公明党と創価学会と鉄道の濃くて深い関係

5月7日(日)7時0分 NEWSポストセブン

「こうめい鉄道部」左から斉藤鉄夫・伊藤渉・新妻秀規・三浦信祐

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 ゴールデンウィークには鉄道ファンが待ち望む特別な列車の運行が多い。この数年、その臨時列車のひとつに「ニコニコ超会議号」と呼ばれた幕張メッセで行われるニコニコ超会議に行くための列車があった。残念ながら今年は運行されなかったが、ニコニコ超会議2017でおこなわれた「こうめい鉄道部」イベントから、今は見られることがなくなった大規模臨時列車について、フリーライターの小川裕夫氏が振り返った。


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 毎年、ゴールデンウィークに千葉県千葉市の幕張メッセで開催されるニコニコ超会議では、鉄道事業者が一堂に介するエリア”ニコニコ超鉄道”が設けられている。今年のニコニコ超鉄道では、昨年3月に新型車両A3000形をデビューさせた静岡鉄道が同車両をPRするために初出展した。


 静岡鉄道が初参戦したという話題はあったものの、毎年恒例となっていた”ニコニコ超会議号”が諸般の事情で運行を取り止めた。残念ながら、今年の”超鉄道”は、全体的に話題が乏しい内容だった。


 しかし、誰もが日常的に使う鉄道は、当たり前だが鉄道ファンだけのモノではない。鉄道を趣味としない人でも、鉄道について一家言持っている人はいるだろう。”超鉄道”とはまったく別の場所に陣取っていた公明党ブースでは、テツ議員4人が登壇して鉄道トークに花を咲かせた。


“こうめい鉄道部”は、斉藤鉄夫元環境大臣が部長を務める公明党内の同好会。トークショーの冒頭、斉藤元環境大臣は「自分の名前が”鉄夫”だからテツである」と笑いを誘い。自身が時刻表をこよなく愛する時刻表鉄であることをカミングアウトした。


 伊藤渉衆議院議員は、大学院修了後にJR東海に入社。新幹線の運転士免許を保有する正真正銘の”乗り鉄”。国会議員で唯一、新幹線を運転できるという自己紹介をしている。ただし、プロの鉄道マンだった経験から”こうめい鉄道部”に入部しているが、鉄道知識は、「テツ3人の話についていくのが精一杯」と本音を吐露した。


 そのほか、川崎重工とボーイング社に勤務した経験から宇宙開発や航空工学の知識が豊富な新妻秀規参議院議員、防衛大学校で准教授として教鞭を執った経験がある三浦信祐参議院議員など、鉄分の濃いメンバーが揃っている。


 野党に下野していた時期こそあったが、1999(平成11)年に自民党と公明党が連立政権を組んで以降、国土交通大臣のポストは北川一雄衆議院議員、故・冬柴鉄三衆議院議員、太田昭宏衆議院議員、そして現国土交通大臣の石井啓一衆議院議員といったように公明党の指定席になりつつある。特に政権与党に復帰してからは、ずっと公明党議員が国土交通大臣を務めている。


 そして、公明党のみならず支持母体である創価学会も鉄道とは深い関係にある。かつて創価学会は、静岡県富士宮市にある日蓮正宗総本山・大石寺へ信者がこぞって参詣登山をしていた。公称840万世帯ともいわれる創価学会だけあって、信者は全国に多く散らばっている。多くの信者が夢見る大石寺登山だったが、個々が自動車に乗って総本山を参詣したら道路は渋滞してしまうし、混雑によって周辺住民にも迷惑がかかる。また、不経済でもある。


 そうした事情から、創価学会は国鉄と交渉して1991(平成9)年まで団体専用列車を仕立てていた。JR身延線の富士宮駅まで運行する同列車は、鉄道ファンから”創価学会団体臨時列車”(通称:創臨)と呼ばれた。こうした団体列車は創価学会だけの専売特許ではなく、天理教や金光教なども同様の臨時列車を仕立てていた。ただ、創価学会の組織規模が巨大だったことから、頻繁に創臨は運行された。そのため、国鉄にとって創価学会は上客とされていた。


 創臨が運行されなくなったのは、総本山・大石寺と創価学会の関係がギクシャクしたからだ。その結果、鉄道ファンを落胆させることにもなった。


 創価学会といえば、長年にわたり指導者的立場にいる池田大作名誉会長が伝説的な存在として知られる。池田伝説には、名誉会長就任前の若かりし池田青年の話もたくさん口伝されている。その伝によると、若き頃の池田名誉会長は人一倍、布教活動に情熱を燃やし、寝る間を惜しんで日本全国を寝台列車で移動したという。


 当時、寝台列車は日本全国でたくさん走っており、池田名誉会長はそれらを駆使した。睡眠時間は移動時間のみ。過酷ではあるが、池田名誉会長は乗り鉄が驚くようなスケジュールを組み、寝台列車を乗りこなしていた。当時、乗り換え検索アプリはないから、時刻表を眺めて乗車スケジュールを組んでいたはずだ。


 その乗りこなしの軌跡は、テツオタでも舌を巻くレベルにまで達している。だから、池田名誉会長は鉄道が好きなのではないか? と鉄道ファンの間でささやかれるほどだった。


 長年の疑問が、氷解したのは約10年前。創価学会の本拠地として知られる東京・信濃町を訪れたときのことだった。信濃町には、あちこちに創価学会関連施設が立地しているが、そのひとつに常楽会館という信者の休憩・交流施設がある。


 同施設は信者しか入館できないが、創価学会の友人に誘われて中に入ってみると、そこにはHOゲージと呼ばれる鉄道模型が所狭しと飾られていた。施設の職員の説明によれば、「創価学会は発展途上国の近代化にも貢献している。各国が経済発展のお礼として、インフラ整備の象徴である鉄道の模型を贈ってくる」のだという。


 鉄道が都市開発や経済発展に欠かせないインフラであることは否定しないが、そのお礼として一般的ではないHOゲージという大きな模型を贈るというのは解せない。仮に各国からHOゲージが寄贈されたとして、それを誇らしげに展示する理由は、マニア特有のコレクションを人に見てもらいたい願望が心の片隅にあるからなのではないか?


 鉄道模型を収集するマニア、いわゆる模型鉄は多くいる。日本国内において模型鉄の主流は、一般的に広く知られるNゲージだ(実物の1/148 から1/160の模型)。Nゲージは量販店でも販売しているので入手しやすく、値段も手頃。置き場所にも困らない。


 一方、HOゲージは専門店に行かなければ買うことは難しい。実物の1/87とNゲージに比べてサイズが大きいため、展示・保管する場所を確保するにも一苦労。ジオラマも比例して大きくなるから、走らせて遊ぶにも広大なスペースが必要になる。最近はNゲージを走らせられるバーやカフェなどもあるが、HOゲージを走らせられる場所を見つけることは容易ではない。


 常楽会館のHOゲージ展示には、テツ特有の繊細さやこだわりも感じられた。寝台列車を乗りこなしたという武勇伝にくわえ、展示されたHOゲージを見て、池田名誉会長は間違いなく鉄道が好きなのだと確信した。


 今や公明党・創価学会と鉄道は、切っても切り離せない関係になっている。それだけに”こうめい鉄道部”の活動は、テツのみならず政治ウォッチャーにとっても無関心ではいられないだろう。

NEWSポストセブン

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