彼らの全アルバム中、最高レベルのジャケット〜ディープ・パープル『ハウス・オブ・ブルー・ライト』〜平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)連載

5月14日(火)12時0分 耳マン

音楽と絵画を愛するお笑い芸人・平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)が美術館の館長となり、自身が所持する数々のCDジャケットのなかから絵画的に見て優れているもの、時に珍しいものをご紹介する連載。


第41回:彼らの全アルバム中、最高レベルのジャケット


今回ご紹介するのはこちら。

ディープ・パープル『ハウス・オブ・ブルー・ライト』(1987年)

レッド・ツェッペリンと並ぶ1970年代ハードロック界の二大巨頭の片割れ。しかし一般世間的にはディープ・パープルのほうがよく知られている曲が多いと思う。それはひと言で言うと彼らの曲のほうがキャッチーだから。一度聴いただけでインパクトを与えられる印象的なフレーズの曲が多く、使い勝手がいいためにいまだにテレビなどで彼らの曲を耳にする機会は多い。『スモーク・オン・ザ・ウォーター』のリフなどはもはやディープ・パープルというバンド名よりも有名なくらいだ。ギャグでいうなら『アイ〜ン』に相当する。

反対にツェッペリンの代表曲にしてロックの最高傑作とも称される『天国への階段』は実は一般的には知らない人も多い。そういう意味で“ハードロックとは何か”を知りたければ絶対にツェッペリンよりもパープルにその答えはある。

しかしメンバーの死により早々に解散してしまったツェッペリンに比べて、パープルは1970年代に一度解散しているものの、再結成して以降も長く活動を続けている。そのぶんキャリアのなかでの浮き沈みがやたら激しく、またメンバーの入れ替わりも多いため、長く安定している時期というのがほとんどない(現在は皆精神的にも大人になったためか比較的安定した活動を続けているようだが)。なので、もしバンド通信簿のようなものがあったら「落ち着きがない」と書かれてしまうタイプのバンドである。「急に奇声を上げる」とも書かれるかも。

そしてこの『ハウス・オブ・ブルー・ライト』発表時はどちらかというと沈みの時期であった。原因はボーカルのイアン・ギランとギタリストのリッチー・ブラックモアの確執である。1984年にパープルを再結成し、それまでブラック・サバスに在籍していたギランやレインボーにいたリッチー、またホワイトスネイクにいたジョン・ロードを再び黄金期のメンバーとして集めたはいいものの、結局短期間で再び関係が悪化してしまったのである。そしてこういったメンバー同士がうまくいっていない時期というのはどうしても半端な作品が生まれやすい。

『ハウス・オブ・ブルー・ライト』の内容は全然悪くない。ただ同じラインナップで製作された前作『パーフェクト・ストレンジャーズ』の充実ぶりとディープ・パープルというバンドに期待されるハードルの高さを考えると、どうしても影の薄い作品に思えてしまう。

しかしことジャケットデザインという点に関しては、パープル全アルバム中で最高レベルの作品だと思う。不思議な雰囲気を醸し出す青い部屋。このミステリアスさ。まさにパープルの音楽性そのものである。

そう、ディープ・パープルとは正統派のハードロックサウンドを展開しながらも、そのなかに独特のミステリアスさもあわせ持つバンドなのだ。これはジョン・ロードのオルガン、キーボードによるところが大きいと思う。バンド通信簿があったら「何を考えているかわからない」とも書かれるかもしれない。そんなパープルの音楽性を見事に表現した秀逸のジャケットである。

パープルの歴史上あまり評価は高くないアルバムだが、ジャケットに関してはパープル史上最高傑作かも知れないという、なんとももどかしいアルバムだ。

さてここで急にミニクイズ! 今回文章の中に登場した色の種類は何種類でしょう? 答えはすぐ下に。

答え:10種類(「レインボー」:7色、「ブラック・サバス」:1色、「ホワイトスネイク」:1色、「黄金期」:1色。ちなみに「ディープ・パープル」の紫はレインボーに含まれるしレッド・ツェッペリンの「レッド」は赤の意味ではない。ひっかかったなこのスカポンタン!)

平井“ファラオ”光(馬鹿よ貴方は)

ひらい“ふぁらお”ひかる●1984年3月21日生まれ、神奈川県出身。2008年に新道竜巳とのお笑いコンビ“馬鹿よ貴方は”を結成。数々のテレビ/ラジオ番組に出演するほか、『THEMANZAI2014』『M-1グランプリ2015』の決勝進出で大きな注目を集める。個人では俳優やナレーターとしても活躍。音楽・映画観賞や古代エジプト、恐竜やサンリオなど幅広い趣味を持つ。

耳マン

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