ガンダム40年アルバムを聴いて思った小室哲哉の存在感——近田春夫の考えるヒット

5月19日(日)17時0分 文春オンライン

『機動戦士ガンダム』(40th Anniversary BEST ANIME MIX)




絵=安斎肇


 我々の世代はというと、ロボット漫画——アニメだろうと実写になろうが——と真摯に向き合うのは、せいぜいが中学生のあたりまでだっただろうか? 16歳にもなって、それでも夢中だとかいうヤツの話は、聞いたためしがない。


 なので、そりゃ無論“ガンダム”の名前ぐらい耳にしたこたァありますけど、その長きに渡る(今回学んだ。40周年だったんだね)歴史はもとより、登場される皆さんの“みてくれ”もホント全然知らないのよ、悪いけどさ。劇場でもTVでも一度も観たことがないなら、当然テーマ、挿入歌とも、この歳になるまで、正真正銘、無縁で人生を過ごしてきた私なのであった。


 そんな当方の事情を知ってか知らずか、編集が送りつけてきたのが、件(くだん)のガンダムの音源40作をDJが繋いだという“ノンストップもの”だったのだが、驚いた。もうCDも容易には売れぬこのご時世、こうした企画の場合、例えばオマケ(ブックレット等)を添えるなりして、なんとか興味を引こう、販促に結びつけようてぇのが、メーカーの基本的人情だと思っていたら、一切の解説も無いどころか歌詞カードも無し! の強気だ。てか、ハッキリいって少なくともコレについて原稿を書こうとする人間がコレについて何も知識は有さぬという状況下に於いては、不親切極まりない商品にさえ映ってしまうとも限らぬよと……。老婆心ながらの“進言”ですけども。



機動戦士ガンダム 40th Anniversary BEST ANIME MIX(Sony Music)


 ともあれさておき、アルバムを通しで聴きおおし!、楽しめる部分はちゃんとあった。ですので、そのあたりの感想は少し述べていこうかと思う。ここでは、時系列に沿って曲が並べられているわけでは——その意図や読めぬが——ない。なのに聴いていると何故か、どれが昔の作でどれが最近の音なのかよくわかってしまう。時代ごとの流行歌というものの傾向が、こうした“アニメ用音楽”などにも思っていた以上に実に色濃く反映されていたのだなぁと……。いわゆる“さわり”だけを繋いでくれたおかげで、まさに“時短”でお勉強が出来たことは、大変にありがたかった。


 そうしたなかで何より思うのが、小室哲哉の存在のとてつもない大きさ/強さのことで、ある時期からこっち、いまだjpopは、しっかりとその作風(についての講義はまた今度するからね)の影響下にあるものなのかと、あらためて驚かされた格好でもある。実際の話、TKこんなにガンダム書いてたんだぁ、と思って作者名に目をやると他の人だったなんてのも、数作(DJの選曲趣向もあるかもしれないが)ありましたしね(笑)。


 一方でTM NETWORK曲が、ぼやっとしていれば気付かぬほど、そこまでTK色の感じられぬ音なのが興味深い。'88年だそうで、のちの、大ブレークから始まる数奇な人生/運命を、本人知るよしもなかった頃の“仕事”である。


 あれこれそんなことに想いを巡らしているうち、ふと俺の脳裏には「無常」の二文字が過(よ)ぎって行くのであった。



INFORMATION


『機動戦士ガンダム』(40th Anniversary BEST ANIME MIX)

1979年に『機動戦士ガンダム』が放映されて40年。次々と放送されてきた様々なガンダムのなかから、アニメソングを得意とするDJシーザーによる選曲で編むベストミックス。初代OP「翔べ!ガンダム」(M1)から、森口博子「水の星へ愛をこめて」(M38)、TM NETWORK「BEYOND THE TIME(メビウスの宇宙を越えて)」(M21)、西城秀樹「ターンAターン」(M28)などを経て、最新のガンダムシリーズのタイアップ曲まで網羅する。





ちかだはるお/1951年東京都生まれ。ミュージシャン。現在、バンド「活躍中」や、DJのOMBとのユニット「LUNASUN」で活動中。近著に『考えるヒット テーマはジャニーズ』(スモール出版)。近作にソロアルバム『超冗談だから』、ベストアルバム『近田春夫ベスト〜世界で一番いけない男』(ともにビクター)がある。




(近田 春夫/週刊文春 2019年5月2・9日号)

文春オンライン

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