柳家三三と三遊亭白鳥 正反対の二人会での新作競演

5月17日(金)7時0分 NEWSポストセブン

柳家三三と三遊亭白鳥の二人会の内容は?

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 音楽誌『BURRN!』編集長の広瀬和生氏は、1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。広瀬氏の週刊ポスト連載「落語の目利き」より、古典の正統派・柳家三三と荒唐無稽な新作の三遊亭白鳥、正反対の二人会についてお届けする。


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 古典の正統派・柳家三三と荒唐無稽な新作の三遊亭白鳥。正反対の彼らが2009年から始めた二人会「両極端の会」の第13回が4月1日に新宿の紀伊國屋ホールで行なわれた。


 三三から「実在する人物の噺を」とリクエストされた白鳥が演じたのは、病み上がりの立川談志がリハビリとして落語協会の若手「柳家ミミ」と池袋演芸場で三夜連続の二人会をやる『聖橋』。初演は2010年4月の「両極端の会」で、ちょうど現実世界での談志が8か月の入院生活から復帰した時期だった。


 談志は『文七元結』のリレーを提案。前半をミミが語り、吾妻橋の場面で談志が登場して二人芝居をやり、後半を談志が語るという企画だったが、「古典をまっすぐに演る若手」という談志の期待に反し、ミミは「爪痕を残したい」とクサい新演出を披露。激怒した談志は初日、二日目と高座に出てこない。談志に「身投げの了見になれ」と言われたミミは、聖橋で死のうとする三遊亭白鳥に遭遇、それをヒントに工夫を凝らし、三日目に談志を唸らせる……。


『淀五郎』を元ネタに『中村仲蔵』のパロディも交えた爆笑編。ミミ以外の設定で演ることもあったので、終演後の演目表では『聖橋〜ミミちゃん編〜』とされていた。


 白鳥から三三へのリクエストは、「古典から新作になる噺」。三三は「お前さん、起きとくれ」と『芝浜』を始めたが、魚屋が芝の浜で拾ったのは、たらいに乗って海に浮かんでいたパンダの子供。平成31年から天保10年にタイムスリップしてきたのだという。


「パンダは昔から人間の言葉が喋れるけれども隠している」という設定で、命の恩人のため、パンダは両国の見世物小屋に身を売るが、50両を手に入れた魚屋は酒浸りに。小屋を抜け出してきたパンダは女房に「お金を隠して夢だったと言って、3年後の大晦日に本当のことを話してください」と助言する。


「小咄をする小熊猫」として人気が出たパンダは細川屋敷に呼び出され、『妾馬』のごとく殿様に「ササは食べるか(酒は飲むか)?」と訊かれると、勘違いして左甚五郎作の「竹の水仙」を食べてしまう。手討ちだと家来に追われて井戸に落ち、現代の排水溝で目を覚ましたパンダが飼育員に『芝浜』の内容を訊くと、「浜でパンダを拾った噺」だという。タイムスリップは現実だと知り、江戸での体験を語ったところ「その噺を寄席でやれ」と勧められ、「パンダ笹之丞」として人気者に……。


 演目表に『芝のたらい(仮)』と書かれていたこの噺、絶対に売り物になる。寄席のトリで演ってほしい。


●ひろせ・かずお/1960年生まれ。東京大学工学部卒。音楽誌『BURRN!』編集長。1970年代からの落語ファンで、ほぼ毎日ナマの高座に接している。『現代落語の基礎知識』『噺家のはなし』『噺は生きている』など著書多数。


※週刊ポスト2019年5月17・24日号

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