夫が陽気なイケメンだったら、妻がもっと成熟した女なら、夫婦は噛み合ったのか? 否、結婚していなかったでしょう/『あなたのことはそれほど』第四話レビュー

5月11日(木)2時0分 messy

『あなたのことはそれほど』公式webサイトより

写真を拡大

妻の不貞と夫の不貞という夫婦二組を揺らすダブル不倫を描いている連続ドラマ『あなたのことはそれほど』(TBS系)、じわじわブームになってきているらしいですね? クローズアップされているのは、不倫する妻・美都(波瑠)と有島くん(鈴木伸之)の“クズっぷり”“ゲスぶり”ですとか、妻の不倫に気づき家庭内ストーカー的動きをする夫・涼太(東出昌大)の“キモさ”ですとか。

筆者は美都をクズともゲスとも思わないですが、なぜなら彼女は夫のことを全然好きじゃないし結婚への執着も見せないからです。そりゃ夫じゃなくて好きな男とセックスしてウキウキしたいよね。ただし「じゃあ何で結婚したんよ、ていうか離婚しなよ〜」とツッコミたい気持ちもあるんですが。有島くんに対しても、妻も産まれたての娘のことも大事に思ってる様子なので「じゃあ美都とリスク犯してまで不倫する理由なくね?」という疑問は沸きますが、ああいうの(=責任を負わなくていい恋愛)楽しいですもんね〜。

“キモさ爆発”で評価急上昇中の東出さん演じる夫にも、「そりゃひとまず監視して証拠集めるのは(離婚しないにしても)当然だし、曲がりなりにも妻はすんなり結婚OKしたんだから自分のこと好きなはずって思うよなあ」と共感します。というわけで今のところ全方位にそこそこ共感しながら見ています。あ、美都の“運命の恋”を妄信してるところや幼稚な言動には嫌悪感覚えつつ、です。

【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!
【第二話】気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?
【第三話】不倫妻が罪悪感ゼロなのは夫を少しも愛してはいないから

<登場人物>

■渡辺美都(わたなべ・みつ)/波瑠
旧姓・三好。スナックママの一人娘、母子家庭育ち。地元は横浜。眼科の医療事務として働く女性。小学校時代に転入してきて中学で転校してしまった有島くんに初恋をし、大人になった今もその恋心を保管し続けている。優しく料理上手な涼太にアプローチされて結婚。

■渡辺涼太(わたなべ・りょうた)/東出昌大
インテリア関係の会社の総務部で働く。眼科で美都に一目惚れして求婚。愛妻家で料理上手で洗濯や掃除も得意。朗らかで愛情深く、見知らぬ他人にも親切で、妻の母親ともうまくやっている。妻のケータイチェックや、LINE連投を厭わない。

■有島光軌(ありしま・こうき)/鈴木伸之(劇団EXILE
サラリーマン。親が転勤族で横浜→所沢に引越し。美都とは横浜時代のクラスメイトだった。所沢の高校の同級生だった麗華と結婚し、一児の父に。学生時代からイケメンで女に不自由しないタイプ。公式紹介によると「基本的には家庭第一なのだが、根が優しく流されやすい性格のため、泣きつかれると弱い」。

■有島麗華(ありしま・れいか)/仲里依紗
旧姓・戸川。父が不倫で失踪、母を家事やバイト収入で助ける学生生活を送ったアダルトチルドレンな苦労人。不美人。高校の同級生だった有島と結婚し妊娠、所沢の実家で里帰り出産。人当たりは良い。(筆者註:髪色や所作など、おばあさんみたいに見えます)

本音を言い合えるのが良い関係、か?

前回のキーワードは「ありがとう、ごめんなさい」、前々回は「嘘が下手」、そして第四話のテーマは「サプライズ(女はベタが好き)」です。怪我してしばらく新婚夫婦宅に居候していた美都の母が横浜の家に帰ると言い出したため、美都は一応、母を自分が勤める眼科に連れて行きます。母は目に異常を感じているらしいのに、面倒がって受診しようとしなかったためです。

美都が勤める眼科の医師はバツ3の年輩男性なのですが、なぜそんなに何回も結婚するのかきかれて「結婚の良さは、相手に外での愚痴や悪口が言えること」だと言います。その言葉に納得して「初めて結婚してみたいと思った〜」と感嘆する母とは対照的に、「え、そんなことですか?」と不可解な美都。自分には当てはまらない、だって涼太は他人の悪口や愚痴を言えるような相手ではないからです。毎日ちいさな幸せを探してLINEで報告してくるポジティブマインドの涼太には「本当のことを話せない」。「でも涼ちゃんだって人間だから怒りたくなることあるでしょう? 心の黒〜いところ、あるでしょ?」と問いかけても、「悪口や愚痴を言っても解決しないし、人を憎んでも仕方ないからいいよ」と正論を返されて口をつぐむ美都。内心は「キレイごとばっかりも疲れるぅ〜」とのことで、夫婦の価値観が合わないってことですねそれ。でも有島くんは正直すぎる私を抱き寄せてくれた……美都はまた有島くんへの想いを募らせています。

正直すぎる私というのはつまり、前回、有島くんが生まれたばかりの我が子の写真を見せてくれた際に思わず「うわー、潰れそう。他人の子供なんて、ちっともかわいくない」と本音をつぶやいてしまったことをさしています。有島くんは何も言わずに美都を抱きしめた、と。それは……面倒くさいじゃん、女のそういう話に付き合うの。いちいち怒るのも。そこで引いてないわけじゃないとしても、ヤれるチャンスだし高級ホテルの部屋取っちゃったし? ってことじゃないかな!!

不毛な恋で暴走しないために趣味を持つ

麗華が里帰り中なのをいいことに、隠れる素振りもなく無防備に街中夜デートを繰り返していた有島くんと美都は、有島くんの後輩社員や、涼太の同僚・小田原さん(山崎育三郎)に目撃されたり、有島家の隣人で厄介なタイプの空気読めない系主婦(中川翔子)に電話を聞かれちゃったり。油断しすぎですが、まだ美都の頭は恋愛ウキウキお花畑状態だし、有島くんはたぶん何も考えてないし……です。

でもそろそろ、考えなきゃいけない。なぜなら麗華が実家から戻ってきて、有島家は家族3人での暮らしがスタートするから。

有島「日曜にうちのが戻ってくるんだよねー。だから今までみたいなペースでは会えなくなる」
美都「でも会えるんだよね?」
有島「しばらくは無理」
美都「だよね。でも海とか水族館とか行きたかったな〜。女の子はベタなものが好きなの☆ 久しぶりに横浜のほうにも行きたいな〜」

「女の子はベタが好き」じゃなくてさ、「私はベタが好きな女の子です」だろーが!

そんなやりとりを経て、有島くんは美都に、「何か趣味を持て。俺に会えないとき用にさあ、何かないの?」と提案。美都は自称・一途で、それは見方によっては純粋かもしれないけれど、別の角度から見れば視野が狭くて融通が利かないとも言えますよね。有島くんが「俺の趣味=美都。いい趣味でしょ」とときめく台詞を言ってくれたので「趣味=私って、有島めぇ〜う〜ん誰かに言いたいっ☆」なーんて気を良くして次のデートの約束をした美都、まだこの先デート頻度が減るってことの現実味がなさそう。趣味=美都って、つまり趣味=不倫ですけどね。

夫・涼太には一応、「友達とゴハン食べてくる」等と嘘をついて有島デートを楽しんでいる美都ですが、嘘が下手だしなにしろわかりやすい性格なので、テンションの上下があからさますぎて恋に恋してるのがバレバレ。デート前夜で心浮かれていたのに、「娘が高熱で小に救急病院。明日会えるか微妙」というLINEが届いてすっかり意気消沈、ダイニングで対面している夫の姿なんてほとんど目に入ってないんじゃないのかなってくらい、心ここにあらずで。

恋心に振り回される美都は、恋の暴走回避のために趣味を持とうと陶芸教室に通い始めました。すると偶然にも、そこは有島くんの奥さん・麗華が産前まで通っていた教室。美都がろくろを回している最中に教室を訪れたある女性に、講師が「有島さん、久しぶり」と声をかけたこと、ベビーカーに乗せて連れて来た赤ちゃんの名前が「あこ」であることから、彼女がまさに有島くんの妻であると確信した美都。まさか同じ教室を選んじゃったなんて、これこそ運命でしょ〜。心に黒いものが渦巻いたのか、美都は大胆にも見ず知らずのその女性に近寄り、泥だらけの手で赤ちゃんを触ろうとして気味悪がられます。そう、美都は第三者の女性たちから見ればかなり気味悪い存在なんですよね。元親友の香子しかり、おそらくドラマ視聴者の女性たちしかり。せっかく没頭できる趣味を見つけたのに、そこで「大好きな男の妻と娘」なる存在に出会っちゃうなんて、美都も気の毒なんですが。

不倫するイクメン、スマホ監視する愛妻家

まもなく結婚一年の記念日を迎える渡辺涼太・美都夫妻。入籍したのは美都の誕生日でもあり、結婚記念日と誕生日をダブルでお祝いする予定です。その前夜には、有島くんも素敵なレストランで誕生日をお祝いしてくれることになって、美都はもうウッキウキ。涼太には「陶芸教室の主婦友達にお祝いしてもらう」と嘘をつき、ドレスアップして出かけた美都は、待ち合わせ時間を過ぎても有島くんが現れないので「サプライズかな?」なんてワクワクしちゃってます。と、そこへ残念なお知らせ。有島くんから、子供が急に熱を出したため「ごめん行けなくなった」という、ドタキャンの連絡でした。

ここで「ああ、それじゃ仕方ないね、わかった、お大事にね」なんて遠慮する二番手女じゃないんです、美都は。子供が重篤な状態かどうか、つまり死にそうなのかどうか質問し、別に死ぬようなことはないと確認すると、「だったら! どうせ仕事とか飲み会とか嘘ついて抜けるつもりだったんでしょ? 有島くんがそこにいたって(病状は)変わらないよ!」とストレートに投げつけちゃうんです。そんなこと言ったらイヤな女だと思われちゃう〜〜〜と、ほんの少しは脳裏をよぎるんですけどね。有島くんは「美都……もし今そこに行けたとしても俺、お前を祝えないわ」と静かに電話を切るのでした。まあ有島くんも今さら常識人ぶってもね、赤子を風呂に入れるとかイクメン行動を取るんなら不倫しとらんで毎晩直帰しろやと思うんですけどね。

翌日の夜。涼太はムードのある素敵な隠れ家的レストランを予約してくれ、「結婚して良かったのかも。私がいま笑ってられるのは、柴犬みたいにあったかい涼ちゃんがいるからだ」と、美都は新妻の幸福にほっこり浸ります。しかし夫からの誕生日プレゼントは、超サプライズ! でした。ずばり、「不倫してるの知ってるよ。でも僕は一生君を愛するよ」という誓いの言葉、それこそが贈り物、プライスレスってこと。

美都のスマホを覗き見ていたことを告白した涼太は、一気に畳み掛けます。

「一応、履歴は消してるみたいだけど、だんだん油断するようになっちゃって。君は大胆で杜撰で嘘が下手だ。自分の浅ましさにも君のずるさにも耐えられなくて確かめるのをやめていたんだ。確かめなければ僕は傷つかない」
「時々夜遅く帰るね。逆に早く帰ってぼんやりしたり、ああそうだ、遅く帰る前の日は機嫌がいいし次の日は優しい」
「昨日は陶芸教室の仲間と一緒だったよね。昨日のみっちゃんもきれいだった。ネックレスがよく似合ってた。昨日、香子さんに会った。温泉に行ったときの話きいたよ。いい友達だね」

有島くんの電話番号を、涼太は自分のスマホ端末に登録したので、電話をかければ相手がどんな奴なのか確かめることができる、けれどかけないのは「僕は自分がどうなっちゃうのかわからない、こわい」からだと言います。

美都「そ、そうだよね、普通。怒るよ、当然だよ」

離婚を言い渡されるのだろうと予感したのか、こわばった笑みを浮かべる美都に、涼太は思いがけない言葉をプレゼントしました。それが、「この先どうなろうと僕はずっと君を愛する。大丈夫なんだ、ずっと変わらず君を愛することができるよ。誓うよ。これが僕のプレゼントです(ニコッ☆)」。最高のサプライズプレゼント、ですね。大好きな男には袖にされ、どうでもいい男には生涯の愛を誓われ。美都がかわいそうになってきましたが、うーん、しょうがないですね。

東出昌大の演技が気持ち悪くて上手だと絶賛されていますが、確かに涼太として美都と話すときの声のトーンが子供みたいに高くて気持ち悪いです。会社にいるわずかなシーンでは別におかしくないのですが、家で美都と会話しているときは喋り方もトーンもエヴァみたいな動きも奇妙に見えます。涼太が結婚当初から、ポジティブシンキングのいい人ではなくて、優しくて料理上手だけど愚痴や悪口も言い合えるような相手だったら、この夫婦は何かが違っていたのでしょうか。少なくとも美都がもっと成熟した女性だったら……いえ、だったら、そもそも涼太は彼女を好きになることがなかったかもしれませんよ。涼太にとっての美都の魅力は、その幼稚な無邪気さなんでしょうから。

<今週の育三郎!>
会社を出たところで土砂降りの雨に気づき、「あ〜」とためいきをつく涼太と育三郎。育三郎がこれから現場なのにな、とこぼすと涼太は「がんばれ」と声をかけますが、逆に「お前もな、がんばれよ」と返されます。はい、育三郎ここだけっ!? 足りない、育三郎が足りないよ〜〜〜。と地団太踏んでいたら、美都と有島くんがバーを出て夜道を歩いているところを育三郎が目撃! その後、社内で涼太に「飲みに行かないか?」と声をかけるも断られて「嘘が下手な奥さんによろしく」と流し目微笑みショット。今週の出番は以上、3箇所です。

(ドラマ班:下戸)

【第一話】再現VTRみたい…アレンジがダサい、役者も演出もしょぼい!
【第二話】気持ち悪いのは粘着夫(東出昌大)ではなく恋愛脳満開の新婚妻(波瑠)の方では…?
【第三話】不倫妻が罪悪感ゼロなのは夫を少しも愛してはいないから

<そのほかのドラマレビューはこちら>

▼母になる

▼人は見た目が100パーセント

▼あなたのことはそれほど

▼女囚セブン


▼フランケンシュタインの恋

▼ボク、運命の人です。

messy

「夫婦」をもっと詳しく

「夫婦」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ