草刈民代 「バレエ男子!」で初の映像作品監修「勉強になった」 ダンサー時代の支えは夫・周防監督
2025年5月20日(火)7時0分 スポーツニッポン
【インタビュー】女優の草刈民代(60)がMBSドラマ「バレエ男子!」(木曜深夜1・29)でバレエ監修・指導を務めている。男性バレエダンサーの日常を通して自分らしく生きることの大切さを描いた作品。草刈はバレリーナの経験を活かしてバレエシーンの動きや音楽にこだわり抜いた。映像作品を監修するのは初めてで、「もの凄く勉強になりました」と充実感をにじませた。 (望月 清香)
バレエ仕込みの美しいスタイルと華のあるオーラをまとった草刈。「徹底的に裏方の仕事をしました」と宣言した。振付はもちろん、キャストへのレッスンやバレエシーンに使用する楽曲選びも行った。「役者さんやダンサーのみなさんに全てを捧げるくらいの気持ちで臨みました。毎日のようにレッスンをしていましたが、ドラマの中での役者さんたちの踊りの量を考えると、練習時間は決して十分ではなかった。最小限で最大限の結果を出せるように稽古のプランを立てました」と熱を込めた。
主演の戸塚純貴はバレエ未経験ながら、目を見張るようなスピードで上達していったという。「素晴らしかったです。戸塚さんの役者としての演じる力やその欲求が上達につながった」と絶賛。教え子であるキャストたちに「役者さんは視覚的にキャッチしたものを自分のものにする能力がすごく高い。体の理解も早い。稽古をするごとに理解を深め、役柄を構築していった。初めからは想像もできないレベルになりました」と太鼓判を押した。
大仕事を終えた草刈は、「凄い疲れちゃいましたね」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。「自分が俳優として試行錯誤してきたことが、役者さんの心情を表現する動きを考えたり、シーンに合った音楽を選ぶことに役に立ちました。今しかできない挑戦だったと思います。裏方の仕事をしたことは今後の役者業にもとっても役に立つと思います」と手応えを口にした。
夫で映画監督の周防正行氏の存在も新たな挑戦の後押しになったという。「映画監督の夫の側に30年近くいるので、知らず知らずのうちに学んだことがあったと思います。夫も今作の台本を読んで、“これは面白くなるんじゃないか”と言ってくれました」。草刈と周防氏は1996年の映画「Shall we ダンス?」をきっかけに結婚。共に芸術の世界で第一線を走ってきた。「夫は一番支えになってくれています。ダンサー時代は結果を出さないといけないと追い詰められていたので、身近で支えてくれた人の存在は本当に感謝です」とほほ笑んだ。
常に進化を遂げる草刈の根っこには、バレエで培った強い精神力がある。草刈は8歳でバレエを始め、16歳で牧阿佐美バレエ団に入団。18歳で主役デビューして以来、数々の作品で主役を務めた。「バレエは常に上を目指さないと続けられない。現状維持では下がっちゃうだけ。常に何かに挑戦するのが当たり前になっているのかも」。戸塚らキャストは草刈のバレエに向き合う姿勢に刺激を受けたという。草刈は「常に上を目指すのが良いのか悪いのかよく分からなくなる時もあったけど、役者さんたちに“刺激をもらった”と言っていただいた。踊っていた頃は楽しいことと苦しいことが半々だったと思う。けれど、踊りの世界の一流の芸術家から学ばせていただき、宝物のような経験もさせていただいた。その経験を役者さんたちや、協力してくれたダンサーたちとシェアできたことが何よりもうれしい」と謙遜しつつも誇らしげに語った。
草刈のバレリーナとしての経験と女優としての経験が惜しみなく注がれた今作。「バレエのシーンは凄くリアルだと思います。バレエのシーンとコメディ部分のギャップを楽しんでいただけたら」とアピールした。その凛とした美しい眼差しからは、バレエと芝居への深い愛情が感じられた。