70歳・小日向文世、全うした俳優人生最後の“欲張り”「代表作に巡り合えたら」

2024年5月9日(木)8時0分 マイナビニュース

●『Believe』の木村拓哉は「若くなってる」
俳優の木村拓哉を主演に、テレビ朝日開局65周年を記念して送るオリジナル大作『Believe—君にかける橋—』(毎週木曜21:00〜)。放送前の注目度を裏切らない反響を巻き起こしている。井上由美子脚本、常廣丈太監督の『BG〜身辺警護人〜』チームが再集結した本作で木村が演じるのは大手ゼネコン「帝和建設」に所属する設計者の狩山陸。物語は、橋づくりに人生をかけてきた狩山のまさに目の前において、東京都が心血を注ぐ一大プロジェクト・龍神大橋の建設現場で大事故が発生したことから幕を開けた。
「会社を守るため」に全責任をかぶり実刑判決を受けた狩山。それを懇願したのが、小日向文世演じる社長の磯田典孝だった。木村と『HERO』シリーズ、映画『マスカレード』シリーズ、『教場』シリーズ、井上とは『緊急取調室』などで組んできた小日向だが、本作では、これまでと違う印象を受けたと明かす。
また今年1月に70歳を迎えた小日向は、「もう疲れちゃって。こういう取材も面倒くさいんですよ」とぼやき節を見せながら、「でも、人生これからせいぜい10年、20年ちょっとの中で、“これこそ、小日向が年を取ってからの代表作”という作品に出会いたい」と語った。
○■今作の脚本に「井上さんっぽくないな」
『Believe—君にかける橋—』で、狩山が勤務する大手ゼネコン「帝和建設」の物腰柔らかな社長・磯田を演じている小日向。「僕は井上さんの脚本だと、『緊急取調室』と、その前にも『新マチベン 〜オトナの出番〜』(NHK)と『SCANDAL』(TBS)をやらせてもらってるかな。でもなんといっても、シリーズで出させていただいた『緊急取調室』の印象が強いですね。けど今回は、“井上さんの作品っぽくないな”と思いました」と第一印象を語り始めた。
「すごく硬派というか。そういう意味でも新しい感じがします。『緊急取調室』も、硬派な一面もあるんだけど、天海さん(天海祐希)とか田中てっちゃん(田中哲司)とか、あとは取り調べの男と女の絶妙な機微みたいなものが描かれていたりする。今回も木村くんと天海さんが夫婦で、そこの物語でも井上さんが本領を発揮すると思うんですが、意外と、それ以外の男たちの会社でのやりとりとか、現場のやりとりといったシーンも多いので、これまでの井上作品とはちょっと違う毛色がある。だから僕も仕上がりをすごく楽しみにしているんです」
○■『Believe』の木村拓哉は「若くなってる」
さらにこれまで幾度も組んできた木村の印象にも、新鮮さを覚えているという。
「今までの僕が知ってる木村くんの役どころって、どちらかというとヒーロー的な存在、ヒーロー的なものを兼ねている役柄、というか、いずれにせよ脚光を浴びる人だったんだよね。ひとりバーンと突っ走っていくような印象。でも今回は、ある事件に巻き込まれて翻ろうされていくんです。いろんな人たちと関わって、ぐるぐる振り回されていく。そこで苦悩していく木村くんは、僕にとってすごく新鮮です」
そして“苦悩する役柄”としながら「なんか若返っている」とも。
「51歳に見えないんですよ。前回会ったときはCX(フジテレビ『教場』)だったんだけど、役作りもあってか、表情がひとり孤高で暗い感じだった。今はそのときより若くなってる。それと柔らかくなった感じがあります。実際の絡みはまだ1話で放送された部分しかないんだけど、現場でふっと会ったときの感じとか、柔らかくなって若くなった印象だし、どこか今までと違うんですよね。新鮮な感じがありますよ」
●70歳迎えての本音「もういいやって思うところも」
○■父が亡くなった80歳まであと10年「毎日考えますよ」
若いといえば、小日向もいつもハツラツと若々しい印象。この1月に70歳を迎えたが、俳優は定年のない職業だ。しかし小日向本人は、「正直、ちょっと面倒くさくなっちゃって」とこぼす。
「家にいるのが楽しくて、現場に行きたくなくなっちゃうんです。おじいちゃんって、家にいて、甘いものを食べながらお茶飲んでるようなイメージがありません? なんかね、本当にあんな感じなんですよ。甘い物食べながら、のんびり家にいるのが好きになっちゃって。こういう取材もホントは面倒くさい。だって頭使うでしょう」
身もふたもない言葉が返ってきたが、いまは人生100年時代とも。それを思えば70歳はまだまだ若い。
「僕の父が80歳で亡くなったんです。それを考えるとあと10年しかないでしょ。10年なんてあっという間です。毎日のように考えますよ。あっという間に終わるんだから、“あれを早めに処分しなきゃ”って、部屋の整理をしたりしてね。時間がないなら、うちの女房といる時間を、ただぼーっと見ててももったいない。“一緒にいろんなところに旅行に行ったりしなきゃ!”とかね。そしたら仕事してる場合じゃないですから」
○■“年を取ってからの代表作”と言われる作品に出会えたら
部屋の片づけが、自分の仕事の歴史を振り返ることにもつながった。
「忙しいときの月間スケジュールが残っていてね。僕ね、結構、作品を撮ってたんですよ。もうね、見ると吐きそうになりますよ。“よくこんなに仕事してたな”って。本当によくやったと思う。自分でも。だからもういいやって、正直思うところもあるんです」とは、俳優・小日向の作品を楽しみに受け取っている側としては、寂しい言葉だが、カメラの外の生活を充実させることも重要だとジレンマを感じながら聞いていると、最後に次のように本音を明かしてくれた。
「ただね、記念すべき作品というのかな。これからあと、10年ちょっとか、せいぜい20年ちょっとかもしれない一生で、自分のなかで“これはいい作品に巡り合えたな”と思える作品にね、欲張って巡り合いたいなとも思ってるんです。“これこそ、小日向さんが年を取ってからの代表作だね!”と言われる作品に、巡り合えたらと。この『Believe』も含めてね」
■小日向文世
1954年1月23日生まれ、北海道出身。1977年串田和美主宰の「オンシアター自由劇場」に入団し、96年の同劇団解散まで、19年間在籍し活躍。解散後は映像にも活動の場を広げ、『銀のエンゼル』(04)で初主演。98年の『愛を乞うひと』で存在感を見せる。木村拓哉主演の月9ドラマ『HERO』にてメインキャストを務め人気を博す。『アウトレイジ ビヨンド』(12)で第86回キネマ旬報ベスト・テン助演男優賞受賞。近年の主な出演作に映画『サバイバルファミリー』、『マスカレード・ホテル』シリーズ、『コンフィデンスマンJP』シリーズ、『映画 イチケイのカラス』、『湯道』、ドラマ『緊急取調室』シリーズ、大河ドラマ『真田丸』など。
望月ふみ 70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビュー取材が中心で月に20本ほど担当。もちろんコラム系も書きます。愛猫との時間が癒しで、家全体の猫部屋化が加速中。 この著者の記事一覧はこちら

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