『サクラクエスト』5話 バカは立派な褒め言葉、サグラダファミリアみたいな建造物をつくりたい由乃国王

5月4日(木)18時30分 おたぽる

『サクラクエスト』公式サイトより

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——都会での仕事に憧れる20歳女子。就活全滅、限界集落寸前の田舎のよくわかんない独立王国の王様に就任させられて、彫刻による町おこしを動かし始める。最近しおりちゃんの長いスカートに尊さを感じているたまごまごが、『サクラクエスト』全話レビューお届けします。

■第5話『ユグドラシルの芽生え』やっと一歩目

 軽すぎるノリで、間野山町の観光に使えないかと伝統工芸の木彫りを見に行った木春由乃(こはる・よしの/演:七瀬彩夏)たち一同。しかし職人の一志(かずし/演:興津和幸)に「ふざけるな!」と一喝され、町おこしメンバーの一人・香月早苗(こうづき・さなえ:演/小松未可子)はこの仕事を降りようとする。諦めない由乃は間野山彫刻を実際に研究・調査。彫刻を使った建造物を、少しずつ組み上げていくことを提案する。

 町おこしに協力的な彫刻師・辰男(たつお/演:野瀬育二)と話し合い、悩んだ末に戻ってきた早苗。彼女によって、破天荒だった由乃の案は現実的なものに。第一歩として、駅に一志の欄間が飾られた。

■バカっぽいところが国王らしい

 序盤わりと真剣に町の彫刻を調べていた由乃。考えた案が「サグラダファミリアみたいに彫刻で何年もかけた巨大木造建造物を作る」と言うもの。

 保存も大変、建造年月かかる、お金超かかる。そもそも誰が見に来るの。

 絵がどうしようもなくヘタなのもあって、彼女が何をやりたいのかイマイチわからない。ツッコミ担当・緑川真希(みどりかわ・まき/演:安済知佳)は「勉強して出した答えがそれ?」と顔をしかめる。由乃の自信とドヤ顔はどこからくるのか。(あと字もヘタだ)

 ところが、彼女のアグレッシブすぎる案は見捨てられなかった。早苗の手によって具体化され、今後の長期に渡る町おこしの足がかりにまでしてしまった。

 要は由乃の案は「大きい方がいい」と、抽象的・感覚的だっただけ。整理する人がいればいい。

 周囲は由乃を「バカ」だと言う。5話まで来た今は、立派な褒め言葉だ。どんどん前に進むエネルギー。諦めないポジティブさ。型にはまらない考え方。想定外な視点。「バカ」度が突き抜け始めていて、とても気持ちがいい。

 ただし「バカ」なので緻密さに欠けるし、夢見がち。ストップがきかない。そこは、仲間におまかせ。

■IT大臣、かっこいいよ!

 今回は、IT大臣こと早苗回。とっちらかった由乃の思いつきの取りまとめ方は、見事!

 資金調達はクラウドファンディング。どうリターンするかにもよるけど、出資者を募りまくるよりは可能性がある。

 木彫を建造物にする場所は駅。観光客が最も見やすい、住民が意識しやすい場所だ。観光で電車に乗る人が増えたら、電車経営側もおいしいだろう。セリフにはないが、間野山駅は木造建築だ。

 駅に「木彫が紡ぐ100年史」とか「若木が年輪を重ねていくように」なんて描いたポスターが貼り出される。
早苗「出会いと別れ、物語の生まれる場所。その物語を彫刻で彩るのよ」

 ちょっとくさいこのセリフが、ちゃんとプロジェクトに生きて、見た人に伝わりやすい形になっている。

 途中、町をうろつく変人サンダルさん(演:ヴィナイ・マーシー)がそこそこ有名なアーティストだと、由乃たちは知る。まさかこのまま安易にサンダルさん売りにしちゃうのでは!?なんて危惧したけど、全くそんなことなかった。あくまでもイメージの補助でとどめた。これはIT大臣の(というか脚本家の)名采配。

 一志たち彫刻家の作品を飾り、作業には4話で出てきたパワーアシストスーツを利用。「町の物を使う」という指針は、ブレていない。

 にしても、サンダルさんことAlexandre S.D. Celibidache。誰だよ、と思ったら、このアニメの原作者なんですね。

■商売であり芸術な、彫刻

辰男「彫刻師は仕事なんや。稼げんかったら意味あらへん」

 4話では、伝統工芸をろくに調べていない、由乃たちの目を覚まさせるような展開だった。

 しかし今回は、芸術・作品に固執しすぎる一志の迷走に、釘を刺した。

 完成させることに意義がある、どこまでもこだわりぬく、という一志の姿勢。人に受け入れられるものを作る、商売をする、という辰男の考え方。どちらも間違いではない。

 今回辰男が作った木彫りの靴。由乃が見た瞬間「なにそれかわいい!」と叫ぶほどにキャッチーなデザインで、彫られた文様は繊細。ちゃんと作品にも売り物にもなっている。数作れたら、これだって名産になる。

 芸術と客商売、そして技術の保護。駅舎木彫化でうまく着地した、ように見える。

 駅舎を木彫りで飾っていく100カ年計画。実行できたら、間野山彫刻は認知されるようになるだろう。

 けれどもこれ、引き継いでいく人はいるんだろうか?

 行き当たりばったりな由乃たち、一歩踏み出してしまったこれからの方が、今までよりはるかに危うい。
(文/たまごまご)

おたぽる

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