武田梨奈&春日太一対談【2/3】共演したいのは武田鉄矢さん

5月14日(木)16時0分 NEWSポストセブン

新進女優・武田梨奈と映画史・時代劇研究科の春日太一氏

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 クレディセゾンのテレビCMで披露した「頭突き瓦割り」で一躍注目を浴びた新進女優・武田梨奈(23)と、『役者は一日にしてならず』(小学館刊)の著者である映画史・時代劇研究家の春日太一氏のロング対談。全3回のうち第2回をお届けする。


春日:『役者は一日にしてならず』にご登場いただいたベテラン俳優たちは若い頃に演技の基礎をやってからデビューした人たちが多かったんですけど、武田さんはどうでした?


武田:私はワークショップに行ったりという経験はあんまりなくて。中学生のときに1年間だけ所属事務所のレッスンには行っていたんですけど。オーディションが多かったですね、お芝居の勉強というのは。


 私、今の事務所に入るまでに三百回ぐらいオーディションを受けていて、全部落ちているんです。でも、そこに行って、台本を渡されて知らない方とお芝居するという即興がお芝居の勉強になったのは感じますね。


 レッスンでは発声練習とか、毎回同じ台本を読んだりするんですけど、そっちよりも私は、毎回違うことをやらされて、即興でやらされることのほうが鍛えられたし、勉強になった感じがします。


 一回しかやらせてもらえないので、オーディションって。そこでどこまで自分を出せるかというのは、すごい勝負だなというか、本番と似ているなと感じました。


春日:「(アクションを)受ける」ほう(やられ役)もやってみたいとおっしゃっていましたが、今、そっちの勉強や練習をしていたりするんですか?


武田:はい。飛び下りの練習とか。あと、背落ちとか、まだほんとに基本的なことなんですけど、アクションチームに行ってやっていますね。


春日:例えば映画とかドラマを見るときでも、受ける側の人たちに注目したりとか?


武田:私はそっちを結構見ていますね。


春日:受け方について参考にしている演技とか、役者っていますか?


武田:ジャッキー・チェンの映画には、いつも大体同じような相手役が出てくるんですけど、やっぱり信頼関係ができているからこそ、あそこまで派手なアクションシーンができるんじゃないかなというのはすごく感じます。


 あと、個人的にアクションをやっていく上で一番大切にしたいなと思うのは、アナログさ。時代劇は特にそうだと思うんですけど、今は映像の加工だったり、ワイヤーだったり、いろんなことで、もう誰でもアクションシーンをできちゃう時代になっているじゃないですか。


 でも、昔の時代劇を見ると、完全に引きのシーンで爪先から何まで見えている状態でのアクションだったりが多い。ああいうのは今の時代、逆になくなってきているので、そういう、ごまかしのないアナログなアクションはこれからもやっていきたいですね。


春日:こういう話、京都の人たちが聞いたら震えるだろうな。ベテランのスタッフたちを含めて、みんなそういうことで嘆いているんですよね。逆に言うと、今はごまかしがないと映せない役者さんしかいなくなっていますから。武田さんのそういう意識ってどういう形で芽生えていったのでしょう?


武田:私、アクションを始める前から、ずっと役者さんになりたくて。それでオーディションを受け続けていたんですね。きっかけは武田鉄矢さんだったんです。『金八先生』とか『刑事物語』に夢中で。武田鉄矢さんとジャッキー・チェンさんの共通点って、「ちょっとダサい」ところで、そこが好きでした。


春日:武田鉄矢さんもジャッキーが好きなんですよ。


武田:ちょっと風貌も似ていますよね。


春日:この前、武田鉄矢さんにインタビューさせてもらったんですけど、そこで『刑事物語』について伺ったときにおっしゃっていたのは、あれは全五作なんですけど、五作とも全部、実は絡みは同じ人たちとやってきたという。


武田:あっ、そうなんですか。


春日:やっぱり武田鉄矢さんも「激しいアクションをやるには絡みが大事である」とすごく思っていて。だから、そこでも「二人の武田」は通じているんだなというね。


武田:うれしいです。そうなんだ。武田鉄矢さんの演技で一番感動したのは、泣いている芝居のときに、涙じゃなくて鼻水を全力で流したんです。それが美しかったんです。人間、本来こういうものだろうって私は感じて。汚いものが美しく見える。私もそういう表現のできる人になりたいと思いました。


春日:武田鉄矢さん、『刑事物語』のアクションもスタントなしなんです。自分で全部やったから生傷も絶えなかったし、すごく大変だったそうです。だから必ず、アクションシーンは最後に撮っていたとおっしゃいましたね。


武田:ケガしないように?


春日:「ケガしても大丈夫なように」という。ケガするとほかのシーンを撮れなくなっちゃうんで、最後にとっておくそうです。


武田:完璧なアクションスターというよりも、「やられるけど、立ち向かう」みたいなのが凄く好きで。やっぱり女優さんは凄くきれいな涙を流しますし、凄く美しいですし。でも、私はそんなこと多分できないって自分でもわかっているので、だったら、自分らしい人間くささを出していきたい。空手をやっていたというのもあるんですけど、アクションという道があるんだというのに気づいて。


 アクションを始めたときに、それまではジャッキー・チェンさんと武田鉄矢さんしか見ていなかったんですけど、アクションの方たちに「まず志穂美悦子さんを見なさい」と教えられて。そこから志穂美悦子さんの作品を観るようになって、「ああ、また新しい時代をつくってみたい」「誰かがやっていないことをやりたい」と思うようになりました。


春日:僕ぐらいのアラフォーの年代にとって、ちょうど少年時代にジャッキー・チェンとか武田鉄矢さんの『刑事物語』があったから、アイドルがまさにこの二人だったんですよね。『刑事物語』のハンガーを使ったヌンチャク、あれなんか子供のころみんなマネしていたんですよ。


武田:やっぱりそうなんですね。私も小さいころから父にビデオテープでジャッキー・チェンを見せられて。そのときに言われていたのが、「今は映画館に行っても“ああ、おもしろかったね”で終わる時代だけど、パパたちの時代は映画館に行ってジャッキーやブルース・リーを見たら、みんながその後にヌンチャク振り回したり、酔拳をまねしたり、そういう時代だったんだよ。そういう時代がもう一回来たらいいな」って。やっぱりジャッキーとかを見た後って絶対まねしたくなるじゃないですか。


春日:うんうん、そうですね。それにしても珍しいですね。武田鉄矢を観て芝居やろうというのも。


武田:武田鉄矢さんを見て、絶対にお芝居やろうって、やりたいって思いました。


春日:『刑事物語』を両武田でリメイクしてほしいなあ。


武田:わあー、やりたい。


春日:「親子刑事(おやこデカ)」みたいな。


武田:一番共演したい方なので。


春日:じゃあ、まだ共演されてはいないんですね。


武田:ずっとアピールしているんですけど、またお会いしたことなくて。コンサートとかは勝手に行ったことあるんですけど。


春日:武田梨奈さんのハンガーアクション、見たいです。


<続く>

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