術を知ることとなり感服していました。
ずっとかっこいいを求め続けていた男役時代でした。
宝塚卒業後の洋服選び
やがて宝塚を卒業し、女性に戻る時がきました。
もうメンズの服からは卒業しよう。
スカートの1枚も持っていたいし。
またゼロに戻って私の洋服選びが始まりました。
そんな中、知人から教えてもらって大好きになったヨウジヤマモト。
黒をベースにしたモードデザインがとても素敵で、性別関係なく着られる感じで、かなり買い揃えました。
ところが毎回ヨウジヤマモトの洋服を着ていると、いつも同じ感じで変化がないと母から指摘が…。
よし、久々に色物を着てみよう。
今度は明るい色物を求めての洋服選びが始まりました。
もうメンズものには袖を通さない。
洋服を買いに行くたびに呪文のように自分に言い聞かせていました。
ところが、素敵だと思えるものは、肩がきつい、袖が短い、丈が足りない、入らない。
やはりサイズの問題が…。
こういうものが欲しいとイメージはあっても、なかなか欲しいものに出会えません。
洋服選びはいつだって大変です。
お直しなしでぴったりだったメンズスーツ
ジャストフィットするのは
先日、気に入ったブラウスを見つけました。
試着をしてみれば、私のために誂えたかのようにジャストフィット。
あぁ、やはりここなのね…。
阪急メンズ館。
お別れしたはずのメンズもの。
最近はメンズものもユニセックスになっているから…という言い訳をしながら、私の洋服選びの旅は続くのでした。
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