刺客、負ける総裁選出馬… 野田聖子はなぜ厳しい道を選ぶか

5月5日(土)7時0分 NEWSポストセブン

野田聖子総務大臣と文筆家・古谷経衡氏

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 永田町や霞が関では、「男性優位社会」が罷り通る。財務事務次官のセクハラ騒動も氷山の一角だろう。一方で、女性政治家の失言やスキャンダルが俎上にのせられることも珍しくない。女性だからという理由で重宝されている議員は多い、と文筆家・古谷経衡氏は考える。女性を「弱者」とするだけでは何も問題は解決しない。ではどうすればいいか。現役女性閣僚の野田聖子総務大臣に問う。


古谷:どうしても聞きたいことがあります。大臣は小泉政権下の2005年に郵政民営化に反対して自民党を離党した。選挙に当選したものの刺客を送られた。2015年の自民党総裁選でも、安倍首相の再選が確実視されるなか出馬表明をした。


野田:でも一部の権力者が総裁選を行わないと勝手に決めてしまった。私を支持してくれた20人の推薦人が切り崩されて、断念せざるをえなかったわけですが。


古谷:でも、出たところで結果は……。


野田:もう、火を見るより明らかですよ。


古谷:そこなんです。私には、大臣があえて困苦の道を選んでいるように見える。普通は勝ち目のある戦しかしない。なぜ厳しい道を選び続けるんですか。


野田:それは、絶対に譲れない一本の筋を通しているから。国会議員は自力で議席を取ったと勘違いしがちです。でも、実際は支援者の方々に勝たせてもらったわけでしょう。私は、1票を託してくれた有権者に対して常に正直であらねばならないと考えているわけ。


古谷:そんな決断をできる女性議員は大臣だけでは?


野田:そうね、政治の世界で筋を通すのは、めちゃくちゃ面倒くさいですからね。遡れば、私は当選1回目に造反したことがあるの。そのことが、国会の先輩に従うのではなく、選んでくれた人たちに対して、正直に生きようと決めるきっかけでした。


古谷:でも政治の世界で正直に生きることは簡単ではないでしょう。敵も増えそうですね。


野田:それはもう(笑)。


古谷:足を引っ張る人間がそこかしこにいそうです。男性の僕が代議士になったとしても、無理ですもん。


野田:できますよ、あなたなら。あなたの読み物読んでいたら、ああ、私と似ているかもって思ったわ。


古谷:いやいやいや。僕は単に敵が多いだけで(笑)。


野田:総理ともずいぶんケンカしましたよ。古谷さんが先ほどおっしゃったように郵政選挙では小泉元総理とも対立した。でも、離党しても、意見交換の食事会も絶やさなかった。私も年を取ったので、最近は小泉元総理に対して偉そうな口を利くようになりましたけど。


古谷:小泉純一郎とそんなに食事をするのですか?


野田:小泉元総理と付き合っていると、本当の権力者は勝負を引きずらないと感じます。私が離党したらそれで終わり。あとはもとの仲間として接してくれた。


古谷:安倍首相は、小泉政権下で自民党幹事長に抜擢されて、その後内閣官房長官として初入閣を果たしました。お二人とも政治家として小泉元首相の影響を受けたと思うのですが、大臣と安倍首相の一番の違いはどこだとお感じですか?


野田:総理は国の成長が国民の幸せになると考えている。総理が言う成長とは、昭和の量的成長です。そして量的成長の原動力が大企業で、そこからのトリクルダウンがあると信じている。


 一方私は人口問題をライフワークにしてきました。そしてこの人口減少社会では、トリクルダウンは期待できないと考えている。その違いは大きい。古谷さんはゴルフをなさいますか?


古谷:いえ、ぜんぜん。


野田:フェアウェーとラフの違いは分かる?


古谷:すみません(苦笑)。


野田:ボウリングに例えましょうか。ピンを倒そうと思ってボールを投げるわけだけど、何かの拍子にレーンを外れてガターに落ちてしまうこともあるわね。今の社会はレーンの上を歩きたいのにささいなきっかけでガターに落ちてしまう。そのきっかけや原因となるのが、貧困であり、あるいは就職難です。


 量的成長ではなく、ガターに落ちてしまった方やうちの子のような障害を持つ方、そして女性たちを引っ張り上げる政策が、これからの成長の証になるはずだと考えているんです。


【PROFILE】野田聖子(のだ・せいこ)/1960年生まれ。福岡県北九州市出身。祖父は野田卯一(元経済企画庁長官)。ミシガン州ジョーンズヴィル・ハイスクール卒。上智大学外国語学部卒。1983年、帝国ホテル入社。岐阜県議を経て、1993年、衆院選(旧岐阜1区)にて当選。小泉内閣で郵政大臣、安倍内閣で総務大臣に。現在は、次期首相候補の一人。


※SAPIO2018年5・6月号

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