東京大改造プランは大前研一氏による22年前の計画と同じ

5月14日(日)16時0分 NEWSポストセブン

大前研一氏が小池百合子氏の「大改革」を語る

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 小池百合子東京都知事は、2016年の都知事選挙で「東京大改革宣言」というスローガンを掲げて当選した。経営コンサルタントの大前研一氏が、小池と知事が掲げる「大改革」の内容と途中経過について検証し、考察する。


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 つまるところ、小池知事が自民党を敵に回して東京をどうしたいのか、ということがよくわからないのだ。


 昨夏の都知事選では「東京大改革宣言」というスローガンの下で「都政の透明化」「東京五輪関連予算・運営の適正化」「行財政改革の推進」などの公約を掲げたが、いずれも「大改革」と呼ぶほどのインパクトは感じられない。


 すでに東京五輪関連予算については、小池知事が俎上に載せたボート・カヌー、水泳、バレーボールの3会場の見直し問題が元のまま新設することで決着し、事実上、森喜朗東京五輪組織委員会会長の“圧勝”に終わっている。


 それに比べると、たとえば石原慎太郎元知事は「横田基地の返還、もしくは民間との共同使用」「中小企業の能力を引き出す新銀行の創設」「ディーゼル車規制によって大気汚染を解消」といった、大がかりな公約を掲げていた。実現しなかった政策や巨額の負債を残した政策ばかりだったとはいえ、石原氏なりの首都・東京の未来像は提示されていた。


 一方、小池氏は具体的な政策として「住宅の耐震化・不燃化を加速」「都道の電柱ゼロ化」「待機児童ゼロを目標に保育所の規制を見直す」「満員電車ゼロを目指し、時差出勤や2階建て通勤電車の導入を促進」「都独自の給付型奨学金を拡充し、英語教育を徹底」「ペット殺処分ゼロ」「街灯や公共施設のLED化」「東京をアジアナンバーワンの国際金融市場として復活」「東京ブランドを確立し、観光・インバウンド客をさらに増大」といった公約を掲げているが、いずれも陳腐だったり、実現性に疑問符が付いたりして大きなインパクトはない。


 たとえば「満員電車ゼロ」については、これから日本は労働人口が減少する上、テレワークや出退勤時間の分散化が進んで通勤が楽になるので、次第に解消に向かうはずだ。鉄道会社の負担が大きい2階建て通勤電車の導入も至難の業だろう。


 あるいは「都道の電柱ゼロ化」は、電線だけでなく電話線や上下水道、ガスなども一緒に地下に埋設する共同溝を建設しなければ防災対策上の意味がないので、莫大なカネがかかる。


 電柱ゼロ化自体には私も賛成だが、それを東京都が都道だけ単独でやるべきか、実現性も含めて甚だ疑問である。区レベル、もしくは街のブロックごとに容積率を大幅に緩和して高層化し、外部経済を取り入れて都民の税金を極力使わずに共同溝や非常用発電装置、貯水槽などを整備するといった方法を模索すべきだと思う。


 実は、こうした抜本的で総合的な“東京大改造プラン”は、すでに私が1995年の東京都知事選に出馬した時に「新・東京ビジョン」として提言していたものである。そこまでの大きな構想力が小池知事にあるのか、今ごろ政治塾を作っていったい何をやろうというのか──。それが都議選圧勝後に問われることになるだろう。


※週刊ポスト2017年5月19日号

NEWSポストセブン

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