WEST.が届けた“アホカッコいい”の真髄 横浜初日で届けた“全方位の愛”と遊び心【ネタバレありライブレポ】
2025年5月3日(土)4時0分 オリコン
『WEST.LIVE TOUR 2025 A.H.O.-Audio Hang Out-』横浜公演初日の模様
11周年イヤーに突入したWEST.による11枚目のフルアルバム『A.H.O. -Audio Hang Out-』は“Audio Hang Out”=音で遊ぶ、という意味の通り、遊び心満載のアルバム収録曲を中心に構成した内容に。そんな同アルバムを藤井が演出のもと、相変わらずの“笑い”も進化した“カッコよさ”も存分に詰め込んだステージとして昇華した。
モノクロの世界にそれぞれのメンバーカラーが差し込まれたなんともおしゃれなオープニングではWEST.らしい“オチ”でしっかり笑わせ、ワクワク感を高める。そのままアルバム表題曲のM1「A.H.O.」から開幕。コミカルな振り付けと「雨の中来てくれて、ありがとう」と重岡からアドリブによって、会場のテンションは爆上がりとなった。
今回の大きな注目ポイントとなったのが、ひとりひとりが制作に携わった7つの楽曲を披露するパート。重岡による「それいけベストフレンド!」は自身が人生初のコレオグラファーデビュー。スタンドマイクを使用した元気いっぱいの“らしさ”あふれる振付がまぶしい応援歌に華を添える。
一方で、桐山による「ティダ」は東里梨生(元やなわらばー)提供曲で南国ムード一色に。重岡がブルースハープ、中間と藤井がサックスを演奏し、小瀧がオーシャンドラムとヴィプラスラップと、歌い声が混じり合い心地よいハーモニーを作り出す。
神山による梅田サイファー提供曲の「WESTraight」では、スタンド、花道アリーナの通路…とあちこちから神出鬼没のメンバーがステージに集まれば、多彩な神山の超高速ラップも相まってエネルギッシュなパワーを放つ。藤井による「TICKTOK」は客席を彩る制御ライト「A.H.O.なペンライト」が幻想的なライティングを生み出し、高度なダンスと不敵な笑みで魅了していく。
濱田による浪岡真太郎・大原拓真(Penthouse)提供曲「Rainy Rhapsody」は、恒例のアコースティックコーナーで披露。重岡がピアノ、中間がグロッケンシュピール(鉄琴)、桐山がパーカッション(カホーン)、濱田と神山がアコースティックギター、藤井がタンバリン、小瀧がシェイカーを担当。水色のライト一色の景色の中、切ない歌詞とメロディーにファンは静かに聞き惚(ほ)れた。
中間による「アップルパイ」は椅子やリンゴを使った振り付けでちょっと危険で妖艶な雰囲気に。小瀧による「Sweety」は自室を思わせるスタンドライトやソファに腰掛けながらムードでゆったりとラブソングを歌唱。最後に小瀧の顔がカメラに近づき暗転という思わずドキッとさせる演出も用意。ともに、成熟したメンバーが今だからこそ醸し出せる色気を感じさせる。
大人の魅力でいえば、7人それぞれが仮面をかぶった女性に向ける甘い仕草や視線が刺激的な映像から始まる「shhhhhhh!!」は、メンバーの口に手を当てる仕草の振り付けがモニターに大写しにされるたびに黄色い悲鳴が続出した。
一方で、笑いにもとことん貪欲。昨年の『WEST. 10th Anniversary LIVE TOUR AWARD』(2024)に続き、もはや WEST.ライブの風物詩となったコントコーナーでは“AHO”な7人家族が繰り広げるドタバタ劇を展開。
母・淳子(中間)、長男・崇裕(濱田)、次男・大毅(重岡)、三男で天才小学生の“のんちゃん”こと望(小瀧)、長女の“ともとも”こと智子(神山)、その結婚相手“りゅうりゅう”こと道頓堀1丁目署刑事(藤井)、おじいちゃん(桐山)…望が商店街の福引で宇宙旅行を当てたところから物語が始まり、ツッコミまくり、何度も爆笑を引き起こした。
きょう公開された7人主演の映画『裏社員。スパイやらせてもろてます-』主題歌「ウェッサイソウル!」の歌唱前には“ある仕掛け”も。披露前から、その場を温めるとシルバーに輝く衣装に身を包んだ7人が、ファンキーでソウルフルな楽曲をクセになる振り付けと衣装にも負けないギラギラっぷりで圧倒した。
ファンとメンバーが振り付けやコール&レスポンスで一体感で包まれるのも同グループの公演ではおなじみの光景。なぜか“キレ芸”の重岡の掛け声から始まるデビュー曲「ええじゃないか」はお決まりのコール&レスポンスで盛り上がり、桐山が「楽しい人〜!?」と点呼。割れんばかりの「はーい!」の返事が沸き起こり、「WEST NIGHT」はペンライトが一斉に揺れる光景は圧巻だ。
本編ラストのブロックは渾身(こんしん)のロックコーナーで駆け抜ける。MONGOL800・キヨサク提供のサマーチューン「SOUTH WEST BEACH!!」からスタート。会場を縦横無尽に駆け回り、観客と一緒になって楽しむWEST.の姿はまさに”Audio Hang Out"そのもの。とにかく“楽しい”という気持ちが共鳴し、その場に唯一無二のアツさを生み出す。
アンコールでは「ズンドコパラダイス」「人生は素晴らしい」などヒット曲に乗せ、スタンドを一周し、会場の上の方までしっかり“愛”を伝えると、ラストは、WEST.らしいあたたかさに満ちた新曲「BIG LOVE SONG」。7人で大きなハートポーズを作る振り付けさながら、まさにハートフルな雰囲気に。大きな愛に包まれたまま、最後は桐山の掛け声で「WEST.!!」をファンと一体なって叫び、公演は幕をおろした。
MCではWOWOWとのタッグによってグループの音楽的な魅力に迫る新たなレギュラー音楽番組『WOWOW×WEST. "WESSION“』が6月29日午後9時(全5回)から放送・配信スタートすること、そして10月12日、13日に地元・大阪の万博記念公園で自身初となる主催野外フェス『WESSION FESTIVAL 2025』を開催することも明らかに。それぞれが個性を磨く7人の次なるチャレンジに期待が高まる。
同ツアーは9都市28公演28万7500人を動員。横浜アリーナ公演では4日間5公演7万5000人が集まることとなる。