なぎら健壱 来るものを拒まず、来たものを一生懸命やる

5月14日(日)7時0分 NEWSポストセブン

なぎら健壱の魅力とは?

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 なぎら健壱(65)といえば多趣味で知られている。カメラ、散歩、自転車、落語、酒、がらくた収集……。しかも、その一つひとつにとことんのめり込む。


「凄いです、私。専門家と対等に話せるくらいまで、本を読んで理論武装しますから。貧乏性っていうのもあるんでしょうね。子供の頃、貧しくてモノを買ってもらえなかったから、大人になって下手に金を使えるようになったら、それ一筋にいっちゃうんですね」


 イメージに合わないが、数年間、ゴルフに凝ったこともあった。賭けに負けた罰ゲームとして始めたのだという。だが、やるとなればレッスンプロにつき、一晩千発打ち、本を読みまくった。羨ましいのは、そうした趣味が仕事につながることだ。


 飄々としていて、トボケたようなキャラというイメージが強いが、実はかなりの硬派でもある。外で飲んでいて、タチの悪い客に絡まれることもある。喧嘩になりかけ、マネジャーが止めたことが何度もあった──。マネジャーから聞いたそんな話を振ると、なぎらは即座に否定した。


「止めたなんて、マネジャーの美談です。私、その前に殴っちゃいますから」


 電車の中で騒ぐ若者など態度の悪い乗客がいると、降りるときに蹴飛ばしていく、とも聞いたが。


「そんな卑怯なことはしませんよ。ちゃんと乗ってる間に殴ります。“車内で騒ぐのはやめろ”ゴツンって」


 注意したいと思っていても、見て見ぬふりをする人が多い。


「やりませんよ、人としての節度があれば。最近はなるべくやめてますよ、なぎら健壱だとバレちゃうからね」


 去年、初孫である女の子が生まれた。これからの人生をどう生きるのか。


「年齢を意識しないわけじゃないですよ。トシなんだから、あんまりド派手な服は着ちゃ駄目だとかね。ただ、生き方はこれからも変わらないと思いますよ。下手に目標や夢を持つと、義務感や使命感でそこに向かわないといけなくなってくるから、そういうものは持たない。自然体でいて、来るものを拒まず、来たものを一生懸命やる。それでいいんじゃないですか」


 行きつけの居酒屋でのインタビューが終わると、顔馴染みの常連客との飲み会に突入し、それは夜が更けるまで続いた。その分け隔てのなさ、親しみやすさこそが、なぎらの魅力である。


●なぎら・けんいち/1952年、東京都生まれ。フォークソングに傾倒し、1972年にアルバム『万年床』でデビュー。以後歌手としてライブ活動を行なう他、俳優としてドラマや映画、タレントとしてラジオやバラエティ番組に出演。また、『下町小僧』、『東京酒場漂流記』(共にちくま文庫)など下町や酒場をテーマにした書を数多く執筆している。現在、『ごごナマ』(NHK総合、月〜金13時5分〜)の木曜日にレギュラー出演するほか、『月刊日本カメラ』で写真付きエッセイ「町の残像」、『月刊デジタルカメラマガジン』で「酒場の情景」、『東京スポーツ新聞』水曜日にコラム「オヤジの寝言」を連載中。


■撮影/吉場正和 ■取材・文/鈴木洋史


※週刊ポスト2017年5月19日号

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