ビジネスパーソンの間で話題沸騰中! 丸の内の書店でウケる “令和のサラリーマン小説”とは!?

2025年5月13日(火)7時0分 文春オンライン

 東京駅丸の内北口徒歩1分にある丸善丸の内本店で「文芸ランキング1位」(2025年4月3〜9日)に輝いたのは、『 高宮麻綾(まあや)の引継書 』(城戸川りょう)。“令和のサラリーマン小説”と話題の本作は、新人作家としては異例の売れ行きを見せている。


 丸善丸の内本店の2階売場長、文芸書担当の高頭佐和子さんにその理由を聞いた。



公式HPより


◆ ◆ ◆


池井戸潤さんの小説が好きな層に近い


──丸善丸の内本店はどんな書店ですか。


高頭佐和子さん(以下、高頭):丸の内の書店なので、平日の購買層は会社員のお客様が多く、40代、50代の男性がメインです。土日は若い方や家族連れの方も多いですね。


場所柄、ビジネス書や専門書の比重が一般の書店よりかなり高いのですが、近年は文芸書も売上が伸びています。コロナ禍前と比べると、文芸書の占める割合が高くなっています。


──『 高宮麻綾の引継書 』は、どんな方が購入されていますか。


高頭:木曜日などウィークデイによく売れているので、ビジネスパーソンにしっかり届いていると思います。池井戸潤さんの小説が好きな方と近いのではないでしょうか。


──なぜ丸善丸の内本店で『高宮麻綾の引継書』が売れていると思いますか。


高頭:「こんな会社辞めてやる!」という帯、「引継書」というタイトルが、今の若い人はどんなことを考えているんだろうと気になっている年配のサラリーマンも、「共感して読めそう」と思った若いビジネスパーソン(男女問わず)も、買ってくれているのではないでしょうか。


「城戸川りょう」さんという、男性なのか、女性なのか分からない著者名も良いですね。固定イメージを持たずに読めるのもいいです。読者層が広がりやすいですね。


 ランチタイムになると、(表紙の主人公のように)社員証を首から下げたまま買い物に来てくださるお客様がたくさんいらっしゃいます。親近感を持てるというところもあるのではないでしょうか。


丸善丸の内本店「文芸ランキング」1位を獲得


──全国の書店で2番目の売上(2025年5月2日取材当時)となっています。4月の1週目には「文芸ランキング1位」に。


高頭:丸の内本店は会社帰りに頻繁に立ち寄ってくださる会社員の方が多いです。


 3月の発売時から常に文芸書ランキング上位で、1階の売り場で展開されているので、目に止まりやすいというのもあります。



【丸の内本店週間ベストセラー】『文芸』ランキング
・2025年3月6日〜12日 「4位」
・2025年3月13日〜19日  「2位」
・2025年3月20日〜26日  「6位」
・2025年3月27日〜4月2日  「3位」
・2025年4月3日〜9日  「1位」
・2025年4月17日〜23日  「4位」




──ビジネス書、専門書以外でビジネスパーソンに刺さる本の共通点を教えて下さい。


高頭:長編SF小説『三体』(劉 慈欣著、早川書房)やノーベル文学賞を受賞したハン・ガン氏の作品、芥川賞・直木賞作品など、ニュースで取り上げられる小説や、教養の一環として読むべき本は売れます。職場や取引先とのコミュニケーションの際に小説のことも話題にしていただいているのではないかと思います。話題性のある小説はよく売れます。


『高宮麻綾の引継書』も、今後全国的に人気が出る気配がしますよね。「先物買い」として購入される方も多いのではないでしょうか。


──今後、どうしたらもっと多くの人に『 高宮麻綾の引継書 』が届くと思いますか。


高頭:早めにドラマ化してほしいですね。ビジネスパーソンの方にとってはリアリティがある小説ですし、そうでない方にも読みやすく、ユニークなキャラクターもたくさん登場します。「読みやすいですよ!」ということもアピールしながら、(今秋刊行が予定されている)2巻の発売と併せて展開していきたいです。



◆『 高宮麻綾の引継書 』とは
主人公・高宮麻綾(まあや)は、TSフードサービスの3年目社員。
TSフードサービスとは、食べ物の原料を扱う総合商社・鶴丸食品の子会社である。
高宮は社内のビジネスコンテストで優勝するものの、会社の理不尽な理由で渾身の企画が潰されてしまう。
怒りを爆発させた高宮は社内外を駆けずり回り、調査に乗り出す。すると過去の資料に、ある事件の死亡事故の記録を発見し…
「こんな会社辞めてやる!」そう思ったことがあるすべての人へ贈る、ビジネス×痛快ミステリー小説。



(文藝出版局/文藝出版局)

文春オンライン

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