なぜ10代女優がバラエティーに進出? 背景に事務所戦略の変化

5月6日(土)7時0分 NEWSポストセブン

『もしもツアーズ』に起用された平祐奈

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 ここ最近、10代女優の活躍の場に変化が見られる。以前と比べ、バラエティーや情報番組に出演するケースが増えているのだ。その背景についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが分析する。


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 この春から『もしもツアーズ』(フジテレビ系)のレギュラーに福原遥さん(18歳)、平祐奈さん(18歳)、伊藤萌々香さん(19歳)、『王様のブランチ』のレギュラーに大友花恋さん(17歳)、山本舞香さん(19歳)が起用されています。


 その他にも永野芽郁(17歳)さんも多くのバラエティー番組にゲスト出演していますし、昨年6月で20歳になった三吉彩花さんも10代のころから『メレンゲの気持ち』に出演。明らかにバラエティー番組に出演する10代女優が増えています。


 これは単なる偶然ではなく、芸能界をとりまく変化と事務所の戦略によるものです。


◆松岡茉優や二階堂ふみの成功で低年齢化


 かつて10代女優は、「女優として演技で実績を積むまでバラエティー番組は出ない」というスタンスが主流でしたが、松岡茉優さん(22歳)や二階堂ふみさん(22歳)らがバラエティー番組への出演を女優業のステップアップにつなげた成功例を受けて、低年齢化が加速しています。


 10代女優がバラエティー番組を目指す最大の理由は、知名度と好感度のアップ。もともと10代女優は、モデル系なら女性、グラビア系なら男性とファンが偏りがちであり、若年層以外に自らの存在を知ってもらう機会があまりありません。その点、老若男女の目にふれるバラエティー番組は、多くの人々に自分の顔と名前を知ってもらうチャンスなのです。


 実際、二階堂ふみさんは『ぐるぐるナインティナイン』(日本テレビ系)の看板コーナー「グルメチキンレース・ゴチになります!」のレギュラーとなり、持ち前の明るいキャラを見せて、知名度と好感度を上げました。ちなみに二階堂さん自身、出演の理由を「知名度を広めたいと思った」と明かしています。



◆学園ドラマの激減で『朝ドラ』頼みに


「知名度や好感度なら本業のドラマや映画で上げればいいのに」と思うかもしれませんが、「それが難しいからこそ、バラエティー番組に進出している」のもまた事実。


 本来、10代女優のホームグラウンドになるのは学園ドラマ。過去を振り返ってみても、『3年B組金八先生』(TBS系)、『スクール☆ウォーズ』(TBS系)、『愛しあってるかい!』(フジテレビ系)、『あすなろ白書』(フジテレビ系)、『白線流し』(フジテレビ系)、『GTO』(フジテレビ系)、『ごくせん』(日本テレビ系)、『WATER BOYS』(フジテレビ系)、『オレンジデイズ』(TBS系)、『ドラゴン桜』(TBS系)、『花より男子』(TBS系)、『野ブタ。をプロデュース』(日本テレビ系)、『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』(フジテレビ系)など、中学・高校・大学を通じて多くの学園ドラマがありましたが、今では年間数本しかありません。学園が舞台の恋愛映画は量産されていますが、「単発である上に、客層が偏り、演技の評価に直結しにくい」などの問題があります。


 現在の連ドラは刑事、医療、職業モノが多いため、10代女優が出演するとしたら、「主要キャストの娘」という役がほとんど。あるいは、『べっぴんさん』(NHK)の芳根京子さん、今秋に放送される『わろてんか』の葵わかなさんのように、朝ドラのオーディションを勝ち抜くしかないのです。


ただ、どちらも非常に狭き門であり、役の数に対する競争倍率は20代女優以上と言っていいでしょう。つまり、「10代女優は演じる場が少ないため、バラエティー番組に進出している」という事情もあるのです。


◆グループアイドル増加で競争激化


 もう1つふれておきたいのは、同世代芸能人の動向。10代の女性芸能人と言えば、真っ先に挙げられるのが、グループアイドルの増加であり、AKB48グループを見ても分かるように、その数は増えています。


 10代のグループアイドルたちも、歌って踊っているだけではありません。女優業に進出する人も多く、本業が女優の人たちにとってはライバルそのもの。10代女優には、「アイドルに知名度と好感度で負けないように、バラエティー番組に出演している」という側面があるのです。


 近年は10代女優とグループアイドルの活動フィールドがボーダーレス化。アイドルがドラマや映画に出るだけでなく、逆に10代女優がアイドルのような写真集を出したり、バラエティー番組でアイドル顔負けの思い切ったリアクションを見せたりしています。


 10代女優の本音としては、「演技でアイドルとの違いを見せつけたい」のでしょうが、肝心の演じる場が少ないため、それができないのがつらいところ。「10代の女性タレント全体が増えている分、さまざまな仕事で競合し、ファンを奪い合わなければいけない」という現象が起きているのです。


◆世代トップの広瀬すずに追いつき、追い越せ


 芸能事務所としても、「女優として売り出したいし、もっと経験を積ませたい」と思っているけど、「そうもいかない」というのが現実。「オーディションを受けてチャンスをうかがいつつも、バラエティー番組で知名度と好感度を上げ、20代で女優業を本格化させたい」と考えているのです。


 現在、10代女優で最も成功しているのは、広瀬すずさん(18歳)で間違いないでしょう。今年4本の大型映画に主演かヒロインとして出演するほか、CM出演も芸能界全体でトップクラス。連ドラにも年1本程度コンスタントに出演しているほか、宣伝絡みで出演するバラエティー番組でもメインゲストとして扱われています。


 今では、広瀬さんのように10代から思うような活動ができる女優はまれ。しかし、10代で得た人気が20代・30代と続いていくかは別問題だけに、“バラエティー番組経由”の10代女優たちにも、世代トップの広瀬さんを追い抜くチャンスが残されていますし、もしかしたら国民的女優に登り詰めるかもしれません。


 この春からバラエティー番組に挑む10代女優たちの初々しい姿を先物買いしてみてはいかがでしょうか。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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