10年超のアイドル生活、今も「山あり谷あり」...「何か形に残る」ものが「夢」だった SKE48・鎌田菜月が初写真集にかける思い

2025年5月3日(土)12時0分 J-CASTニュース

名古屋・栄を拠点に活動するSKE48の鎌田菜月さん(28)が、初の写真集「やさしい日差し」(KADOKAWA)を2025年4月18日に発売した。

鎌田さんは12年にデビューし、SKE48の中では最年長。今でもアイドル人生は「山あり谷あり」だが、「何か形に残る仕事をしたい」と思いを持ちながら活動を続ける中で実現したという。写真集にかける思いや、今後の活動への展望を聞いた。(聞き手・構成:J-CASTニュース編集委員 兼 副編集長 工藤博司)

元々は出版社勤務か警察官を目指していた

—— デビューから10年超、初めての写真集です。念願だったのでしょうか。

鎌田: そうですね......。アイドルは活動が形に残るものではなくて、ステージやファンの方との出会いも一期一会です。なので、「自分がアイドルをしているんだぞ」というのを形に残したい、という漠然とした思いはありました。

—— いわゆる「大人」の方にも、写真集を出したいと言い続けた感じですか。

鎌田: 何年か前に事務所が切り替わるタイミングがあって(編注:SKE48を運営してきたAKS(当時)が19年、KeyHolder(キーホルダー)の子会社(現ゼスト)に事業譲渡)、「今後してみたいお仕事は?」と聞かれた際に、写真集やフォトエッセーといった、何か形になることはしたいです、とお伝えしていました。「夢」だったので、そのために何かすごく努力するといったことはできていなかったのですが、今回いろいろなご縁に恵まれて、ひとつ形になりました。

—— 話が来たのは突然でしたか。

鎌田: もう、びっくりでした......!

—— 写真集の最後に収録されているインタビューを拝読すると、もしSKE48に入っていなかったら、出版社勤務か警察官を目指していた、とありました。出版社志望、という意味でも縁があったということですね。

鎌田: 元々、本は好きです。図書館や紙の匂いも好きで、本を作る仕事がしたいとずっと思っていました。でもアイドルになったので、その夢は一旦置いて......という形でしたが、今回写真集という形で「どういうのがいい?」とすごく聞いていただけて、本を作るという過程を少し一緒に経験させていただけたのも良い経験でした。

—— 元々の夢に、少し近づけましたね。

鎌田: 大変そうすぎて「やっぱり私にはできん!」って思いました(笑)。

—— 少し話はそれますが、警察官になりたかった、という先ほどの話が気になります。(地元の)愛知県警、どのあたりに魅力を感じたのでしょうか。

鎌田: 高校では(警察官に)なりたいと思って剣道部に入ったのですが、愛知県警に入った先輩もいました。SKE48の仕事で「1日警察署長」をしたとき、アテンドしてくれたのがその先輩で、「なっちゃん!」「はーい」といった具合に、かわいがってもらいました。

—— 仕事をしていると、色々な縁がつながるものですね......!

鎌田: そうなんですよ。アイドルをしていると「全回収」といった感じです。

秋元康氏「帯コメント」の読み解き方


秋元康氏が寄せた「帯コメント」にも注目だ (C)KADOKAWA (C)Zest, Inc. PHOTO/田中智久

—— タイトル「やさしい日差し」は、総合プロデューサーの秋元康さんがつけたと聞きました。次のような帯コメントを寄せています。これは、ゲラを見てもらって書いてもらった、ということでしょうか。

(帯コメント)
日常は、穏やかに過ぎて行く。
時には、強く、時には、翳(かげ)り、人の感情のように変化する。
鎌田菜月は、すべての日々を微笑みながら受け止め、
大人になろうとしている

鎌田: まずはタイトル候補をいくつかいただいて、その中で「やさしい日差し」が、すごく自分っぽいと思って選びました。その後で帯コメントをいただき、自分の人生観のようなものがすごく出ていると思って、すごくうれしかったです。

—— 帯コメントはタイトルの解説、という意味合いもありそうですね。

鎌田: あるのかな、と思っていました。自分としては全部しっくりきたので、秋元先生はやっぱり不思議、すごいなと改めて思いました。

—— 撮影はバリ島で行われたと聞きました。「やさしい日差し」というタイトルからすると、穏やかな雰囲気の撮影だったのでしょうか。

鎌田: ですね......!たくさんはしゃいでいるカットもありますが、私自身、顔つきが穏やかなのかな、という気もします。SKE48ではメンバーを太陽に例えることが多いのですが、私自身はどちらかといえばめちゃくちゃ「元気弾ける!」みたいタイプではなく、ファンの人は名前から取って「月みたいな人だね」と言ってくれます。今回の「日差し」という言葉を見て、こういった表現の大正解が出たのかな、と思いました。

—— 「時には、強く、時には、翳(かげ)り」という一節は印象的ですね。

鎌田: 自分のアイドル人生も順風満帆かと言われたら、多分そうではないところもあるし、ファンの人と「悔しさをバネに頑張ろう」みたいなときも、もちろんあります。今も山あり谷ありなので、そこを秋元先生の帯コメントがひとつ拾ってくださっているのは、うれしかったです。

コンサートリハーサルで「死ぬ気で踊ってました」


J-CASTニュースの取材に応じる鎌田菜月さん

—— バリ島での撮影でした。観光地として有名なクタビーチのホテルを借り切って撮影したと聞きました。

鎌田: 撮影は24年11月でした。一気に寒くなった時期に日本を飛び出したので、暖かくてヘルシーな雰囲気で臨めました。食べ物もおいしくて、人も温かかったです。スーパーでおみやげを買う時、クッキーをかごに入れて歩いていたら、店員のお姉さんが、かごをのぞき込んで「何買ったの?」と聞いてくださったので、「これですよ」と答えたら「いいチョイス。間違いないよ!」とほめてくれました。海外ならではのコミュニケーションが楽しかったです。

—— 印象に残った場所や風景はありますか。

鎌田: やはり夕日がきれいでした。後半にカットが収録されています。撮影は雨季だったのですが、撮影のタイミングでは晴れていたので、迎え入れてもらえているようで、うれしかったです。

—— 「晴れ女」感がすごいですね......!

鎌田: 雨女と言われがちなので、この機会に払拭したいです。(笑) 撮影は移動を含めて4日、実質2日だったのですが、2日とも全部晴れていました。一瞬雨がぱらついたときは、ちょうどお昼ご飯のタイミングで、食べ終わったらきれいに晴れました。

—— 水着のカットが非常に多い写真集です。事前にダイエットなどしたのですか。

鎌田: 撮影が決まってから実際に撮影するまでにあまり時間がなかったので、「健康に振り切ろう!」ということにしました。例えば塩分や糖分は自分が確認できるように自炊するとか、好物の辛いものはやめておくとか......。バリから帰ってから、すぐ蒙古タンメン食べました(笑)。肌荒れしないように、食べ物はめちゃくちゃ気を付けました。

—— それが奏功したのか、健康的なカット盛りだくさんですね。

鎌田: ちょうどリハーサルが立て込んでいたので、運動量という意味では恵まれに恵まれていました(笑)。

—— 撮影が24年11月ということは、その直前(10月12日〜14日)に、16周年記念コンサートがありましたね。

鎌田: 3日間全部セットリストが違って、2か月かけてリハーサルしてたんですよ。もう死ぬ気で踊ってました。

—— 写真集ではエッセーに初挑戦しました。例えば「人見知りを隠さない」といった、さまざまな思いを書いていました。どんなことを考えながら執筆しましたか。

鎌田: 自分が思っていることを書くのがエッセーなんだ、というのがあって、書いたことがなかったので、いろいろな人のものを読んでみました。ただ、今回はあくまで写真集なので、普段あまり文字に触れない方でも無理なく読める内容にしようと、できるだけ文字数は減らそうと考えました。「普段こう言っているけど、その背景には、こういうことがあるんだよ」といった思いを、なるべく文字数を減らして書いたので、余白や遊びのようなものを楽しんでいただきたいです。

—— 先ほど、出版社の仕事が「大変そうすぎる」と話していました。どのあたりが大変そうだと思いましたか。

鎌田: 本を1冊作るというのは、皆さんが思っているより作業量が多い、というところです。写真集なので写真のチェックがありますが、私だったら何も気にならないところにチェックが入っているんですよ。

—— 例えば、どんなところですか。

鎌田: 例えば、私「本体」以外にも、背景のちょっとした「写り込み」とか......。確かにない方が写真として締まるんですよ。そういうのは、やっぱりもっとマメな性格の方がいいんだなと思いました。「撮られる側」とは別の話として、編集さんもいればカメラマンさん、ライターさん、デザイナーさんもいて......と、いろいろな人をつながないといけないので、そこの面白さや大変さがあるのかな、と見ていて感じました。

「30まで」と言いつつ、明日辞めても後悔がないように


「お気に入りのカット」も披露。撮影はバリ島で行われた

—— 写真集で活動の幅が広がると思います。今後やりたいこと、目標などあればお聞かせください。

鎌田: エッセーを書かせていただけたことで、書き物は仕事としてやってみたい、という思いが強くなりました。グループとしては、チーム編成が変わりました。

—— 「チームKII」副リーダーに就任しましたね。

鎌田: そこはどうにでもなります(笑)。大丈夫です。みんなしっかりしていますから。ただ、「チーム編成変えたので、新チームです」と言われて、すぐにチームになれるかというと、違うとも思います。SKE48は、私を含めて色々な仕事をさせていただいていますが、(チームは)メンバーが帰って来られる場所にしなきゃと思っているので、ファンの方もメンバーも愛着が持てるチームに作れるように、と考えています。先輩が不機嫌だと良いチームにはならないので、そういうところからだと思っています。

—— グループの中では最年長なので、雰囲気づくりもひとつの役割、ということですね。

鎌田: ずっとご機嫌でいたいです。

—— ところで、巻末のインタビューでは、アイドルは30歳ぐらいまで、という趣旨の発言がありました。そろそろ卒業も視野に入ってきますか。

鎌田: 最初の頃は「いつまで」とは決めていませんでした。走り切るには体力がいると思いますが、一度アイドルというか、人生30までだと思って全部頑張ってみようと思いました。今、その途中なんですよ。そう思って、全部やりきれるようにはしています。「30まで」と言いつつ、明日辞めても後悔がないようにしたいですね。

—— 「後悔がないように」という点は重要だと感じます。鎌田さんは長く選抜メンバーですが、メンバーは入れ替わりが激しいですね(編注:最新曲「Tick tack zack」は異例の12人選抜で、鎌田さんは選抜から外れた)。また次の曲では......という思いはありますか。

鎌田: 入ったらうれしいし、入らなかったら悔しい、それだけです。この仕事は(努力に対して)結果が見合わないことはいくらでもありますが、その結果がどうであれ、ファンの方が絶対にいます。だから私はファンの方が喜ぶことをします。これからもそれはずっと変わらないと決めているので、どんな形であれ、最終的にはファンが喜ぶように......というだけです。

—— 先ほどは「書き物」に対する関心について話していましたが、「ファンが喜ぶ」という観点では、レポーターのような仕事への関心はいかがですか。名古屋のさまざまなスポットをめぐる「まるっと!LOVE旅」(NHK名古屋放送局)の最近の放送では、鶴舞(つるま)公園(名古屋市昭和区)を紹介していました。

鎌田: そうなんですよ、「つるま」なんですよ......!3年くらい、楽しくやらせていただいているお仕事です。歴史というのは、人と人が会って何かが起きた結果だと思うので、それを紹介するのは楽しいです。ぜひ続けていきたいです。

鎌田さんは「お渡し会」と呼ばれる発売記念イベントを5月24日にHMV&BOOKS SHIBUYA(東京都渋谷区)、5月31日に星野書店近鉄パッセ店(名古屋市中村区)、6月1日にTSUTAYA EBISUBASHI(大阪市中央区)で開く。大阪では5月6日まで、名古屋では5月31日まで、パネル展も開かれている。

鎌田菜月さん プロフィール
かまた・なつき 1996年生まれ、愛知県出身。2012年に6期生としてSKE48に加入。22枚目のシングル「無意識の色」(18年発売)で初の選抜入りを果たす。25年4月のチーム再編成で、チームKIIの副リーダーに就任。漫画・アニメ、活字、歴史、将棋など、多趣味で知られる。

J-CASTニュース

「SKE48」をもっと詳しく

「SKE48」のニュース

「SKE48」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ