入院の山口達也が苦しむ病気の恐ろしい症状と「転院地獄」

5月18日(金)7時0分 NEWSポストセブン

躁鬱病の治療へ

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 自身が司会を務める『Rの法則』(NHK Eテレ)で知り合った女子高生を自宅に呼び出し、強引にキスを迫ったことを発端とする山口達也(46才)の騒動。山口は現在、関東にある病院に入院している。アルコール依存症を疑う声もあったが、山口は長く躁鬱病と闘ってきたという。


◆話し続ける、性的に奔放になる


 正式には「双極性障害」という躁鬱病は入院が必要になるほどの激しい躁状態を伴う「I型」と、長い鬱期間と軽い躁状態を伴う「II型」に分けられるが、II型が進行するとI型になるというわけではない。日本人における躁鬱病患者の割合は、I型・II型合わせて1000人に4〜7人とされている。


 欧米人の有病率は100人に2〜3人とされる。今年4月にはマライア・キャリー(48才)が17年前から躁鬱病に苦しみ、最近治療を始めたことをカミングアウトし、「最近まで否定と孤独の中で生きてきた」と語った。


 マライアの場合は、鬱の期間が長いのに、気分が高揚する軽躁を伴うために病気がわかりにくかった「II型」と診断された。一方、精神科医の片田珠美さんは「山口さんはI型ではないか」と指摘する。


「双極I型は一般に、短期間で躁と鬱が入れ替わるわけではありません。少なくとも1週間以上は躁状態が続きます。I型は遺伝的な要因が大きいといわれますが詳しい発症メカニズムは明らかではなく、環境的要因も指摘されます。


 現代社会は離婚や失業などの喪失体験が多いので、落ち込んだ気分を挽回しようとカラ元気を出して振る舞うことが多い。これを『躁的防衛』といいますが、それを繰り返していると、躁鬱病を発症しやすいと考えられます」


 10代で発症する人も少なくないが、双極性障害と診断されるまでに長い時間を要するケースも多く、平均発症年齢は男女共に30才だという。


「更年期の女性が発症するケースも典型的です。その時期の女性は若さによる自信を失い、さらに、閉経して“自分はもう女ではないんだ”と落ち込みます。子供が自立すると、母としての役割を果たす必要もなくなります。それで妻や母親としての役割を失ったと思い悩み、憂鬱や不安に苛まれます。その状態で『躁的防衛』を起こして躁状態になると、エステや習い事に熱心に通いつめたり、そうした趣味の場で出会った男性に強い恋愛感情を持ったりすることがあります」(片田さん)


 この病気のおそろしいところは、本人は“気分がいい”ので、病的な状態にあることに気づきにくいということだ。


 双極性障害の「躁状態のサイン」とはどんな行為なのか。厚生労働省HPや専門家の見解などによると、たとえば以下の9項目が挙げられる。


●睡眠時間が2時間以上少なくても平気になる《睡眠欲求の減少》

●寝なくても元気で活動を続けられる《活動性の亢進》

●人の意見に耳を貸さない《誇大妄想》

●話し続ける《多弁》

●次々にアイディアが出てくるがそれらを組み立てて最後までやり遂げることができない《観念奔逸》

●根拠のない自信に満ちあふれる《自尊心の肥大》

●買い物やギャンブルに莫大な金額をつぎ込む《浪費》

●初対面の人にやたらと声をかける《社交性の増加》

●性的に奔放になる《性欲の亢進》


 普通の生活をしていても、誰しもが1つは当てはまりそうだが、3つ以上当てはまるようなら要注意だ。



「本人は気づかなくても、周囲から見れば“これは病的だ”とわかるはずです。たとえば、《浪費》でいうと1か月で数百万円を使うなど破綻することが明らかなのに躊躇しないとか、《自尊心の肥大》では他人をバカにする暴言を吐くとか、《性欲の亢進》ではわいせつ行為やレイプまがいの行為を平気ですることなどを指します」(片田さん)


◆寛解まで4〜5年かかる


 躁鬱病に悩む20代女性もこう吐露する。


「躁状態になった時にSNSに異常な投稿をしたり、芸能人から好意をもたれていると妄想したり、友人に暴言などを吐きました。私の言動の噂が広まり、元の自分に戻った時に気づけば周りにいる人がいなくなってしまいました」


 身近な人で、躁鬱病が疑われる人にはどう対処すべきか。片田さんは「治療が絶対必要」と指摘する。


「鬱病と違うのは患者が躁状態を“爽快”と感じ、病気と認めないこと。躁鬱病を治すには家族が正しい認識を持ち、本人を説き伏せて、医療機関での治療が欠かせません」


 躁鬱病は自然に治ることはないとされる。正しい治療をせずに放置していると再発を繰り返し、次第に発生間隔が短くなる。それゆえ、早期発見と早期治療が重要になる。ベーシックな治療法は「薬物療法」だ。岡田クリニックの岡田尊司院長が説明する。


「最も有効とされるのが気分安定剤の炭酸リチウムです。一般に治療の流れは薬物療法をしながらカウンセリングや心理教育を施し、ハイになったり落ち込んだりした時の対処の仕方を学習します。山口さんの場合はアルコールの離脱も同時に進めるはずです」


 ただ、山口のように入院した場合、家族にとってつらい日々が続いていくという。


「一般的な躁鬱病患者の場合、入院できても病院側の都合により30日をめどに退院を促されてしまいます。そうなると、家族は新たに病院を探さねばならず、もし入院先が見つかったとしても、また30日ほどで退院させられてしまうことが多いんです。1つの病院に落ち着くことがなかなか難しく、患者にとっても、家族にとっても転院地獄が待っています」(医療関係者)


 山口が治療を続けたのに治らなかったことについて、片田さんはこう指摘する。


「1つ目は薬をきちんとのみ続けなかったこと。2つ目は躁鬱病の治療薬と併用してはいけないアルコールを飲み続けたこと。3つ目は、離婚などで周囲のサポートが得られなかったことが挙げられます」


 片田さんが続ける。


「大きな喪失体験に見舞われて自殺の恐れがあるため、山口さんは隔離された病室で24時間体制で監視されていると思います。それと併せ、薬物投与が行われているはずです。この病気は寛解までに4〜5年と長期治療が必要で、退院した後も、必ず薬をのみ続けなくてはいけません」


 周囲のサポートが不可欠だ。


※女性セブン2018年5月31日号

NEWSポストセブン

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