フジ、「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を宣言 制作部門の組織を解体・再編へ
2025年4月30日(水)17時25分 マイナビニュース
フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングス(フジHD)は30日、再生・改革に向けた具体的な強化策を発表した。
80年代からの同局躍進を象徴するキャッチコピー「楽しくなければテレビじゃない」からの脱却を宣言。「放送法の原点に立ち返り、公共性をもって社会に貢献できる企業となり、社会の公器としての役割を果たします」とした。
これに伴い、「楽しくなければテレビじゃない」が社内の一部で過度に重視した風土が根付いていたことを受け、編成局、バラエティ制作局などの制作部門の組織を解体・再編。同局は80年代初頭、外部プロダクション化していた制作部門を編成局傘下に置く組織改革を実施することで長年にわたり視聴率三冠王を維持するなど躍進したが、ここから大きな方向転換を図ることになる。
また、行動指針をゼロから見直すべく、「リブランディング・ワーキング」を立ち上げ、次世代を担う中堅若手の声を吸い上げるとしている。
さらに、編成・制作がキャスティングをする側、アナウンサーがされる側、という従属的な関係性が一連の問題を生んだと認識に立ち、アナウンス室を編成・制作部門から独立させる。番組との調整役を果たす「コーディネーター制度」を創設し、番組への起用方法、マネジメントの流れを見直すとした。
こうした組織改編に合わせ、法務、コンプライアンス、総務、人事、財務・経理などのコーポレート機能・部門を集約・強化。制作部門をはじめとする各部門への管理を徹底し、再発防止を徹底する。
一方で、SNS・誹謗中傷対策・メンタルケア対策も強化。訴訟も含めた誹謗中傷対応策をSNS対策チームで検討し、ひとりひとりに寄り添った対策を実施。メンタルケア体制も、アナウンス室のために別途構築する。
ほかにも、役員の指名プロセスや人材配置の透明性が低かったことを踏まえ、相談役・顧問制度を廃止するとともに、役員定年制を厳格化し、在任期間の上限を設定。具体的に、フジの代表取締役は70歳、常勤取締役は65歳、執行役員は65歳を定年とし、社外取締役の在任期間上限は8年、社外出身の監査役の上限は8年とする。日枝久氏が、40年以上にわたり取締役を務めたことに批判を受けたが、特定の個人に長期間権限が滞留しない仕組みを構築する。
そして、次世代の経営人材を育成するためのサクセッションプラン(後継者育成計画)を導入し、事業の継続性・持続的な成長を実現するとした。
【編集部MEMO】
総務省は4月3日、フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスに対して行った行政指導で、人権・コンプライアンスに関する対応の強化策の具体化について、「4月中に、国民視聴者及びスポンサー等の関係者に対してその内容を明らかにするとともに、総務省へ報告するよう」要請していた。