丁寧ママの強すぎる自己顕示欲に圧される…ママ雑誌『nina’s』ウォッチ

5月2日(金)11時0分 messy

「nina's2014年05月号」祥伝社

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 数あるママ雑誌を不定期にレビューする本企画、今回はこちらを取り上げたい。

 nina's(ニナーズ)2014年05月号(祥伝社 4月7日発売)

 隔月で発売されているこの雑誌。中盤には“丁寧な暮らし”を楽しむママさんたちがこれでもかと登場する一方で、巻頭や巻末にはママタレ・パパタレたちの写真付きインタビューも掲載されている。布ナプ推奨の硬派な「tocotoco」(第一プログレス)よりはマイルドで、セレブなファミリースナップ満載だった「mamagirl」(株式会社エムオン・エンタテインメント)よりはミーハー色が薄い……という立ち位置だろうか。

 表紙は1月に男児を出産したタレントのスザンヌ。男の赤ちゃんを抱っこして微笑む写真だったため、ひょっとしてこの赤ちゃんが愛息……? とミーハー心をくすぐられるが巻頭のインタビューページによればこちらは赤ちゃんモデルだという。なんだぁ〜、という思いとともにインタビューに目を通す。出産後は体調を崩すこともなくとにかく元気だったというスザンヌは、「実家でも家族のお手伝いをしたり、体を動かすように。また、積極的にお出かけもしてましたね」と語っている。当時、ブログに頻繁に子連れ外出していることを綴り、“月齢低いのに外出しすぎ”とネットで批判が集まっていたが、このインタビューを読むと“健康を心がけるゆえに外出をしていた”とも取れる。また、夫の元プロ野球選手・斉藤和己氏が「子供が夜泣いていたら一緒に起きてミルクを作ってくれたり」と、率先して子育てに協力している様子も語られている。これだけを読むと良いパパすぎて、散々報じられていた前妻との婚姻期間中のDV説や養育費を払っていないなどの情報が疑わしくなるほどである。

 特集『私のこだわり、私のルール』パート1、“有名人ママの暮らしと子育て見せてください”には、昨年離婚しシングルマザーとなった鈴木紗理奈、東日本大震災後にカリフォルニアへ移住した一色紗英が登場。

 鈴木は“ママ業をこなしていれば他は何をしてもいい”と、離婚後に行き着いた考えを明かしている。「どんな時も母親であることを意識していたら、仕事など他のことを何もかもをカンペキに運ぶのはムリじゃないですか」と話すが、確かにこれは理解できる。とはいえ、ママ以外の時は女を磨くために美容鍼を受けたり、引き締めるレーザーみたいな施術も受け、さらにお肌のお手入れをする際にはシャネルやSK-II、そしてドゥ・ラ・メールのコスメを使っているという。これはさすがに相当金を稼いでいなければできない金のかけ方だ。また、感性を磨くためにKENZOやサンローランなどハイブランドの古着を探したりもするというが、本号の次の特集が『「買わない」は楽しい!』であることをみるとnina'sはずいぶんなダブルスタンダードを提供しているものだと感心する。もしかしたら読者たちは“買わない”ことを楽しみながらも一方で“買う”暮らしに憧れている女性たちなのだろうか……。

 アパレルブランド「archi」で一時期ブレイクした一色紗英も、震災を受けて西日本や沖縄に移住するのではなくカリフォルニアまで行ってしまうところに財力を感じさせる。「オーガニックなど自然を意識した食料品がとても多い」「海と、大地と、空に囲まれているカリフォルニアは、私や家族にパワーをくれる素敵な場所」とカリフォルニアを絶賛。育児については「地球市民としての意識が育まれるように」……ちょっとよく分かりません。

 それはさておき、この号の目玉はなんといっても、スチャダラパー・BOSEとその妻・元あやまんJAPANのさくらだ(&息子ゲバたん)の写真つきインタビュー。BOSEがさくらだと出会って結婚したいきさつ、結婚後の生活の様子、夫婦であるために心がけていることなどが、はぐらかすことなく、たっぷり語られている。サブカル中年はこれを読むためにこの号を買っても決して損はしないだろう。BOSEは“おっぱい以外のことはなんでもやってくれる”イクメンであることや、昨日使ったカブの残りでさっと浅漬けを作ってしまう家事スキルの高い男であることなども分かり、大変収穫の多いインタビューである。これを読むとBOSEについて“うわぁ〜、ありがたい夫だけどちょっと細かそうでウザイな……”とも一瞬思うが、そこは大らかなさくらだだからこそバランスが取れているようだ。夫婦は足りないものを補い合ってさらにパワーアップしていくのだ、ということをまざまざと見せつけられ、羨ましいような悔しいような気持ちにさせられる。

“丁寧な暮らし”に隠された欲深さ

 次の特集記事『「買わない」は楽しい!』では、そのタイトルの通り、いってみれば“節約術”がこれでもかと公開されている。しかしそこはおしゃれママ雑誌『nina's』であるから、家計簿をつけるなどという野暮なことは提案しない。まず第一は『ないものは作る』。単に服のリメイクだ。はぎれでモンキーパンツやスタイを作ったり、父親のネクタイでヘアゴムを作るなどのアイデアが紹介されている。次には『同じ服を長く着る』(普通のことじゃないの?)、『ネットを使いこなす』(要はスマホの子供向けアプリやネットスーパーの紹介)、その次は『育てる、食べる』(自宅でのハーブ作り)、『ママ友とは家でお茶』などおしゃれに節約する術が網羅されている。しかし、服をリメイクするにあたってかかる時間、ネットの常時接続のための費用、家庭菜園のための費用……と、こうした『買わない』を実践するにあたっては別のコストが発生する。『買わない』というのは、単なる節約のため、というよりもスタイルとしての『エコ』のようでもある。やはり“丁寧な暮らし”を標榜するママさんたちは、それなりにコストはかけるようだ。

 実際、この特集の次には、『みんなのBorderstyle.2014』と題したボーダーファッション特集が組まれていた。豊田エリーのグラビアから続き、ボーダーを着た一般の方々(といいつつプレスやデザイナーさんなど、おしゃれな職業)のファミリースナップがてんこもり。引き続き特集されていた『おしゃれママをSNAP!かばんの中身をぜんぶ見せ!』でも、皆さんファッションだけでなく、かばんの中身にもものすごく気を配っている様子が一目で分かる。CELINEの財布、草間弥生デザインの手ぬぐいやmarimekkoの袋、IDEEのストールなど、とにかく“モノ”への強いこだわりを見せつけられ、ものぐさママでもある自分は自信を失うと同時に疲れてしまった。“私たち、子育てしてるけど手抜きはしてないのっ!”という鼻息が目にかかってきそうな、そんな気合いを感じてしまうのである。暮らし、ファッション、子育て、美容…どれも“可愛くおしゃれに”あろうと努力している様子が見える。まぁ、こういうところに登場しようという気になるママさんというのは、そういう意味で“自信家”なのだろう。こうした自信家のママさんたちの自己顕示欲を、言い方は悪いが上手く使い誌面にしてしまうのがママ雑誌なのだと、毎度、ママ雑誌を読むたびに思い知らされるのであった。

 ちなみにInstagramでタグ検索をかけると、この雑誌に掲載されたことを告知しているママさんがずらりと出てくる。そうしたママさんのアカウントでは、子供の写真をはじめとしてお弁当や離乳食(なぜか食べ物の写真は多い)、お出かけ時の様子をたくさんアップしており、まさに“丁寧な暮らし”を楽しみ、それを日常的に公開しているようだ。さかのぼればマタニティフォトを公開している方もいた。しかし、グーグル検索したところによれば、SNSでたびたび子供の写真ばかりアップする行為にウンザリしている友人・知人も多いようだ(詳しくはコチラ)(発言小町でも)。自己顕示欲も度が過ぎれば、周囲は冷ややかな目を向け、かつての友人も離れていくという事態になりかねない。優木まおみはマタニティハイ継続中で目下痛いママタレ予備軍第一位に輝いているが、『nina'sママ』たちは優木と同じく、ある意味“周りが見えていない”のかもしれない。

■ブログウォッチャー京子/ 1970年代生まれのライター。2年前に男児を出産。日課はインスタウォッチ。子供を寝かしつけながらうっかり自分も寝落ちしてしまうため、いつも明け方に目覚めて原稿を書いています。

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