ケイト・ブランシェット主演『TAR/ター』ほか手掛けた全作品がアカデミー賞候補に!トッド・フィールド監督に迫る

2023年5月5日(金)17時0分 シネマカフェ

『TAR/ター』© 2022 FOCUS FEATURES LLC.

写真を拡大

ケイト・ブランシェット主演『TAR/ター』の監督は、スタンリー・キューブリック監督の『アイズ ワイド シャット』(99)などに出演する俳優としてキャリアを持ち、これまで手掛けた監督作品はわずか3作というトッド・フィールド。

超寡作な彼だが、いずれもアカデミー賞にノミネートされるという類稀なる手腕の持ち主。『TAR/ター』公開前に、改めてそのキャリアをふり返った。


サンダンス映画祭から初のアカデミー作品賞候補に
『イン・ザ・ベッドルーム』(01)


アンドレ・デュバスの短編小説「Killing」を基にした、長編映画監督デビュー作。夏休みを利用して帰郷した21歳の息子が、近所に住む年上の女性ナタリーと恋に落ちる。しかし、彼女にはDVが原因で別居中の暴力的な夫がおり、あるきっかけで息子はナタリーの夫に銃殺されてしまう。

愛する息子を理不尽に殺された両親の深い喪失感、激しい怒りと復讐を描き、世界的な賞賛を獲得。サンダンス映画祭に出品された映画では初となるアカデミー作品賞候補になった上、自身の脚色賞を含む5部門にノミネートされた。


ケイト・ウィンスレットもアカデミー賞主演女優賞にノミネート
★『リトル・チルドレン』(07)




監督2作目も、アカデミー賞で自身の脚色賞を含む3部門にノミネートされた。

ビジネスに成功した夫と娘とともに郊外に引っ越してきたサラ(ケイト・ウィンスレット)は、娘とともに公園デビューに挑むも周囲に馴染めずにいた。そんな中、同じ公園に現れた学園の典型的な人気者タイプである“プロム・キング”ことブラッド(パトリック・ウィルソン)と軽い遊びのつもりでキスをするが——。

平凡な大人たちが持ち合わせる現状への不満、美しい未来を夢見る気持ちをひと筋縄ではいかない人間ドラマに作り上げた。主演ケイト・ウィンスレットの官能的なラブシーンも話題に。


ケイト・ブランシェットの映画史に残る怪演が話題!
★『TAR/ター』(23)




待ちに待った16年ぶりの新作は、第79回ヴェネチア国際映画祭にて上映後6分間のスタンディングオベーションを受け、ケイト・ブランシェットが女優賞を受賞。本年度アカデミー賞に作品賞、監督賞、オリジナル脚本賞、主演女優賞など6部門にノミネートされた。

世界最高峰のオーケストラの一つであるドイツのベルリン・フィルで、女性として初めて首席指揮者に任命されたリディア・ター。彼女は天才的な能力とそれを上回る努力、類稀なるプロデュース力で、自身を輝けるブランドとして作り上げることに成功。

作曲家としても圧倒的な地位を手にしたターだったが、マーラーの交響曲第5番の演奏と録音のプレッシャー、新曲の創作に苦しんでいた。そんなとき、かつてターが指導した若手指揮者の訃報が入り、ある疑惑をかけられたターは追いつめられていく——。

「唯一無二のアーティスト、ケイト・ブランシェットに向けて書いた」と監督が断言する脚本を演じ切ったブランシェットは、“怪演”と呼ばれるほど圧巻の<ター>を披露。

ブランシェットは、ターの人物像について、「ターには権威のある地位に就いている人特有の不可解さがある。それを、どう表現するかがカギとなった。観客がターの体験に共感できるような場面を作ることも重要だった」と語り、「彼女は、自分のことをあまり分かっていない人だから。女性指揮者は往々にして、室内楽曲をあてがわれて、大作は任されない。それで彼女はがっかりしてしまう。彼女はこの世界に浸透した慣習に疲弊した結果、賢明とは言えない決断を下してしまう」と説明。

さらに、トッド・フィールド監督は「本作は人間について、権力について、そしてヒエラルキーについてであり、皆さんにきっと真価を認めてもらえることでしょう」と語っている。

『TAR/ター』は5月12日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国にて公開。

シネマカフェ

「監督」をもっと詳しく

「監督」のニュース

「監督」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ