『徹子の部屋』に夫・勝野洋さんと登場、キャシー中島さん「2度の皮膚がんを乗り越え、キルトを生きがいに。右目の下の赤いできものに、怖くて病院に行けなかった私の背中を押した息子の言葉は」
2025年5月1日(木)11時0分 婦人公論.jp
「背中を押してくれたのは、『顔にちょっとくらい傷ができても、ママはチャーミングだから大丈夫だよ』という息子の言葉でした」(撮影:宮崎貢司)
2025年5月1日の『徹子の部屋』にキャシー中島さん夫の勝野洋さんと出演。食事や寝室問題など、夫婦二人の生活について語ります。そこで、キャシー中島さんが自身の闘病と家族の支えについて語った『婦人公論』2024年6月号の記事を再配信します。
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キルト作家としても多忙なキャシー中島さんは、40代のころから指の腫れや痛みに悩まされてきた。年齢のせいと考えて放置していたが、50代半ばでようやく受診を決断。更年期以降の女性に多いヘバーデン結節とわかり、25年も症状とつきあっているという。そして、60代半ばに、顔の皮膚の異変に気づく。不安に陥っていた彼女を病院に向かわせたきっかけは——(構成=村瀬素子 撮影=宮崎貢司)
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<前編よりつづく>
小さな赤い点を発見!怖くて病院に行けず
じつは64歳のときに、皮膚がんも患いました。ある日、右目の下に赤い小さなできものを発見して。肌の炎症かしら、そのうち治るだろうと思っていたら膨らんできてしまいました。かさぶたになり、取れて、またかさぶたに……と、徐々に大きくなっていったのです。
娘(アーティストの勝野雅奈恵さん)が、インターネットで調べて「ママ、それはよくないものかもしれないから病院に行って」と言ってくれたのですが、なかなか勇気が出ません。
もし皮膚がんだったら、顔の皮膚をガサッと取ってしまうのかしらと不安になったのです。一方で、「いや、単なる皮膚炎。がんのはずはない」と否定する気持ちもあって、しばらく病院に行けませんでした。
それで、このときも2年近く放置してしまい、赤いできものは5ミリぐらいの大きさに。さすがに病院に行くべきかと悩んでいたとき、背中を押してくれたのは、「顔にちょっとくらい傷ができても、ママはチャーミングだから大丈夫だよ」という息子(手芸家の勝野洋輔さん)の言葉でした。
診断の結果は基底細胞皮膚がん。転移しにくいがんなので、手術してもそんなに切らないから大丈夫ですよ、と医師に言われましたが……実際はやはりショックでしたね。直径が1.5センチ、深さ1センチほど皮膚をえぐり取られましたから。
「顔に大きな傷ができちゃったな……」と涙がこぼれました。でも、縫わないで自然に皮膚が回復するのを待ったおかげで、傷痕は残りませんでした。
結果論ですが、もっと初期段階で病院を受診すればよかったという後悔はあります。赤い発疹をがんだとは思っていなかったので、肌を整えようと思ってフェイシャルエステに通ったりして、悪化させちゃったかなと考えたりしますね。
じつは、その5年後にも、再び皮膚がんを発症。最初の手術以降は定期検診を受けていたので、このときは早期発見できた。ちょっと赤みがあるだけの小さながんでした。
私にはアイルランド系アメリカ人の父の血が流れています。体質的に色素が薄く、皮膚がんになりやすいそうです。そういう情報も得ていましたし、2回目なので1回目よりはショックが少なかった。
ただ、がんができた場所が鼻の横。手術後に縫う必要があって、鼻の右横から頬にかけて、縦長に20針以上も縫ったのです。太い糸でパッチワークを施したような顔を鏡で見てギョッとしましたけど、「先生、縫い方が上手ですね。キルトやりませんか?」と冗談を言えるくらい、落ち着いて受け止められました。
よ〜く見ると、縫ったところはちょっと色が違うけれど、私、化粧が上手なので、ほら、ほとんどわからないでしょう?(笑)
心を癒やしてくれるキルトと睡眠
指と顔に思いがけない病気を患ったことで、健康管理の意識は高まりました。年に1回の人間ドックに加えて、3ヵ月ごとに大学病院で皮膚、目、腰を診てもらっています。目はまだ問題がないうちに、白内障のチェックをはじめて。
腰は一昨年、仕事中に腰痛で動けなくなり、検査したら、腰椎の間が少し狭いということでした。腰痛改善には「筋肉をつけることが一番」と医師に言われたので、朝起きると腰痛体操をして、一曲踊るのが日課(笑)。膝を高く上げて腰を動かしながらダンスをして筋肉を鍛えています。
日常生活で気をつけているのは紫外線。若いころは日差しなんて気にしませんでしたが、紫外線が白内障の原因にもなるそうなので、運転するときやウォーキングするときも帽子とサングラスは必需品です。
それと、万病のもとであるストレスをためないことも大事ですね。私の座右の銘は「まっ、いいか」。
悩んでも解決しないときは、気持ちを切り替えて「次に進もう」と前を向く。心身が疲れていたら、とにかく寝る(笑)。「寝れば復活する。明日は違う朝が来る」と自分に暗示をかけて床につきます。
幸いなことに、昔からキルトを縫うときは指が痛くならないのです。針を持って布に刺して抜く作業には何の支障もありません。ただ、いまも右手の親指が腫れていて、大量の生地をハサミでカットしていると痛くなる。
そういうときは、洋輔に手伝ってもらいます。そうそう、痛いときは我慢せず、周りに助けを求めることも大事ですね。
体調の変化を見逃さないように
病院で検査を受けたあと、結果が出るまでは不安ですよ。そういうときでも、無心にひと針ひと針縫っていると心が落ち着くんです。私のキルト教室に通う生徒さんはみなさん、創作が好きな方ばかり。そんな仲間と針を運びながら、みんなで世間話から病気の話まで何気ないおしゃべりをすることも心にいい作用をもたらす気がします。
私が明るく生きられるのは、キルトのおかげね。キルトは、生きがいであり、最高の癒やしでもあるのです。
うちは、次女の家族と三世代同居です。家族それぞれがお互いの様子を見ていて、気遣うようになった気がしますね。いつも傍にいるから、ちょっとした変化もわかる。
たとえば、夫(俳優の勝野洋さん)が椅子から立ち上がるとき、いつものような勢いがないなとか、寝ているときに咳をしていたな、とか。お互いに「大丈夫? 苦しくない? 先生に診てもらう?」と促します。まるで家族がお互いのナースみたいな存在ですね。
勝野は九州男児で体も丈夫で、お酒も強い。でも彼も70代、もう若くないですから、飲みすぎると体調が心配。それでお願いしたの。「お酒をたくさん飲んだ翌日のあなたは素敵じゃなくなる! 私の好きなあなたでいてほしいから適量にしてね」と。以来、1日2合までしか飲みません。
彼も「今朝、ダルそうだったけれど、体調は大丈夫?」と聞いてくれたりしますが、私は「大丈夫!」が口ぐせ(笑)。でも、娘に言われました。「ママが早口で『大丈夫!』って返事をするときは、大丈夫じゃないときね」と。鋭いなぁと感心しました。
この間も、「ママ、最近楽しそうじゃないわね」と言うから、「そう? 自分では気がつかなかったわ」と返したのですが、「いつもと表情が違う。悩んでいるならよくないわ。気をつけて」と。
たしかに、そのとき仕事のことで悩みを抱えていて、普通にしているつもりでも見抜かれていたのですね。娘は厳しいけれど、私のことをちゃんと見ていてくれて、ありがたい存在だなと思います。
今年もキルト教室や展示イベントなどで全国を飛び回ります。この2月には、東京の三軒茶屋に「キャシーマムカフェ」をオープンしました。店内にキルト作品を飾り、手作りクッキーやケーキが自慢の小さなカフェです。
70代はまだまだ体が動くし、やりたいことがたくさんあって。自分の体の声に耳を傾けつつ、無理せず、楽しんで実現していきたいと思っています。
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