【映画コラム】ドキュメンタリーと劇映画を融合させた『アメリカン・アニマルズ』

5月18日(土)17時23分 エンタメOVO

(C)AI Film LLC/Channel Four Television Corporation/American Animal Pictures Limited 2018

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 米ケンタッキー州で実際に起きた4人の大学生による強盗事件を映画化した『アメリカン・アニマルズ』が公開中だ。



 退屈な大学生活を送るウォーレン(エバン・ピーターズ)とスペンサー(バリー・コーガン)は、自分たちが普通の大人になりかけていることにいら立ちを感じていた。そんな中、2人は大学図書館に保管されたオーデュボンのビンテージ画集を強奪することを思いつき、新たに2人の友人を仲間に引き込む。

 自分は普通とは違うと思い込み、それを証明するための何か“でかいこと”を探す若者たちが、クェンティン・タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(91)などの犯罪映画を参考にしながら計画を立てたという、甘いと言えば甘過ぎる、ドジと言えばドジ過ぎる、実際にあった強盗事件の経緯を描く。

 監督・脚本は、もとはドキュメンタリー映像の作家で、本作が劇映画デビューとなったバート・レイトン。彼は事件を知ったとき、裕福な家庭に生まれ、チャンスにも恵まれ、とても犯罪をするようには見えない4人の若者たちが、なぜリスクを負ってまでこんなことをしたのかという疑問を抱いた。そして服役中の彼らに手紙を書いてその理由を聞き、その後、彼らと文通を続けるうちに、事件の奥にもっと面白いストーリーがあると感じて、映画化しようと決めたという。

 そして、本物の犯人たちを劇中に登場させ、彼らに扮(ふん)した俳優たちの演技と重ねて見せることで、ドキュメンタリーと劇映画を融合させるというユニークなスタイルを生み出した。そうすることで、本人と演じている俳優たちがオーバーラップする面白さ、あるいは、証言の食い違いによって、一つの出来事を異なる視点で見せる面白さが生まれたが、では劇映画とドキュメンタリーの境界はどこにあるのかを考えさせられるところもある。

 レイトン監督は「彼らの計画を見ながら、観客は『やめるべきだ』と思いつつも、『でも成功してほしい』という矛盾した思いを抱くはず。それは自分ではできないことを彼らがしているから。映画の中の彼らを通して、自分も冒険を体験しているような気分になる。でも、その後ファンタジーと現実が衝突したときに目が覚める。そんなところも描きたかった。彼らと一緒に犯罪を行っているような気分を実感できる映画、心拍数が上がる映画になっている」と自信満々に語っている。

 ちなみに、劇中で、彼らが参考にした映画として棚に並んだDVDのタイトルが映る。それは『ミニミニ大作戦』(69)、『華麗なる賭け』(68)、『スナッチ』(00)、『ユージュアル・サスペクツ』(95)、『ハートブルー』(91)、『ゲッタウェイ』(72)、『明日に向って撃て!』(69)、『スティング』(73)、『男の争い』(55)、『タイム・トゥ・ラン』(15)、『マッチスティック・メン』(03)、『ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー』(81)、『レザボア・ドッグス』。そして唯一映像が映るのがスタンリー・キューブリック監督の『現金に体を張れ』(56)だ。なかなか興味深いラインアップだが、これは監督自身が選んだものだという。(田中雄二)

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