優良ケアハウスから退去を迫られた義父。理由は女性入居者への自分勝手な妄想

5月10日(月)12時5分 婦人公論.jp


イラスト:あずみ虫

「人生100年」と言われる時代。「老後」を迎えた父母とどう付き合っていけばいいのかに頭を悩ませる人も多い。しかも、相手がトラブルメーカーだったら……。久保さん(仮名、主婦)は、義母が亡くなってからの義父の振る舞いに振り回されているという

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近所でも変わり者と言われる義父


30年前に結婚した夫は長男だったので、結婚と同時に義父と義母と同居することになりました。義母は体が弱く、物静かな性格で、「これならうまくやっていける」と、確信をもって同居をはじめたのです。

しかし問題は、義父のほうでした。とにかくイヤミな人で、人の気持ちなんかおかまいなしに言いたいことをズケズケ言う。こちらが何か意見でも言おうものなら、「嫁のくせに偉そうなことを言うな!」「出て行け!!」と罵声を浴びせられる。それが原因で実家へ帰ったことも何度かあります。

聞けば近所でも変わり者と言われていたそうで、もっと早くに知っていれば、同居を見送るなど打つ手はあったかもしれませんが、それも後の祭り。「老害」というよりほかありません。

結婚して5年、義母は容体が悪くなり、ついに他界してしまいました。義父はすっかり気落ちし、寂しい気持ちもあったようです。「これからよろしくな」と私たちに頭を下げました。しばらくの間はおとなしくしていたのですが……。

義父は趣味で写真のサークルに入っていました。毎週、参加するのを楽しみにして、写真をたくさん撮ってきては、家族みんなに見せたものです。義母が亡くなって3年ほど過ぎた頃、同じサークルの女性と意気投合。相手の女性も夫を亡くしていて、お互い寂しさから付き合い始めたのです。ただ、夫が結婚だけは許さなかったので、二人は婚姻届は出しませんでした。

義父は女性と付き合っている間は別宅を構え、女性もそこに通っていました。二人の関係は20年あまり続きましたが、だんだん女性の体調が悪くなっていったのです。とうとう入院生活になり、義父はお見舞いに通うも、女性は他界……。

義父は今まで見たことがないくらい落ち込んでいました。そうして女性が亡くなってからは、一人暮らしをすることになったのです。本題はここから始まります。

ケアハウスに入居したけれど


一人になった義父が通うようになったのが、デイサービス。車で迎えに来てくれて、週2回ケアハウスに通います。妻を亡くした寂しさがまぎれるのでしょう。デイサービスから帰ってくると楽しそうに話をしてくれました。

ある日、義父は突然「あのケアハウスに入居したい」と言い出したのです。私たちは知人に頼んで手続きに奔走。知人へのお礼や荷物の移動と、バタバタしながら入居を完了させました。この上なく良い施設に、毎日の美味しいご飯、楽しいイベント、優しい職員さんと、私たちの気分も高まりました。

しかし義父の性格上、集団生活は無理でした。案の定、問題を起こしたのです。女性部屋への勝手な入室、注意した職員さんに対する暴言……。何回注意してもルールを守りません。

あげくの果てに「好きな人ができた。一緒の部屋にしてほしい!」と要求。相手の女性にはまったくその気がないのに、「お互い好いている」と思い込む義父。「一緒になる約束をしたんだ!」とヘンな妄想まで抱いているのです。ケアハウスの施設長さんと相談した結果、退居となりました。

入居5ヵ月という短い期間で退居することになった義父。その思い込みはどこから来るんだろうと、ホトホト疲れ果ててしまいました。でも本人に反省の色はまったくありません。

勝手な妄想を抱いて、女性の入居者に声をかけ


退居後は別宅で元の生活をしていましたが、それも長くは続きませんでした。一度ケアハウスの良さを知ってしまった義父は、食事の支度や体調が悪くなったときのことを考えて、一人で生活することへの不安が湧いてきたのです。「新しいケアハウスを探してほしい」と言ってきました。「今度は大丈夫かな?」と夫と話し合い、下見を兼ねて義父と施設見学に行くことに。

家から離れた街なかには、空きのある施設がありました。静かで清潔なケアハウスを義父もとても気に入ったようで、すぐに入居を決めたのです。

義父にはしつこいくらい、「プライバシーの問題があるから、他人の部屋には絶対に入らないこと」「迷惑はかけないこと」を約束させました。しかしそれも結局、守られることはなかったのです。

まったく知らない土地に来たので、入居当初は慣れない部分もあったよう。食事のときも、ほかの入居者とあまり会話ができないと嘆いていました。それでも、施設は街なかにあるので買い物も徒歩で行けるし、天気が良ければ散歩を兼ねてブラッと外出するなど、退屈しない日々を送っていたようです。「今度こそ大丈夫!」と思っていた矢先、施設長から電話がかかってきました。

「おじいさんのことで……」。まさか! また女の人のところへ? 今度は、部屋には入らなかったようですが、また勝手な妄想を抱いて女性の入居者に声をかけたとか。「自分に好意を持ってくれている」と思い込んで言い寄ったらしい。それでも自分は何も悪いことはしていないと言い張る。前回と同じような理由で、こちらも退居せざるをえなくなりました。

もう、病気としか考えられません。「義父は女の人がいないと寂しくて仕方ないんだな」と思うことにしました。

介護施設での入居者同士の恋愛は、よくある話だと聞きます。「いくつになっても男と女」は、元気な証拠でしょう。しかし好意が一方的で相手をまきこんでしまうと、ややこしい。そしていったんもつれると、本人も傷ついてしまう。義父は感情を表すのが下手で、暴走してしまうタイプのようです。まさかの行動に驚くやらあきれるやら。

昔から義父には振りまわされていますが、元気が良すぎてこちらが参ってしまうほど。長生きの秘訣は、「自分の思うがままに生きる」「人の話に聞く耳を持たない」。これに限ると思います。

義父、85歳。「100まで生きるぞ!」と張り切っています。トホホ。

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