就活で嘘つくな ブスな優秀ホステスの話をしたら面接で受けた

5月5日(火)16時1分 NEWSポストセブン

3月の大学生による就職活動スタートと同時に発売された『内定童貞』(星海社新書)で、就活の欺瞞と問題を暴き物議を醸した中川淳一郎と『傷口から人生。メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』で、慶應生、TOEIC950点ながらも就活に失敗した女子の奮闘&再生記を描き話題を呼んだ小野美由紀が、本当の意味で「失敗しない」就活について徹底討論! その第2弾です。『内定童貞』担当編者の今井雄紀も交えての就活談義です。


中川:オレは建前がキライなんですよ。facebookでハロウィンでみんな仮装して写真撮って、それに「いいね!」ってなんなんだよ! カボチャの中にロウソク入れて貧乏臭いじゃねーか! カボチャ一生喰ってろ! みたいな。


小野:笑


中川:それと同じで、就活の実態にしたって、仕事なんてホントはたいしたことねーんだよ! それなのに、就活超大事! これを逃したらチャンスない! みたいに祭り上げられているのはバカか!と。仕事は誰かのためっていうよりも金だろ! って思うし、内定取るのがどうの、就活がどうのっていうのも、建前ばっかり、きれいごとばっかりでふざけんなよ! って思う。オレがこの本を書いたのも、べつに正義感とかはないよ!ただ発注主がやれって言ったからやるんだよ。でも、就活業界のエラい人が書くより、なんの関係もないオレがやったほうが、なんのしがらみも無くあけすけに書けるから書かせてもらったんだよ。


小野:私もそう思います。「傷口から人生。」にも書きましたが、私は就活のシステム自体が悪だとは思っていない。ただ、自分が適応できなかっただけだと思っている。結局は全部、自分が決めるものだもん。適応できない時に、「そこでいつまでも悩んだり自分を責めずに、じゃあどうするのかという選択肢をそこから考えよう」と言う話を書きたかっただけで。


中川:今の就活の、ウソの付き合い、騙し合いみたいな風潮は悪いと思ってる。でも、大きな会社に入るには、現状はどうしたって就活しないといけないんだから、そこはもっと健全化したらいいと思う。


小野:そうですね。そうじゃないと両者しんどいですよね。


中川:面接官がちゃんとした人で、オレの時みたいに、プロレスの話ができたり、素の自分が出せるよう、マッチングがしっかりできていれば良いと思うんだけど。それがなぜか「僕は遊園地のバイトで子供の笑顔に元気をもらいました!人を笑顔にする仕事をしたい、その気持ちが御社の企業理念にマッチしていると思います!」っていう、そもそもウソくさい企業理念に合わせたさらにウソをかぶせた内容になっちゃうんだよ。


小野:振り返れば、私が面接で上手く行ったのって、銀座のホステスやってた時のことを、正直に話した時だけなんですよ。電通の面接なんですけど、最初はとりつくろって「私はNPOのボランティアで広報をやって、参加者を前年度比30%増やしました!」とか言ってるわけ。


でも、面接官が途中からイライラしてるのが分かって、焦れば焦るほど、どんどんずれてって。最後に「あんた結局、何がやりたいの?」って半ギレで聞かれた時に、「ヤバい、もう、どんなにしょぼくても自分の実感のある話をしないと切られる」と思って、観念して「銀座でホステス4年やってたんですけど、すごいブスで何が取り柄なのか分からないおばさんホステスにM銀行の元頭取が何億も貢いでたりとか、マツコデラックスみたいな60歳のババアになぜか金持ってるオヤジが入れあげてたりとかしているのを見ていて、理屈じゃ割り切れない人間の感情とか欲で金が動くのが面白くて、そういうのを扱う仕事がしたい」って、なんも考えずにわーってしゃべったら、なぜか面接官が納得していて、コピーライター志望だったんですけど、次の面接に進んだんですよ。


今井:ああ、それは面白いですねぇ。


小野:それを3回繰り返して、でも最後の最後で、偉い人が出て来たとき、つい欲を出して、「わたくしは、NPOでボランティアをしていまして…」みたいな面接に戻したら、アウト。


中川:もったいない。


小野:結局、この時の私はいろんな企業に「イイ顔」して、企業の掲げる理念とかに合わせた都合のいい事言って、それで受かるはず無いのに、それを延々とやってた。ただの「就活やりまん」でした。


中川:面接のやり方自体も、いつできたかわからない。神話みたいなものなんですよ。


今井:西洋に妖精がいて、東洋に妖怪がいる、みたいな…。


中川:企業のほうも「あなたが苦労をはねのけて成功した体験を語ってください」みたいな画一的な質問しかできない。んなもん、学生の身分であれば、ウンコ出ないときに水をいっぱい飲みました! 腹を下したところでドバーッと出て、達成感を覚えました、みたいなことしかねーだろ! それなのに、「仲間とディスカッションしてどうこうしました」みたいな話になる。オレの時ですらそうなっていたからね。面接官だって、そんなこと聞きたいわけじゃないだろうに。見事なまでに「型」というか「作法」に企業も学生もハマってる。企業からすると、後でSNSに悪口書かれたくないから無難なことをしか言わないし、学生は「いい人を装えば通る」って誤解しているから、いかに自分が現代のガンジーみたいなヤツかをアピールする。


小野:「面接を特別なもの」として扱ってるから、お互い本音で聞きたい事も聞けないし、しゃべれなくなってる。面接じゃなくて他の場だったら聞いて良い事でも、面接だとダメになる。面接が神聖化してる。


中川:企業は所詮「お前稼げるの?」って聞きたいだけなんだよ。ビール会社だったら「酒強い?」「得意先、飲ませる人多いよ?」「大丈夫っすよ!」で良いはずなんだよ。


小野:そういえば、この「傷口から人生。」は、第一志望の最終面接の5分前に、企業のエントランスに続くエスカレーターの手前で、パニック障害を起こして、泡吹いて倒れるところから始まるんですけど、あれはリクルートなんですよ。で、この前、この本を読んでくれたというリクルートの人事の人に会って話をしたら、リクルートも採用に苦労しているって言うんです。


「うちは、“明るくて前向きで、リーダーシップを取れるようなキラキラ女子・男子しか採らない”ってイメージが定着しちゃったから、そうじゃない人が受けてくれない。本当はうちに来ないような変わった人が欲しいのに」って。だから別ルートで採用を開拓しているって言ってました。まあ、そりゃそうだろうな……と。


中川:小野さんの「傷口から人生。」は、慶應生でTOEIC950点なのに就活が全敗して無職のまま卒業しないといけなくなった女子学生の失敗譚から始まるけど、そこから徐々に「なぜ私は失敗したのか?」「なぜそんなウソの付き合いをしてしまったのか?」を解き明かしていって、最後には脱出する話だよね。特に、スペインを巡礼しながら、そこで出会った仲間にかけられた言葉で、はっと気づく。人が欺瞞とか建前から抜け出す過程がよく書けているなと思います。


小野美由紀(おの・みゆき)

ライター・コラムニスト

1985年東京都生まれ。慶應大学文学部仏文学科卒業。卒業後、無職の期間を経て2013年春からライターに。幻冬舎プラス「キョーレツがいっぱい」ALICEY「未婦人公論」など、連載多数。2014年12月、絵本『ひかりのりゅう』(絵本塾出版)を出版した。2015年2月、デビュー作『傷口から人生。〜メンヘラが就活して失敗したら生きるのが面白くなった』を発売。

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