なぜ秋の新ドラマ発表が今なのか?  番宣が前倒しされる事情

5月14日(日)7時0分 NEWSポストセブン

『先に生まれただけの僕』は日テレのHPでも紹介されている

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 4月にスタートした今クールのドラマが盛り上がっている真っ最中。そんななか、次クールではなく、さらにその次の秋ドラマの内容が発表されたことが、話題を呼んでいる。そうした前倒しの発表はここ最近、見られる傾向だという。その事情について、コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。


 * * *

 4月23日に櫻井翔さん主演のドラマ『先に生まれただけの僕』(日本テレビ系)がマスコミ発表され、翌日に大きく報じられました。そのとき話題になったのは、ドラマの内容よりも「7月スタートの夏ドラマじゃなくて、10月スタートの秋ドラマなの?」という情報公開時期の早さ。


 まだ春ドラマがはじまったばかりであり、その前に夏ドラマも控えているのですから、「何でこんなに早いの?」と感じるのも無理ありません。しかし、昨年末に同じく10月スタートの『陸王』(TBS系)が発表されましたし、冬ドラマ放送中の3月上旬に夏ドラマの『コード・ブルー ドクターヘリ救急救命』(フジテレビ系)が発表されるなど、明らかに情報公開の時期が早くなっています。


「こんなに早く発表すると忘れられてしまうのでは?」と思うかもしれませんが、その裏にはいくつかの事情が考えられます。


◆ごく自然なクランクイン直前の発表


 真っ先に考えられるのは、「早い時期から撮影に入る」という事情。『先に生まれただけの僕』は櫻井さん自身、発表直後にまもなく撮影がはじまることを明かしていますし、『陸王』も発表数日後の1月1日に行われた『ニューイヤー駅伝』を劇中のシーンとして撮影しました。


「撮影スタート直前」というタイミングでの発表はごく自然であり、「早すぎる」ということはありません。最近は情報が漏れやすく隠すほうが難しいですし、早い時期に発表することで「時間をかけて入念な準備を施した大作というイメージを与えよう」などの狙いもあります。


 ただ、『先に生まれただけの僕』の撮影時期に関しては、櫻井さんのハードスケジュールによるところも大きいでしょう。『NEWS ZERO』(日本テレビ系)の出演に加え、嵐としてのレギュラー番組と夏のイベント、8月には『24時間テレビ 愛は地球を救う』のメインパーソナリティー、さらに例年7月に放送されている『THE MUSIC DAYS』の総合司会も有力視されています。


撮影スケジュールの詳細は明かされていませんが、櫻井さんの事情を踏まえて撮影時期が決まり、その直前に発表したという可能性はあるでしょう。


◆放送中のドラマに影響を与える


 また、「時間をかけて情報を小出しにしながら関心を集め、期待感をふくらませる」という広告業界のプロモーション手法をドラマに採り入れているという側面も考えられます。


 たとえば、第1弾としてあらすじとメインキャストを発表したあと、第2弾でクランクインのレポート、第3弾でサブキャスト、第4弾で主演とプロデューサーのロングインタビュー、第5弾で大物ゲスト……。このように情報を小刻みに発表していくと、視聴者の関心を集め、期待感をふくらませるだけでなく、テレビ誌、スポーツ新聞、ネット媒体などを繰り返し賑わせることができます。


 同時に、早く発表した分、番宣のチャンスが増えるのも大きなメリット。メインキャストがバラエティー番組などに出演するたびに番宣のチャンスが生まれますし、『先に生まれただけの僕』のように放送開始までの期間が長いほど、その機会は多くなります。もちろん、あからさまに番宣を繰り返すと、視聴者に嫌われてしまうので注意しなければいけません。


 最後にもう1つ挙げておきたいのは、テレビ局内部の事情。早期の発表には、「自局で現在放送中のドラマに影響を与える」という意味もあると聞いています。


 たとえば、「日テレのドラマは面白いよね。何かやってくれそう」という全体のポジティブな印象づけ。あるいは、「視聴率が低迷しているから、景気のいい新番組の発表を流そう」というイメージのリカバー。さらに、「日テレの土曜22時は、春に亀梨和也さん、夏に錦戸亮さん、秋に櫻井翔さんなんだ」という流れの理解促進。「お互い負けないように頑張ってほしい」というスタッフやキャストへの激励などが考えられます。



◆すべてテレビ局とキャストの事情


 ここまで挙げてきた理由は、すべてテレビ局やキャストの事情であり、視聴者にとっては関係のない話。「面白そう」と肯定的に受け入れられるか、「あざとい」と否定的に拒絶されるかは紙一重だけに、早期の発表は「ここぞ」の作品に絞ったほうがいいでしょう。


 先述した秋ドラマ2作以外にも、錦戸亮さん主演の『ウチの夫は仕事ができない』(日本テレビ系)、瑛太さん主演の『ハロー張りネズミ』(TBS系)、長瀬智也さん主演の『ごめん、愛してる』(TBS系)、永山絢斗さんと大森南朋さん主演の『居酒屋ふじ』(テレビ東京系)など、すでに情報解禁されている夏ドラマもあるので、チェックしてみてはいかがでしょうか。



【木村隆志】

コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本前後のコラムを提供するほか、『新・週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。

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