『月がきれい』6話 千夏「私、告白していい!? ちゃんと諦めたいから!」ってそれは親友の恋人ですよね

5月12日(金)16時0分 おたぽる

『月がきれい』公式サイトより

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──中学生の純愛を描くアニメ『月がきれい』(TOKYO MXほか)。見れば身悶え必至な深夜の恋テロアニメだ。最近、じわじわとファンが広がっているのを実感中。地味アニメ好きのライター・大山くまおが毎週レビューします。南健プロデューサーへのインタビューもあわせてどうぞ。*ここまでのレビュー

■他人のアイスを食べてお礼も言わない千夏

 折り返しの6話は、文学好きの中学生・小太郎(演:千葉翔也)と陸上部の中学生・茜(演:小原好美)がそれぞれ壁にぶつかるお話だった。そして今回の陰の主役は……いよいよ存在感を増してきた千夏(演:村川梨衣)! ラストの爆弾発言に視聴者ドン引き!!

 冒頭、ためらいがちに陸上部のドアを開けようとする茜の姿を見れば、千夏に対する茜の気持ちが手に取るようにわかる。腹が立っているのではなく、ひたすら「気まずい」のだ。恋敵という認識すらなく、親友の行動にひたすら困惑している。それをセリフは使わず、演出と演者のわずかな息遣いで表現している。

 仲良く並んでアイスを食べる千夏を見つめる茜の視線からは「このまま親友でいたい」という気持ちが読み取れる。一方、友達が食べるアイスを「一口ちょーだい」と遠慮なく食べてしまう千夏の姿に彼女の性格がすべて現れている。悪気なく他人の持ち物が欲しくなってしまう。そしてアイスを食べた後も、味の感想を言うだけでお礼は言わない。

 陸上部の大会当日、ついに千夏に語りかける茜。「意を決して」というより、茜の「この前のLINEだけど……」という言葉が呼び水になって、不意に出てしまった会話のよう。

「私……あの……つき……あってる……安曇くんと……」
「知ってる」
「……っ!?」
「わかるよ、そんなの。友達だし」
「……」
「言ってくれてありがとう」

 言い淀んでばかりいる茜と、ストレートに言い切る千夏。茜と千夏は同じレースに出場するが、ウォーミングアップの最中、千夏が茜のほうを一切見ていないところが、芸が細かい。千夏は闘争心を高めていたのだろう。一方、茜は集中力を欠いたままだ。レースは茜の惨敗だった。

 レース前の会話が茜の動揺を誘うための駆け引きだったようにも見えるが、中学生女子がそんな往年の名キャッチャー・野村克也や達川のようなことができるのだろうか? これは恋愛のビハインドを闘争心に変えるタイプと、動揺がそのまま出てしまうタイプということなんだと思う。


■矛盾を矛盾だと気づかない人が一番恐ろしい

 その後、小太郎との密会で「ちゃんとやる」と宣言した茜は、ラストで再び千夏と向かい合う。「付き合ってること、黙っててごめん」と言う茜に、千夏は「私もごめん、好きになっちゃって」と返す。

 友だちだから怒っていないと伝える茜に対して、「ありがとう」と手を取る千夏。そして明るい調子でこう続ける。

「私、告白していい!? ちゃんと諦めたいから!」

 ん? んん? ええええーっ! なにそれ? なんとなく良い雰囲気のシーンだから、これで解決するのかと思っていたのに……。これで終わりだなんて、次回の展開が気になりすぎる!

 しかし、あらためて会話を文字にしてみると、千夏は自分の気持ちを一切否定していないことがわかる。「告白して諦めたい」というのも、茜の気持ちをまったく考えない自分本位の行動だ。

 そして、こんなことを言うときも、茜の手を握ったままという矛盾。でも、その矛盾をまったく意に介さないところに千夏の恐ろしさがある。そういえば、前回も「練習頑張る!」と張り切った直後、小太郎と同じ塾に行くために練習を休んでいた。そんな相手に、茜はレースで負けたのだ。


■外部の敵に晒される小太郎と茜

 今回の恋テロポイントは、図書館での指切りと深夜のLINE。隠れるようにして書棚と書棚の間のちょっと狭いところに座り、「一緒にがんばろ」と茜のほうから(!)指切りを持ちかける。終わった後、2人で照れてるけど、見ているこっちのほうが照れる。

 茜は陸上で惨敗、小太郎は小説のことで編集者(門山出版は飯田橋にある角川第三本社ビルそのものだった)に酷いことを言われた日の夜。思い悩んだ末、小太郎が送ったLINEはシンプルに「会いたい」。それを受け取った茜は「わたしも」と即レス。気持ちが通い合っている。

 翌朝、それぞれ壁にぶつかっている現状を話し合った2人は、再起を目指してもう一度指切りをする。この指切り、2人はこれから忘れないんじゃないかなぁ。

 6話は起承転結でいったら「転」の初回。これまで少しずつだけど順調に、ひそやかに積み重ねてきた小太郎と茜の恋愛が、これから外部の敵に晒されることになる。それは千夏だけでなく、受験であったり、伸びない陸上の記録であったり、「才能がない」と言われてしまった小説だったり、小太郎の母(演:井上喜久子)の存在であったりするのだろう。2人は手に手をとって、これらの困難と戦うことになるわけだ。彼らの武器は「好き」という気持ちと「2人でいること」である。

 今週の挿入歌はレミオロメンの「3月9日」。あえて2番を流したのは、「上手くはいかぬこともあるけれど 天を仰げば それさえ小さくて」という歌詞が今回の2人の状況とマッチしていたからだろう。

「瞳を閉じればあなたが まぶたのうらにいることで 
どれほど強くなれたでしょう あなたにとって私もそうでありたい」

 たとえ離れ離れでも、好きな人がいれば強くあれる。人ってのはそういうものなのだ。

 といったところで、次回は総集編! 2週間待とう! あと、美羽とつきあってる稲葉、がんばれ! あと、田中さくら、意外と人気ある!
(文/大山くまお)

おたぽる

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