小澤征悦『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』ナビゲーターへの意気込み。オファーを貰った時は「冗談ですよね、なんで僕なんですか?」と驚いた

2025年5月2日(金)12時30分 婦人公論.jp


『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(写真提供:読売テレビ)

俳優の小澤征悦(ゆきよし)さんがナビゲーターを務める、2025年4月5日から始まった日本テレビ系の報道番組『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(毎週土曜 午前11:55=読売テレビ制作)。小澤さんが報道番組のメインを担うのは初めてとなります。今回、オファーを引き受けた理由や俳優業のこと、大きな影響を受けたボストン留学や父・小澤征爾さんなどご家族のお話をうかがいました(構成=かわむらあみり)

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50歳の新しい挑戦は個性を大事にしたナビゲーター


オファーをいただいた時、率直に「冗談ですよね、なんで僕なんですか?」と驚いたんです。役者の仕事を中心に何十年とやってきたので、経験もあまりないですし。ニュースを扱う番組では、以前『スッキリ』(日本テレビ系列 2006年〜2023年放送)で5年ほどコメンテーターを担当させていただいたことはあった。でも、それは司会の加藤浩次さんがいたから、自分が何を言っても拾ってくれる安心感があったんです。今回は逆の立場なので、最初はできないと思っていたのですが、番組のスタッフの方ともお話をさせていただくなかで、とても熱意を感じました。

もとよりオファーをいただけることは有り難いことですし、嬉しいこと。役者は毎回違う役を演じ、現場を共にするのは毎回違う人たち、そんな一期一会の環境でリスクも含めて仕事をさせていただく。報道番組のナビゲーターは、仕事内容は役者とは全然違うものですが、自分の役割と向き合うという意味においては、あまり変わらない。

今50歳の自分にとって、これは新しい挑戦でもあります。60歳だったらできなかったかもしれないと思うと、ひとつのチャンスをいただいたので、「こうなったら覚悟を決めるしかない」と決断しました。そして、小澤征悦という人間がやるからには、自分が持つ個性を大事にしていこうとも思っています。

僕はニュースの専門家やプロフェッショナルではないので、わからないこともたくさんある。そこを逆手にとって、視聴者の皆様の代表のような気持ちで「これはなんでこうなるの?」と言える立場で居たい。無理して出来る人を装ってもメッキはすぐに剥がれますし、カッコつけても意味がないからです。

大阪でのいろいろな発見を楽しみにしている


『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』は大阪にある読売テレビから生放送するので、毎週大阪へ行きます。東京から大阪へ行く新幹線は2時間半かかりますが、勉強するのにちょうどいい時間ですよね。行く時はニュースの勉強、帰りはその時撮影に入っている作品の台本を読み込む時間にできればと思っています。

京都までは、時代劇の撮影所が太秦にあるのでよく行っていました。でも、京都から電車で30分もかからないのに、実は今まで大阪となると梅田にも行ったことがなくて。今後は大阪でいろいろな発見もあるでしょうし、毎週行くことを楽しみにしています。

そもそもニュースといえば、皆様と同じように自分もテレビから情報を得ることもありますし、ここ何年かは妻(NHKの桑子真帆アナウンサー)と話すことも。今回のオファーを貰った時、「できないと思うんだよね」と妻に話すと、にこにこしながら「でもやりたいんでしょ」とすぐ言われて。最初に無理だと思っていましたが、心の奥底では知らないことに対するワクワク感が生まれていたことを見透かされていました。

思えば、役者としては20代の頃にNHK連続テレビ小説『さくら』(2002年)に出演させていただくなど、世に名前と顔が少しずつ広まっていって。30代は時代劇に出演させていただくことが多かった印象で、40代は代議士や医者、役職のある役が増えてきて、50歳になってからは個性的な役もいただくようになりました。今年になって撮影している作品も、面白い役を演じています。

自分自身としては20代から50歳の今まで変わっていないのですが、もしかしたら周りの皆さんが「小澤にはこんな面もあるんだ!」と何かを見出して、面白がって使ってくださる機会が少し増えたのかもしれない。そのなかのひとつに、この『ジグザグ』もある。自分に対して言い訳をしないよう、どの仕事にも120%で向き合ってきた今までの姿勢から、周りの方々に伝わる何かがあったのでしたら嬉しいですね。

大変な1日も予定がない1日も同じ。過ごし方の選択肢は自分


何かに向き合っている時は、たとえ大変なことでも、「楽しもう」と思っています。つらさよりも楽しさがちょっと上回っているからやっていける。これがもし、つらさが上になるとやる意味もなく、周りにも迷惑をかけてしまうかもしれない。だから大変な時は、根性で乗り越えています。(笑)

たまにすごく大変な1日がありますよね。たとえば受験勉強をしている、大きなプロジェクトを任された、役者なら難易度の高い役で膨大なセリフ量があるとか。でも、この1日は終わるんです。一方で、朝から晩まで予定がなく、何もしなくても1日は終わる。どんな1日だとしても、24時間で考えると同じなんです。過ぎていく時間であれば、頑張ったほうがいい。時間はお金で買えませんし、その選択肢は自分にあるから。50歳になって、そう思うようになりました。

今回のナビゲーターはもちろん、役者の仕事にもしっかり取り組んでいきます。これまでもハリウッド映画『JUKAI-樹海-』(原題『The Forest』 2016年)にも出演させていただきましたが、日本だけでなく、海外の作品にも出演したい。今は日本にいながら、芝居してビデオを撮って送るビデオオーディションもあるので、どこにいてもチャンスはあるんです。

最近では歌も始めましたし、レコーディングした曲もあるので、いつかライブができたらいいなと思っていて。さらに昔から目標とする監督業のために、今はある脚本家の先生と相談している最中なんです。忙しいからこそ、気分転換にスポーツジムに行くこともありますし、家ではギターを弾いたり詞を考えたり。夜はお酒を飲んでリフレッシュしています。

やってこられたのは背中を押してくれた親父のおかげ


こうして忙しくさせていただいていますが、役者になると決めたのは、21歳ぐらいの時にアメリカのボストンで芝居の勉強をしてからです。親父(世界的指揮者の小澤征爾さん)がボストン交響楽団の常任指揮者だったので、アメリカは自分の生まれた場所であり馴染みのある場所でもあったのですが、3歳頃に日本に戻ってからは毎年夏に行くぐらい。まさか芝居について学ぶことになるとは思っていませんでした。

高校生ぐらいの時に父親から毎年、「若いうちに、アメリカに留学したほうがいいぞ。今しかないよ」と言われ続けていて。その頃は部活動もやっていて仲間がいましたし、学校が楽しかったので「抜けられないよ」と言っていたんですが、大学2年生が終わった時にふと「やっぱり行ったほうがいいのかな?」と、交換留学生としてボストンに行くことにしたんです。

親父に報告しようと、夜中の12時半頃に「ちょっと話いい?」と、寝ているところを起こして。何も夜中じゃなくてもと今は思いますが、その時は、今言わなければもう言えないような感じがあったんです。そこで、アメリカに留学することを話すと、親父がすごく喜んでくれて。その後ふたりでウイスキーを飲んだような気がします。だから、親父の言葉がなかったら、アメリカに行っていないんですよ。こうしてやってこられたのは、背中を押してくれた親父のおかげだから、今でも感謝しています。

昨年、妻と一緒にニューヨークとボストンに行ってきました。たまたまお互いの休みが合致したので、ニューヨークの演技の先生のところや、当時住んでいた家の跡に行ってみたり、ボストンの街並みを散策したり。自分の思い出のある場所や、いろいろなところに妻を連れていって。やっぱりボストンは、第二の故郷という感覚があるんです。自分が自分になった場所でもあるから。


『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』(写真提供:読売テレビ)

自分がやる意味


いろいろなお話をさせていただきましたが、今は新しい挑戦である『サタデーLIVE ニュース ジグザグ』のナビゲーターとして、頑張りたいと思います。テレビやインターネットから流れてくるニュースを効率よく得て、その内容をわかったつもりになっているかもしれない。でも、それはただ情報が頭に入っただけで、理解をしたこととは違うので、番組ではわかりやすく紹介していけたらいいなと、スタッフの方とも話しています。

時事ネタ以外にも、たとえば「すごく美味しい昔ながらのあんみつ屋さんの秘密を掘り下げよう」と、興味を持ったことをみんなで話す側面もある番組だと、面白いんじゃないかと。この番組のコンセプト「真実への道は決して真っ直ぐではない」に合う、今までにはないニュース番組になれば、自分がやる意味はあると考えています。

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