「小池圧勝」後は未熟者と頭の黒いネズミが増えるだけ

5月10日(水)7時0分 NEWSポストセブン

大前氏が都議選後を語る

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 東京都議会議員選挙を前に、小池百合子都知事の勢いにあやかろう、または反発するさまざまな動きが連日、報じられている。経営コンサルタントの大前研一氏が、都議会議員選挙のあとに予想される都政のゆくえを解説する。


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 7月2日投開票の東京都議会議員選挙までいよいよ2か月を切った。今のところ選挙の争点になりそうなのは、築地市場の豊洲移転問題くらいである。


 都議会自民党は、豊洲への早期移転を選挙公約に盛り込む方針だが、都の市場問題プロジェクトチームの小島敏郎座長は、築地市場を現在地で営業しながら建て替える再整備案を示した。小池百合子都知事は、二つの案を都庁内部で検討した上で結論は自らが「総合的に判断する」としている。都議選前にその判断が打ち出されれば一つの争点となりうるだろうが、今後4年間の都政を左右する選挙の争点としては、いかにも弱いと言わざるを得ない。


 石原慎太郎元知事や浜渦武生元副知事の責任を追及して対決姿勢を演出するという話もあるが、しょせんは過去の話である。しかも浜渦元副知事に至っては、端から移転先は豊洲でもどこでもよく、築地市場跡地の利権だけが目的だったと水面下では言われている。


 築地市場跡地は、日本で最も利用価値が高い土地である。銀座まで約800mしかなく、外側が晴海と勝どきで、それをすべて東京都が所有しているからだ。このエリアは東京都心に残っている最大にして最後のフロンティアであり、住宅地であれ、24時間ITタウンや金融街であれ、一体的に再開発したら莫大な価値になる。その利権争いの中心に浜渦氏がいたというのは、知る人ぞ知る話である。


 ところが今回、その点を都議会もマスコミも追及していない。したがって、築地市場の豊洲移転問題に関する石原元知事や浜渦元副知事の責任については、今後の東京都を占う都議選の争点にはなり得ないと思う。


 このまま争点があやふやな状態で都議選に突入したとしても、小池新党「都民ファーストの会」が圧勝し、公明党とともに都議会多数派を形成するという予想が大勢だ。


 だが、それで何ができるのか? ただ単に多くの未熟な“小池チルドレン”が誕生するだけで、東京都庁という伏魔殿は本質的には何も変わらず、利権を貪る“頭の黒いネズミ”がいっそう増殖するだけだろう。


 小池知事は、都議選に自身の政経塾「希望の塾」の塾生の中から都民ファーストの会公認で多数の候補者を擁立する考えを明らかにしているが、そもそも政治塾というのは、パナソニック創業者の松下幸之助氏が1979年に設立した「松下政経塾」を見ればわかるように、ある程度の成果が出るまでには優に20年かかる。


 私が1994年に創設した「一新塾」も、23年経ってようやく国会議員が11人(事務局出身者4人を含む)、市長・町長が9人、地方議員が110人(事務局出身者1人を含む)を数えているが、残念ながら、まだ首相や都道府県知事になりそうな政治家は登場していない。


 小池知事はマスコミと世論を味方につけて都議会自民党をつぶそうとしているが、それができたとしても、いずれは自民党と手を組むのではないかと思う。一新塾を真似て「維新政治塾」を設立した大阪維新の会も、当初は自民党をつぶしてくれるのではないかと期待したが、橋下徹前大阪市長の政界引退後は、松井一郎大阪府知事の下で自民党にすり寄っている。保守系の政治家は「いつかはクラウン」ならぬ、「いつかは自民党」なのである。


 結局、都民ファーストの会は、これまでの新党と同様に一時的なお祭り騒ぎに終わるだろう。それどころか、“小池チルドレン”は都政に渦巻くカネと利権にスポイルされて、スキャンダルが続出した小沢チルドレンや小泉チルドレン、橋下チルドレンの二の舞になるに違いない。


※週刊ポスト2017年5月19日号

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