在特会が憤る京都朝鮮学校の公園問題 地元当事者が実情語る

5月14日(水)7時0分 NEWSポストセブン

 安倍首相は人口減少社会の到来に備え、20万人の移民を受け入れるプランの検討に入った。移民受け入れを論じる上で避けて通れないのが在日コリアン(約53万人)、在日中国人(約65万人)の問題だ。地域社会での軋轢、吹き荒れるレイシズムの現状はどうなっているのか。


 今年3月、Jリーグ・浦和レッズのサポーターがスタジアムの客席出入り口に「JAPANESE ONLY」という差別的な横断幕を掲げて問題になった。4月には四国遍路道の複数の休憩所に「大切な遍路道を朝鮮人から守りましょう」という誹謗中傷ビラが貼られた。東京のコリアンタウン・新大久保では、街の至る所で「チョン失せろ」「チョンは害虫以下だ」といった落書きが見つかっている。


 近ごろ外国人、特に在日コリアンに対する異常なまでの排斥ムードが高まっている。ジャーナリスト・安田浩一氏が語る。


「日韓、日朝関係の冷え込みが長引く中、両国に対する憎悪を在日コリアンにぶつける風潮が強まってきました。『在日特権を許さない市民の会(在特会)』を中心とする自称・保守団体の動きも相変わらず活発で、彼らがネットで発信する情報に影響される人も多い。日本社会がレイシズムを許容しやすい環境になりつつある気がします」


 新大久保などで在日コリアン排斥デモを繰り返した在特会が世間の耳目を集めるようになったのは、北朝鮮が2度目の核実験を強行した2009年。京都市南区にあった京都朝鮮第一初級学校(幼稚園と小学校に相当。2012年3月末で休校し、京都朝鮮学校に統一)への抗議街宣だった。


 関西の在特会メンバーを中心とする一行の主張は、「学校前にある公園の私物化をやめろ。朝礼台やサッカーゴール等の備品を直ちに撤去せよ」というものだった。前出・安田氏が経緯を説明する。


「自前のグラウンドを持たない朝鮮学校は、市や自治会との合意の下、半世紀に亘って公園を校庭代わりに使ってきました。古くからの慣習で、市の公園管理事務所も問題視していなかったのですが、この地区に越してきた新住民たちの一部から『朝鮮学校が公園を私物化するのはおかしい』との声が上がり始めたのです。その中の1人がネットで知った在特会に“通報”し、事件が起こりました」


 周辺を取材すると、朝鮮学校の評判が芳しくないことも確かに事実だった。


「当初『公園の使用は平日の午前中だけ』という約束だったのに、いつの間にか朝礼台やサッカーゴールを持ち込んで朝から夕方まで使うようになったんですよ。土日もサッカーのクラブ活動で占領しているし、小さな子やお年寄りは公園に近づけなかったですね」(70代女性)


「公園に行ったら若い教師に『ここはうちのグラウンドだ』と追い出されたこともあったよ。登下校時は生徒の送迎で道が大渋滞したし、夏祭りのときは焼肉の臭いと煙がすごかった。祭りで使えるビール券などを近所に配るんだけど、とても輪に入れる雰囲気ではなかったね」(70代男性)


 大きなトラブルはなかったようだが、通報を受けた在特会はこれを絶好のチャンスと考えたようだ。


「実は、学校と公園管理事務所の間では、数か月以内に朝礼台等を撤去する合意が交わされていました。在特会はそれを承知で、あえて生徒のいる平日の昼間に押し掛けた。校門の柵越しに教職員らと対峙した彼らは『日本に住まわせてやってんねや。


 お前ら道の端を歩けや』『ウンコでも食っとけ』『朝鮮人は我々の先祖の土地を奪った。日本の女性をレイプして奪ったのがこの土地や!』とがなり立て、公園の問題を自分たちの主張にすり替えたのです」(安田氏)


 その後も執拗にデモを繰り返したメンバーのうち4人は、後に威力業務妨害で逮捕・起訴され有罪となった。朝鮮人学校出身者が嘆息する。


「ほとんどの朝鮮学校が金日成親子の肖像画を撤去していますし、特別な思想教育を受けることもない。ネトウヨは朝鮮学校=朝鮮総連=得体の知れない不気味な存在と位置づけていますが、実態を知ったら拍子抜けするでしょうね」


※SAPIO2014年6月号

NEWSポストセブン

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