「エアポート投稿おじさん」が話題、次の新種おじさんは?

5月14日(月)16時0分 NEWSポストセブン

ネットニュース編集者の中川淳一郎氏

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 近ごろ「おじさん」のコンテンツ化が激しい。かつては、くすんだ色のスーツを着て、無表情で黙って通勤電車に揺られている、といった程度のイメージで覆われていた「おじさん」に、様々な新種が確認されるようになった。ネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、増え続ける新種の「おじさん」と、カテゴライズがもたらす効果について考えた。


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 ネットを見てるとやたらと人間に対するカテゴライズが横行していて、今後どんな新種が出てくるか楽しみで仕方がない。基本的には痛い言動をする人々を紹介し、それに名前をつけ、「いるいる!」と思わせるものだ。


 最近話題になったのが「エアポート投稿おじさん」。空港の様子をSNSに投稿するおじさんがウザい、というものだ。確かに「オレ様は世界を股にかけるビジネスマンだぜ」「オレ様は貴様ら貧乏人とは違って今からバカンスだぜ」といったアピールをされている感はある。そしてこいつらは航空会社のラウンジでシャンパン飲んで悦に入っているんだわ。


 キリンビバレッジ「午後の紅茶」の「#午後ティー女子」というネットPR企画が「顧客を揶揄してる」と炎上したが、これもその類。同ブランドのユーザーを「ともだち依存系女子」など4つに分類し外見的特徴をイラストで描いたうえで、「目に入ったものすべてにとりあえず『かわいい』」などとその特徴を書く。だが、「仕切りたがり空回り女子」の特徴として紹介された「何かと頭の上にのせたがる」はよく分からない。まぁ、バリやアフリカやインドでは頭の上に物をのせる人はよく見かけるが。


 人間は何らかの違和感に対し、名称をつけてもらわなくては落ち着きが悪いのかもしれない。広告関連会社・博報堂ケトル共同CEOの嶋浩一郎氏は、「コギャルは“コギャル”という名前がつくまではヘンな格好をした女の子でしかなかった」という論を展開する。


 かつて、ルーズソックス・茶髪・パンダ風アイメイクの娘を見た親は「ウチの娘はなんでブルーザー・ブロディのレッグウォーマーみたいな靴下を履いて顔の原型がわからんメイクをしておるのだ?」と不安になった。だが、「コギャル」という言葉を知り、それが全国各地に存在するスタイルであることが分かると「あぁ、ウチの娘はコギャルなんだ。そうかそうか。安心した」となる、と嶋氏は言う。


 午後ティー女子は完全にハズしたが、「エアポート投稿おじさん」は肯ける。だが、当のおじさんからは「オレらを揶揄する若い女のお前ら、お前らだってブスな顔をピースサインで自撮りしたり、デブになりそうなホットケーキの写真をSNSに投稿してるだろ、これと同じだコラ」と反発したくなる。


 こうしたことを言うのは図星だからに他ならず、やはりSNSでは自己顕示をしたいものの、それが自慢と取られぬ微妙なさじ加減でやる技術も必要だ。「エアポート投稿おじさん」は自慢であることが見透かされている。


 さて、これからどんなおじさんカテゴライズが来るか。東大出身おじさんの息子が早慶に入った場合の「息子の合格校に落胆東大おじさん」はあるだろう。フェイスブックに「私と同じ大学には残念ながら入ることはできませんでした」などと書き、「早稲田(慶応)なんて羨ましいです! 息子さんは立派です」というコメントが書き込まれるのを待つおじさんだ。


「40歳過ぎると自営業はきつい」などの論に対し「オレは40過ぎたがオレの見てきた世界と違う」と書き、自分がいかに売れっ子であるかをアピールする「世界が違うおじさん」もある。これから夏に向け、花火大会の様子をタワーマンションから撮影しドヤ顔を決める「タワマン花火おじさん」も元気になるだろう。がんばれ、おじさん!


●なかがわ・じゅんいちろう/1973年生まれ。ネットで発生する諍いや珍事件をウオッチしてレポートするのが仕事。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』『ネットのバカ』など。


※週刊ポスト2018年5月25日号

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