マッチングアプリ使う女性 ロマンス依存の懸念も

5月7日(日)7時0分 NEWSポストセブン

利用者数を伸ばし続けるマッチングアプリ

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 今や恋愛・婚活においてマッチングアプリを利用する人も珍しくはなくなった。カップル専用コミュニケーションアプリ「Couples」を展開するエウレカが手がけるマッチングアプリサービス「Pairs」は、昨年内で累計会員数500万人を突破。またスワイプするだけで手軽に相手を見つけられるとして人気のアプリ「Tinder」は、今年3月、ブラウザー向けアプリ「Tinder Online」をリリース 。アプリ内では日々気軽に男女の出会いが繰り広げられているが、その実態とはいかなるものなのか。


 マッチングアプリは、従来の “出会い系サイト”と本質的には変わらない。大きく異なるのは、大手人材サービスやIT企業大手が運営元であるという「安心感」が作用することで、後ろめたさが払拭されていることだろう。具体的には、「サクラなし」「月額制課金制」「Facebook連携」「年齢認証」「プロフィール審査」といった形として機能しており、支持を得てきた。


 現在、マッチングアプリは「友達作り」「恋活」「婚活」と目的別に大別でき、ライトなものから本気なものまで幅広いニーズに対応している。システム面を見ると、プロフィール写真から相手を「あり」か「なし」で振り分け、男女お互いに「あり」ならマッチング。もしくは、気に入った相手に「いいね」して、それを相手が承認すればマッチングという2タイプが主流となっている。


 アラサーの筆者(男)も出会いを求め、マッチングアプリを約1年にわたって使ってきた。利用したマッチングアプリは以下の6つだ。


【1】おしゃれな人が多い「Pairs」

【2】親しみやすい人が多く、機能もわかりやすい「Omiai」

【3】「Pairs」と「Omiai」のいいとこどりで、有名メンタリスト監修の「with」

【4】基本的に1日1人を紹介、すれ違いでも“いいね”が送れる「マッチアラーム」

【5】男友達からライト恋活を求める20代前半女性が多い「タップル誕生」

【6】外国人が多く登録する「Tinder」


“いいね”してもスルーされたり、「シフトが出たらまた連絡するね」「今、仕事でバタバタしていて……」など、事実上の“デートお断り常套句”のオンパレードを受けたり、果てはメッセージを送った直後、相手に退会されるというトラブルも起こるなど悪戦苦闘の連続。しかしプロフィールや写真、メッセージを工夫するなどして、実際に会うことができた女性たちとのやり取りは、次ようなものだった。



■彼氏との倦怠期に“ときめき”求め登録


 大手飲食チェーン勤務のAさん(26)は、トレンドを押さえたファッション、目鼻立ちがくっきりとした可憐な姿とは対照的に、指先に火傷の跡や手荒れのある生々しさが印象的だった。彼女が働く飲食チェーンに足繁く通っていたある日、アプリを始めた理由を問うと、伏し目がちにこう話した。


「実は付き合って3年の彼氏がいて……今は店舗が違うんですけど、なかなか会えなくて。それで好きか嫌いかわからなくなって、ときめきを求めて登録したんです。男性とやりとりしていると、なんだか彼と出会ったときみたいにドキドキして楽しくて」


 学生時代はスポーツに夢中で恋愛どころではなく、社会人になって初めてできたという彼氏。私は寂しさを紛らせるための“アテ”だったというわけだ。


■激務の看護師 「いいね」と褒められたい一心で大胆に


 都内の大学病院に勤める看護師のBさん(27)は、シャツから胸元がチラリと見える写真を載せていることもあるのか、プロフィールに表示される「いいね」の数が多い女性の一人だ。しかし、実際会ってみると露出は少なめ、モノトーンの地味な装い。私と出身地と現在の最寄り駅が近いという理由から、ローカルトークで盛り上がった。


「『いいね』がもらえると、うれしくてつい大胆になってしまうんです。プロフィール写真をSNOWで加工したり、新しい服を買ったり、胸を強調してみたり。あとはヘアアレンジしてみるとか、とにかく盛ると『いいね』が増えて楽しくて、もう趣味みたいなものです」


 特に、現在の激務薄給の環境から、せめて夜勤のない訪問看護師か保健師に転職しようか悩んでいるとき、「いいね」がたくさん付くと不思議と気持ちが紛れたという。


■20代介護職 アプリの会話だけでも満足


「男性と付き合ったことがない」という都内の老人ホームで働く介護職のCさん(24)は、美しいストレートヘアの黒髪が目を引く女性。内気なのか、話すときにあまり目を合わさなかった。


「若い男性が少ない職場で、毎日が家と会社の往復だけになっている状況を変えたいと思って、同僚と一緒に始めたんです。アプリで男の人に相手をしてもらって会話するのはすごく楽しくて、『かわいいね』とか『モテるでしょ?』とか言われるだけで満足でした。でも同僚がアプリで彼氏ができてから、すごく焦ってしまって。私も男性とお付き合いしてみたいし、実際に会ってみようかなって思ったんです。何人か会ったんですが、なかなか次につながらなくて……」


 酒が進むと、職場で撮ったお年寄りとの写真を私に見せてきては、楽しそうに詳細な人物紹介をしてくれる心優しい女性だった。


■寂しがり屋の保育士 アプリで“出会い”慣れ


 都内の認可保育園に勤務するDさん(28)は、おとなしい口調で、笑顔が印象的な女性。 “ゆるふわ”な印象とは裏腹に、夜になるとメッセージが頻繁に来て、返信を催促してくることも多々あった。


「ごめんね、何度もメッセージ送っちゃって。1人暮らし始めたばかりで暇でさ。職場も0歳児担当になっちゃって、プレッシャーがすごくてさ。本当に何かあったら怖いんだよ、うつぶせ寝してないかとか見てないといけないし。でもよかったー〇〇くんが話を聞いてくれて」


 私より年下だが、最初からメールも会話もタメ口で名前も“くん”づけ。飲み終わると、「居酒屋おいしかった」「指がきれい」と褒められ、しきりに家で飲まないかと誘われる。都内の下町に住む彼女のアパートに到着すると、


「元カレもこのアプリで出会った人でね。でも最初は最後まではしなかったからね。私、そんなに肉食じゃないから。さあ、飲もう飲もう!」


 と元気がいい。“お預け”状態のまま、元カレとの思い出や保育士の給料の安さについて、熱く語られる夜となった。



■ひたすらときめきを追い続ける“ロマンス依存”に注意


 その他マッチングアプリには、「仕事命で友人を失い、飲み友を募るOL」「年収600万以上の男性を探し続けるアラサー」「日本語の話相手兼恋人を探している留学生」など、実に様々な目的の人がいる。気軽に人と話したい、出会いたい向きには便利だが、大月短期大学で教鞭をとる社会心理学者の川島洋氏は、こう警鐘を鳴らす。


「各々の目的遂行のために利用する分には、特別問題とは感じません。ただし、こういう動機の中に、一部問題に発展する人がいるので注意が必要です。恋愛自体に依存してしまう “恋愛依存症”という問題も起こる可能性もあります。中でも、ときめく恋愛をひたすら求める“ロマンス依存”が考えられます。通常リアルな恋愛では、ときめきを感じ続けるのは非常に難しいですが、マッチングアプリなら、メッセージを通して同時に複数のときめきを得られてしまう。快感を得られるようになっても自制が効くうちはいいのですが、最悪の場合は日常生活に支障をきたしかねません」


 仮に恋愛依存症の問題が起こっていたとしても、アプリの特性から顕在化されにくい危険をはらんでいるという。


「買い物依存症や薬物依存症はお金の痛手があるものの、マッチングアプリの場合、女性は基本的に無料で利用できるので、自制が効きにくくなります。借金といった目に見える形で問題が浮かび上がらないので、表に出にくいんです」


 確かに自身の経験を振り返っても、リアルで恋愛を求めているつもりが、いつの間にかゲーム感覚に陥り、“こう会話すれば、こう反応してくるだろう”という攻略行為に夢中になり、アプリ内でのやりとりで完結した、いわば“疑似恋愛”で充足を覚えることはあった。ときめきたい、褒められたい、存在を認められたい——。女性にとってマッチングアプリは、ツイッターとフェイスブックといったSNSの延長線上に位置づけられるのかもしれない。反面、依存という副産物を念頭に置いた上で健全な利用が望ましいといえそうだ。

NEWSポストセブン

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