テレビ解説者・木村隆志の週刊テレ贔屓 第20回 『有田哲平の夢なら醒めないで』女性タレントの"プレゼン大会"かつ"品評会"

5月20日(日)21時0分 マイナビニュース

テレビ解説者の木村隆志が、今週注目した"贔屓"のテレビ番組を紹介する「週刊テレ贔屓(びいき)」。第20回は、15日に放送された『有田哲平の夢なら醒めないで』 (TBS系、毎週火曜23:56〜)をピックアップする。

同番組は、女性ゲストが「理想の男性像」や「欲望のアレコレ」を語り尽くす恋愛ロングインタビューバラエティ。昨年10月のスタートからしばらくは女性タレントの過激な恋愛トークを軸に据えた構成だったが、最近は「意識高い系女子」「女子アナ雑草軍団」「クセが強い美女モデル」などの"くくり"を打ち出すことで笑いどころを増やしている。

今回の放送は、「おブス女子の怒りSP!」。有村藍里(タレント)、須田亜香里(SKE48)、青山ひかる(グラビアアイドル)、布川桃花(モデル)、ゆかりの小雪(元宝塚のタレント)が「ブス」として登場し、本音をぶちまけるという。

○外見に留まらず、内面のブスも大放出

番組は「今夜、芸能界のおブス軍団が一大決起集会」「どんなにおブスと呼ばれても、いつもニコニコしている彼女たちが、日々腹の底に押し殺しているドロドロの本音を一夜限りの大放出」という悪意に満ちたナレーションからスタート。5人の共通点は、自分の名前を検索すると、「ブス」という予測キーワードが出てくることらしい。

一発目のトークテーマは、「似ている」と言われてムカつく人。有村藍里は「進撃の巨人」と「ナスD」。青山ひかるは「ねずみ男」。布川桃花は「お父さんの布川敏和」。このあたりは、それぞれの鉄板ネタ披露タイムといったところか。

続く、「ひそかな努力」というトークテーマで有村がたたみかける。「ブスと言われる要因が口元で、鼻の下が長くて間延びして見える。ストローで飲む姿を人に見せられない」「だから鼻の下に縦線を書いている。これを書くと『妹(有村架純)に似てる』って言われるので」「幼稚園までは普通にかわいい部類。小学校で歯の抜け変わりのときにゴリラっぽくなって顔面崩壊しました。歯を6本抜いて矯正したのでマシになったんですけど」と、とびきりのブスネタを一気に放出した。

須田も負けていない。「夜中の楽しみ」というトークテーマで、「かわいくなった子を見つけるとネットで"整形パトロール"をする。テレビに出てる方は多いですよね」「シーズンに合わせて顔を変えている人を見ると『意識高いな』と思う」と猛毒を放出。さらに、ストレス発散の方法として、「渋谷駅前で自分よりブスを探す」とぶっちゃけて驚かせた。

「トークによって、外見のブスに留まらず、内面のブスがこぼれ出てしまう」のが、今回の肝だったのではないか。ならば「どこかで聞いた」「誰かと似た」ような中途半端なネタは、最大のタブーとなる。
○似たタレントを並べることの残酷さ

前述したように、現在当番組のコンセプトとなっているのは、女性タレントの"くくり"だろう。今回の放送を見ればわかるように、その顔ぶれは微妙なポジションの女性タレントばかり。パッと見ると"芸能人女子会"のようだが、女性タレントにとっては「自分を売り込むプレゼン大会」であり、各局のテレビマンにとっては「くすぶりタレントの品評会」となっている。

視聴者にとっても、深夜番組の次期エース候補を探したり、ゴールデン番組の出演につながるバトルを楽しんだり、という見方が可能。まだあまり世に出ていない人もいれば、敗者復活戦のような人もいて、アピール合戦は熾烈だ。

途中、話を振られたアシスタントの大橋未歩が、「相手の方(恋人)にブスって言われるのが好きなんですよ」と話すと、おブス女子たちが超速反応。「ブスじゃないから言える!」「そんなの、プレイ、プレイ」という猛烈なガヤが飛び交った。この速く強いリアクションは、「芸人の中に交じってバラエティに出られるかどうか」の参考指標になるだろう。

しかし、似たキャラやポジションの女性タレントを並べると、地力や才能の差がハッキリと表れてしまう……。その意味では、芸人同士の互助会的なフォローが期待できる『アメトーーク!』(テレビ朝日系)よりもシビアな番組かもしれない。まあ、それが芸能界というシビアな世界ということか。

この日は、キャラに徹する潔さと手数の多さ、さらに、それを実現させる事前努力も含めて、有村の存在感が際立っていた。また、"センター"を任された須田も、アイドルらしい屈託のなさと瞬発力を武器に奮闘。有村に食らいつき、各局のテレビマンたちに爪あとを残せたのではないか。

もう1人、注目しなければいけないのは、"惑星枠"(まだ世に知られていないが、可能性を感じさせるタレント)で出演した、ゆかりの小雪。そもそもブスでない上に、すべてのトークでスベってしまい、MCの有田哲平から「ブス以前の問題」とぶった切られてしまった。「ブスよりバカ」というニュアンスのキャスティングだったのだが、品評会としてはそれもアリなのだ。

ローラを早口にしたような話し方と、ペラペラのエピソード。宝塚出身らしい美声の美女ながら、金髪ショートヘア、変顔連発、自分を「こゆたん」と呼ぶ、闇の深さを自覚などのギャップ。いずれもインパクト十分だけにネットとの相性もよく、24歳という若さもあり、少なくとも今年いっぱいはさまざまな番組でその姿を見られるだろう。

いや、この番組なら、「ゆかりの小雪と同系で、さらに強烈なインパクトの女性タレントを連れてくるのではないか」と期待している。
○来週の"贔屓"は…放送10年突破で盤石期?『人生が変わる1分間の深イイ話』

『人生が変わる1分間の深イイ話』に出演する今田耕司(左)と羽鳥慎一=21日の放送より (C)NTV

来週の放送からピックアップする"贔屓"の番組は、21日に放送される『人生が変わる1分間の深イイ話』 (日本テレビ系、毎週月曜21:00〜)。同番組は、さまざまな人々に密着して見つけた"深くてイイ話"を1分間に凝縮させて紹介する、人物ドキュメント+トーク型のバラエティ。2008年のスタートから今年2月で放送10年を突破したこともあり、日テレを代表する人気番組の1つと言っていいだろう。

次回の放送は、「男よりたくましい女性は本当に幸せなのか?SP」。瀬戸内寂聴の弟子で移住コーディネーターの小林陽子さんや、平昌五輪・スピードスケート女子団体パシュート・金メダリストの菊池彩花選手に密着。必ずしも認知度の高い人選でないところに、この番組と日テレの持つ強みが表れるのではないか。

■木村隆志
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者、タレントインタビュアー。雑誌やウェブに月20〜25本のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』『TBSレビュー』などに出演。取材歴2,000人超のタレント専門インタビュアーでもある。1日のテレビ視聴は20時間(同時視聴含む)を超え、ドラマも毎クール全作品を視聴。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』など。

マイナビニュース

「解説者」をもっと詳しく

「解説者」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ