局部切断事件 被告の妻は「アレキシサイミア」か

5月13日(金)7時0分 NEWSポストセブン

小番被告の妻は「アレキシサイミア」の可能性も

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 GW直前のよく晴れた日、東京拘置所から1人の男性が保釈された。元プロボクサーで慶応大学法科大学院生だった小番一騎被告(25才)だ。


 彼は昨年8月、妻の勤務先だった東京都港区にある弁護士事務所を急襲。妻に肉体関係を強要したとして、上司の国際弁護士(42才)を複数回殴った上で、局部を枝切りばさみで“チョッキン”。切り取った局部を共用トイレに流して、傷害と銃刀法違反に問われ、昨年10月から裁判が続いている。


 このセンセーショナルな事件を引き起こしたのは、妻の嘘だった。不倫関係が夫にバレるや「セクハラに悩んでいた」などと主張したのだった。それゆえ妻の供述には日本中が注目していた。


 そして4月の公判で明かされたその内容は、法廷を凍りつかせた。自分のために凶行に走った夫のことを「ペットのようだと思っていた」と暴露。また修羅場のハイライトでさえ、「あ、切っちゃった」と一言…。あまりに他人事な彼女の発言に、正直慄然とした。自分のついた嘘が招いた事の重大さがまるでわかっていないのか──。精神科医の片田珠美さんはこう説明する。


「この妻は決定的に想像力が欠如している。自分の言動で相手がどう反応するのか、どう行動するのか想像できず、他人の痛みに共感することができない。夫をペットだと思うことで感情を切り離し、局部切断にしても“切った”と思うだけで、上司がどれだけ痛くて怖い思いをしているのかがわからないんです。何をしても、何を見ても現実感がない『離人症』の可能性が高いと考えられ、おそらく『アレキシサイミア(失感情症)』に陥っているのでしょう」


 この聞き慣れない「アレキシサイミア」という医学用語は、楽しい時にワーッと喜べなかったり、怒りたいときに怒れなかったり。想像力が乏しく、自分の感情に気づくことも、表現することも難しい状態を指す。心身症やうつ状態でしばしば出現する症状で、今、こういった“不感症”な人たちが増えているという。



「もともと極端に喜怒哀楽がないという自覚はあったんです。でも、さすがに息子の結婚式で、夫や娘が号泣しているときも、なんか他人事だった自分に気づいて、私、おかしいのかもと思いました。そういえば、息子が誕生した時も特別な感情がなかったし、さかのぼれば、結婚前に恋人と別れた時も悲しいと思ったことってなかったんですよね。たまたま医師の友人がいるので、ふとそんなことを話したら、アレキシサイミアの状態ではないかと言われました」(都内在住・派遣・56才)


 アレキシサイミアは無自覚であることも多く、知らず知らずのうちに陥る。それゆえ「誰でもなり得る」と、片田さんは言う。


 例えば人生を彩るはずの恋愛・結婚を「コスパ」で考えている人は危ないという。2015年に内閣府が公表した「結婚・家族に関する意識調査」によると、恋人のいない20〜30代の男女の37.6%が恋人をほしくないと思っていると回答。その理由として最も多かったのが、「恋愛が面倒」というものだった。


「SNSでみんなとつながってはいたいけれど、自分の時間は趣味に使いたい。恋愛するのは面倒だし、努力したって必ずしも報われないし。要するにコストパフォーマンスが悪いんですよ」(21才・大学生)


 逆に言えば、コスパがいいと思えば、恋愛したり結婚したりするが、そこに沸き上がる熱情はゼロ。関係がこじれれば「コスパが悪い」と、相手との関係をチョッキンと切っておしまい。そこには相手を慮る気持ちはまるでない。


※女性セブン2016年5月26日号

NEWSポストセブン

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