「ワイルド・スピード ICE BREAK」は小学生並みの発想でできている、最高だ

5月7日(日)10時0分 エキサイトレビュー

今や世界でもトップクラスに稼ぐモンスタータイトルに育った『ワイルド・スピード』シリーズ。その最新作『ワイルド・スピード ICE BREAK』では、とうとうクルマが潜水艦とガチンコのバトルを繰り広げる。さらっと書いちゃったけど、潜水艦ですよ潜水艦……。
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最新作は小学生並みの発想でできてます


シリーズを通してリーダー格として「ファミリー」を引っ張ってきたドミニク(ヴィン・ディーゼル)。現在はキューバのハバナで恋人のレティ(ミシェル・ロドリゲス)とともに休暇を過ごす彼だったが、そこに凄腕ハッカーのサイファー(シャーリーズ・セロン)が接触。ドミニクの"ある秘密"をネタに、彼を脅迫する。その後ホブス(ドウェイン・ジョンソン)の依頼によりベルリンでの電磁パルス砲(電子機器を使用不能にする装置)強奪任務を遂行するドミニクと仲間たちだったが、その最中にドミニクが仲間を裏切りチームから逃走! 「ファミリー」を裏切ったドミニクの真意は。そしてバラバラになってしまった彼らの絆は元に戻るのか!

というあらすじなんですが、シリーズ物の映画のつらいところで、これだけ書いてもよく分からない。とにかくドミニクというのは『ドラゴンボール』でいうと孫悟空クラスのどえらい男で、そいつが仲間を裏切って逃げた! なんで!? という程度に理解できれば大体本編の内容はわかるはず。

シリーズを重ねるごとにカーアクションは過剰に、価値観は地元の不良並みになってきたワイスピだけど、本作は現状その中で最も過剰な作品である。爆発の量はシリーズ最多。これでもかとばかりに高級車が横転し爆発し穴だらけになり、最終的には潜水艦と戦う。もう一回いうけど、クルマ対潜水艦である。この映画は男子小学生がプロデュースしているのではないだろうか。

5作目でドウェイン・"ザ・ロック"・ジョンソンが、7作目でジェイソン・ステイサムが登場したことで、主演のヴィン・ディーゼルに加えて頭に毛がない主役級の人が3人に増えることになったが、『ICE BREAK』ではそれぞれの見せ場も充分。アクション自体も雄叫びをあげながら豪快に相手をぶっ飛ばすロック様、拳銃とのコンビネーションを多様しプロっぽいシャープな動きのステイサムと、キャラクターごとに色分けがはっきりしていて楽しい。「同じ場面で毛がない人が2人以上ワチャワチャしない」「悪墜ちしたら服が黒くなる」など、映画全体は見やすさ重視のわかりやすい設計なので主役級キャラ3人のヘアスタイルが似ているのはさほど気にならなかった。

怒涛のファミリー推しに悶絶!


とにかくワイスピにおいてキモになるのが「ファミリー」という概念である。ワイスピ、元々は運転が上手い地元の不良が組んだ車両強盗チームを主題にした映画だったんだけど、シリーズを追うごとに話の規模がでかくなり続け、今や「地元のツレが電話一本で呼び出されて、世界規模のピンチに立ち向かう」というとんでもないことになっている。この車両強盗チームをコアにした、ドミニク率いる凄腕ドライバー集団が通称「ファミリー」と呼ばれているのだ。

この「ファミリー」の結束は強い。なんせワイスピでは毎回事件が解決するとドミニクの家に集まってバーベキューをやり、飯を食う前にはみんなでお祈りをするのだ。仲良しである。こういう「大親友の彼女のツレでおいしいパスタ作ったお前」みたいな湘南乃風的地元のツレ感と核ミサイルや潜水艦や最新鋭の偵察衛星など世界規模の超大規模な話が、特に何の疑問もなくシームレスにつながっているのがワイスピの真の異常さである。

『ICE BREAK』ではこの「ファミリー」の概念の押し出されぶりが半端ではない。なんせ大黒柱でありカリスマであるドミニクがファミリーを裏切っちゃって、みんな大パニックになる。正直ちょっとやかましい。やかましいのだが、しかし、非常にわかりやすくベッタベタな演出のおかげで気がついたらうまく乗せられてしまっている。挙句、最後にはちょっと泣いたりしてしまう。このヌケヌケとベタなことをやり、しかもちょっと泣かせるというさじ加減が本作の大きな見所である。

という映画なので、『ICE BREAK』はできれば今までのシリーズを見てから映画館に行った方が楽しめる。面倒だったら適当にググって過去作のストーリーを軽くおさらいするだけでもだいぶ結果は違うはず。ワイスピは数年に一度のお祭りみたいなものなので、ここで乗らないのは損なのである。
(しげる)

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