2019年の楽天・松井裕樹は何が違うのか 守護神に宿る「覚悟」と「責任」

5月17日(金)11時0分 文春オンライン

 楽天イーグルスの守護神・松井裕樹選手の今シーズンは一味も二味も違う。


 疲れているであろう試合後のインタビューにも気さくに応えてくれ、時には真剣に熱い眼差しで語ってくれる。6年目・23歳のサウスポーには昨年とは明らかに違う気持ちの余裕が感じられるのだ。


 2019年の松井裕樹は一体何が違うのか? 平成最後と令和最初にインタビューさせてもらった。



一番好きなおにぎりの具は「おかか」の平成の松井裕樹選手 ©河内一朗


今年の松井裕樹は昨年までと何が違うのか


 いざ終盤マウンドに立つ若き守護神は、獣が獣に向かうような眼差しで1球1球を投げ込む。そして勝利の歓喜を迎えるのがファンにとってはたまらない瞬間である。


 しかし4月27日の千葉ロッテ戦。5−5の同点の場面、9回からマウンドを託された松井選手は井上晴哉選手に勝ち越しタイムリーを許し敗戦投手となった。翌日には頭も身体もリセットして次の試合に向かっているだろうと思ってはいたのだが、次の日の練習終わりは声を掛けなかった。


 そしてその翌日、ホームでの試合前練習後にいつものように声を掛けようとすると、松井選手の方から「昨日、気をつかって声かけなかったでしょ?」と言葉をかけてくれたのだ。ドンピシャだった。


「そんな変な気を使わなくて良いですよ!」と微笑んでくれる松井選手。変な気を使った自分が少し恥ずかしくなった。


河内「今年の球筋は昨年に比べても、だいぶキレてるように見えますが……」


松井選手「しっかりと腕も振れて体を使えていますし、昨年よりも球も速いと思います」


河内「(共同通信デジタル調べ)ストレートの空振り率が12球団トップだそうですが、そのあたりは?」


松井選手「空振りが全てじゃないですけど、それだけ裏をかけてると思いますし、予想以上のボールがいっているのかなと感じますね」


 その時、すでにリーグトップの8セーブをマークしていた松井選手は自らをそう振り返った。思い返せば昨年末に先発転向という事も報道されたが、平石監督から直接電話で、「抑えでいく」という話があったそうだ。


 その時からきっと松井選手の中でクローザーとしての「覚悟」が強く固まったに違いない。



クローザーとしての「覚悟」と一家の主としての「責任」



 5月12日(令和元年・母の日)@ほっともっと神戸。


 オリックス相手に2敗していた3戦目、前日に続き8回裏にハーマン選手が失点を許し、さらに2死から小島選手にヒットを許した場面で、急遽松井選手がマウンドに。山足選手を三振に仕留め嫌な流れを断ち切り、9回はイニングを跨いで3者連続三振! 勝利をたぐり寄せ9セーブ目を手に入れた。


 試合後に直撃させてもらった。


河内「ハーマン選手が打たれた分、やり返そうという思いだったと感じましたが……」


松井選手「そうですね。自分が打たれたときは、いつもハーマンに声を掛けてもらっていたし、チームが苦しい時にハーマンが中継ぎのメンバーで食事に行こうと言って皆を集めてくれました。みんなにハーマンの分まで頑張ってこいと言って送り出してもらったので抑えられて良かったです」


 投手陣の絆を感じるエピソードに胸が熱くなった。2軍調整となったハーマンだが、きっとまた1軍のマウンドで活躍してくれる事を信じている。



河内「今日は母の日。お母さんに良いプレゼントができましたね!?」


松井選手 「母から連絡もきていたので、毎年登板があれば頑張れる日になると思います。1年でも長くプロ野球選手として活躍して恩返ししていきます」


河内「今、お母さんにメッセージを送るなら?」


松井選手「自分の活躍を楽しみながら、長生きしてください、いつもありがとう!」


 高校(桐光学園)の時から親元を離れ寮生活した松井選手。今も関東での試合はもちろん、仙台にも応援に来られるお母さんへの感謝の気持ちを伝えてくれた。お母さま、ご存知の通り、息子さんは楽天イーグルスの守護神として羽ばたいています!


 そして昨年オフに入籍した松井選手に、奥さまの存在について聞くと、「間違いなく大きいです! 野球に集中させてもらっているので、シーズンは長いですが良いところを見せられるようにやっていきたいです」と話してくれた。


 一家の主としての守るべき「責任感」


 ゲームを締めるクローザーとしての「覚悟」


 この2つが今シーズンの松井選手を大きくプラスに動かしているに違いない。


 残りのゲーム、常勝軍団になるにあたって、絶対的に必要な松井裕樹選手。リーグ優勝、日本一の目標は当然ながら、来年の東京オリンピックで日の丸のユニフォームを着て活躍することも見据える背番号「1」に、これからもマウンド上で吠え続けてもらいたい。


◆ ◆ ◆


※「文春野球コラム ペナントレース2019」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト https://bunshun.jp/articles/11682 でHITボタンを押してください。





(河内 一朗)

文春オンライン

「松井裕樹」をもっと詳しく

「松井裕樹」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ