【劇場アニメレビュー】短尺ながらもTV3期が楽しみになる『劇場版FAIRY TAIL フェアリーテイル DRAGON CRY』

5月6日(土)14時0分 おたぽる

『劇場版FAIRY TAIL フェアリーテイル DRAGON CRY』公式サイトより

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 2006年より真島ヒロが「週刊少年マガジン」(講談社)で連載中の人気マンガ『FAIRY TAIL』は、2009年〜13年に第1期、14年〜16年に第2期とTVアニメーション・シリーズが制作され、12年には劇場用映画『劇場版FAIRY TAIL 鳳凰の巫女』が公開されている。

 舞台となるのは、魔導士たちに仕事の仲介をするギルドが多数存在する異世界。そこで「フェアリーテイル(妖精の尻尾)」と呼ばれる魔導士ギルドに属する滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)のナツや、一人前の魔導士を目指すルーシィなど多彩な面々の活躍を描いていくファンタジック・アクション群像劇で、コミカルとシリアスのバランスも巧みにはかられたエンタテインメントとして老若男女幅広い層の支持を得ている作品だ。

 とにもかくにも一人一人のキャラクターが、誰を主人公にしてもドラマが成立するくらい個性的でユニークなのがよく、また真島ヒロの爽快な絵のタッチは見ているだけで心弾ませるものもあり、アニメ版もそこを踏まえた作画姿勢に好感が持てるところで、さらには声優陣すべての声がキャラとピタリ合致しながら魅力を増大させているのも強調したいところである。

 さて、今回お目見えするのは劇場用映画第2弾となる『劇場版FAIRY TAIL フェアリーテイル DRAGON CRY』である。TVシリーズ第2期の放送が終わって1年、そろそろアニメの新作が見たいとしびれを切らし始めていた者としては実にうれしい限りである。

 前作『鳳凰の巫女』でも真島ヒロがストーリー原案などを手掛けていたが、今回も総合プロデュースとして参加。自ら200ページに及ぶネームを描き下ろし(こちらは来場者プレゼントとして劇場配布される)、それを基にした熱いドラマが展開されていく。

 フィオーレ王国の神殿に奉られている、人間たちに葬られたドラゴンたちの怒りが宿る杖・竜の涙“ドラゴンクライ”が王国の反逆者ザッシュによって奪われ、ステラ王国の国王アニムスの手にわたってしまった。竜の涙奪還の依頼を受けたナツたちフェアリーテイルの面々はステラ王国に乗り込んでいくが……といったストーリー。

 あえて比較すると、前作『鳳凰の魔女』が一般層を意識した門戸の広い作りになっていたのに対し、今回はファン気質を強めている感があり、連載から10周年を迎えての人気作ゆえ、その方向性は間違っていないだろう。

 また今回はルーシィやフェアリーテイル最強のS級魔導士エルザなど女性キャラの魅力に重心が傾き、アングルなども含めてちょっとHな描写も多い。もっとも『FAIRY TAIL』の場合、そういった要素も嫌味なく微笑ましいものとして映るのが常ではあり、それゆえに女性ファンも多い。

 事実、今回私が見せていただいたのはマスコミ用ではなく一般試写会だったが、観客の男女比はちょうど半々で、若者層が主軸ではあったが意外に年配客も来ており、上映中は各キャラの言動のひとつひとつに反応してはドッカンドッカン受けていた。

 個人的に楽しかったのは、やはり氷の造詣魔導士グレイ様ラブのジュビアをめぐる諸描写で、やはり『FAIRY TAIL』はこれがなくちゃ! と言わんばかりの楽しさであった。猫のシャルルの変身魔法後の姿を銀幕で拝めたのも嬉しい。

 アニムスやソーニャといった新キャラに関して深く言及していくとネタバレになるので、その愚は避けたいところだが、その魅力も巧みに醸し出されていることは伝えておいてもいいだろう。

 ただし前作もそうだったが、今回も上映時間85分と、かなり短めの尺なのは正直もったいない。お話そのものは面白く、キャラの魅力もその時間枠の中でそれなりに描かれてはいるのだが、ストーリーテリングがどうにも駆け足すぎて、あれよあれよという間に終わってしまう感が否めないのだ。

 最近のアニメ映画は90〜100分くらいの尺で収めるタイプのものが多く、もう少し見たいのにと、物足りなさを感じることも多いのだが、今回はさらにその印象が強く、このお話なら2時間くらいあってもよいのになあと思わざるを得なかった。

 現に上映が終了すると場内から拍手が起きて、大方の観客は満足気な雰囲気ではあったが、会場を出ていく若い女の子たちがニコニコしながら「これなら3時間くらい見ていられるよね」などと語り合っているのを見かけた。

 いずれにしても、現在原作コミックのほうは最終章に突入しており、それとリンクする形でこの劇場版も展開されているようだが(くれぐれもエンドタイトルで席を立たないように)、その伝で考えるとTVアニメ第3期の制作も近いのかもしれない。

 正直、TVシリーズを毎週楽しみに見ていた身としては、今回久々にファアリーテイルの面々と再会できたことだけでうれしく思いつつ、それでも今回あっという間に終わってしまったことだけがやはり残念ではあり(よくよく考えると、前作が公開されたときはTVシリーズも放送中だったので、そういった飢餓感が薄かったのかもしれない)、その意味でも第3期TVアニメ・シリーズの早急なる制作を強く望みたいものである。
(文・増當竜也)

おたぽる

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