『轢き逃げ -最高の最悪な日-』岸部一徳×毎熊克哉インタビュー|「水谷豊監督の遊び心が詰まった映画になっている」

2019年5月21日(火)18時0分 映画ランドNEWS

映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』
岸部一徳×毎熊克哉インタビュー


(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

水谷豊が、脚本も手掛けた、監督第2作『轢き逃げ −最高の最悪な日−』。自身の結婚式の打ち合わせに急ぐ青年と、その友人が乗り合わせた車が轢き逃げ事件を起こす。逃げる加害者と被害者遺族、事件を追う警察など7人のドラマを描く本作で、轢き逃げ事件の犯人を追う刑事コンビを演じた、柳公三郎刑事役の岸部一徳、前田俊刑事役の毎熊克哉に話を聞いた(取材・文/藤沢ともこ)。


──岸部さんと毎熊さんは同じ作品に三作品出られてますが、共演シーン自体は本作が初めてですか?


岸部:そんなに共演してる?


毎熊:『空飛ぶタイヤ』で、一番最初に事故を起こす運転手役で……。


岸部:あぁ!知らなかった……。


毎熊:いや、いいんです!最初にちゃんとご挨拶したのは『北の桜守』の、まだあそこ(南樺太)が賑やかだった時代におにぎりを食べる、というシーンだけだったんですけど……。


岸部:一緒のところはそんなになかったよね。


毎熊:そうですね。『空飛ぶタイヤ』も三日位で撮影が終わったので……。


岸部:まあ、言ってみると、若い人たちの流行というものの中で考えたら彼は地味ですからね。


毎熊:そうですね。


岸部:いや、その地味がいいんだと、僕は思いますよ。彼を見た時に、『北の桜守』も今回もそうなんだけど、中々珍しいタイプだなと思っているんです。地味と言うか、個性みたいなものが他の人たちとちょっと違う個性なので、反応も。だから、役で見えてくるというタイプかなと思います。だから意外と今の時代で言えば珍しいタイプで、楽しみは楽しみですね。


毎熊:取材でも無い限りは、こんな会話も中々難しいんで……嬉しいです。


岸部:だから時間を掛けて良いという風に思っていれば良いと思います。そんなに急がないで、良い監督や良い作品に出会うとか……ちょっとした役も含めて、じっくりとやっていけば。今いくつだっけ?


毎熊:32です。


岸部: 40代に入って、「いい俳優だな」っていう風になるのを目標に置いておけば、丁度良い……そんな感じがします。水谷さんもどっかそういう風に思ってるところがあるんじゃないかな。


毎熊:自分もそんなに焦ってはいないというか。自分がこの位のことが出来たらな、とか、そういうものはあるんですけど、今出来るかと言ったら全然出来なくて。のらりくらりじゃないですけど、一個一個、足場を固めている感じなので……分からないですけど、40になってやっと出番が来るというか。今回は本当に、何と言うか……賭けだったんです。


──賭け、とは?


毎熊:だって自分の監督作品に、主人公二人は沢山オーディションをやって決まっているのに、なぜこいつで前田をやろうと思ったのかは凄く気になるところなんですよね。(水谷監督に)そこはちょっと聞けなくて。やっぱり、何でですか?とは気軽には聞けないです。現場はどんどん進んでいきますし……。監督から「映画を観たよ」と言っていただけたのですが、その映画も役柄的に今回の役に近いわけでも無く、半グレみたいな役だったので、それが前田に結びつくのがとても不思議でしたね。


──では、最初に水谷監督からオファーを受けた時のお気持ちは?


(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

毎熊:それはそれはびっくりしました。というのは、水谷さんと面識が全く無かったので。そんな中、今回凄く重要な役どころを、会ったこともないこの若造に託すというのは最初信じられなくて。とにかくびっくりしました。オーディションだったら分かるんですけど、オファーだったのでなおさら……。一番最初にお会いしたのが衣裳合わせで、それまでお会いしたことなかったので、「大丈夫か?大丈夫か?」と、本当にびっくりしました。


──岸部さんは前作に続き二作目になりますが、今回のオファーは?


岸部:オファーは「1年後のこの頃……どうなっていますか?空いてますか?」と聞かれて、「空いてますけど、何ですか?」と言いました。「一本映画を撮るんです」と言うので、それで内容をちょっと聞いて、まあ当然やりますということになりましたけどね。水谷監督なので、同じ顔触れでまた出るというのはちょっと考えるんですよ、本当はね。作品の為にはどっちがいいのかな、と一瞬考えるんですけど、でもまあ、二作目まではちょっと出たいなあ、というのがあるんです(笑)。「脚本を今度は自分で書いたので、読んで欲しい」と。そうなんだ、と。いきさつはそういうことです。


──水谷監督に会う前と、会った後でのイメージはいかがですか?


毎熊:やっぱり凄く熱い方だなという感じです。どうしても、作品の中にいるその人とご本人というのは、想像がつかなかったりするじゃないですか。だから、本当はどんな方なんだろうとは思っていたんですけど、毎回、朝や久しぶりに会う時は、握手から始まるので、凄い熱い方だなって思います。


──岸部さんは握手でしたか?ハグでしたか?


岸部:ハグ?いやいや、朝は握手が多いです。会った時は……まあ、握手かな。


──ちなみに女性キャスト(小林涼子)はハグだったそうです。


岸部:女性はハグだったの?


毎熊:野郎はまあ……(笑)。あ、でも何回かしたような気もします。


岸部:悪い事じゃないよね、僕は恥ずかしくて出来ないけど(笑)。自分からは中々ねぇ……スタッフにも。でも一人一人ちゃんとそれをする水谷さんは偉い。偉いというか、やっぱり何かそれで一つ早く壁が取れるというのはあるでしょ?スタッフも一つになれる。そういうのが見ていて分かります。


──監督自ら現場の一体感を作っている感じですか?


岸部:結果的にはそうなっているんでしょうね。こうしたら人がこうなるだろうとか、そんなことを考えないで、自分はそういう風にしたいということだと思いますけどね。


──本作は神戸が舞台でしたが、神戸ロケの思い出はありますか?


(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会

岸部:僕は特に無いですね。若い人たちは食事に行ったの?


毎熊:そうですね。夜は若手メンバー(中山麻聖・石田法嗣・小林涼子)で……犯人とその嫁さん……僕は刑事なんで、あんまりつるんでも……とは思ってましたが、けっこう誘ってもらって、誘われたら「はい、行きましょう」って。


岸部:誘われたら、ね(笑)。いやいや、僕は立場が違うでしょうなんて言いづらいよね。


毎熊:そうなんです。神戸は一日休んで、一日一、二シーン、また一日休んで……という結構楽なスケジュールで一人の時間がありました。でも現場は緊張しますし、若手メンバーでご飯に行き、現場大変だね、みたいな会話をしたのが思い出といえば思い出です。


岸部:神戸での思い出ではないのですが、取調室のシーンとか、轢き逃げ側の二人に、本当に熱心に水谷さんが演出していたのは、思い出といえば思い出ですかね。言われてる方は、訳がわからなくなる。でも訳がわからなくなるのを一回通ることがいいんだ、ということで監督はやってたんだろうな、と思うんです。大体、自分でこんな風にやってみようとか想定してくる。でもそれも一回全部取ってしまう。で、取ってしまった時に(轢き逃げ犯の一人)石田君がどうするのか……そういうところまでちゃんと演出する監督は中々いないんですよ。だからいい経験だったんじゃないかな。それがちょっと印象には残っています。


──最後に一言づつお願いします。


岸部:是非ご覧下さい。中々見ごたえのある作品です。どこから映画を見ていくかは、それぞれの人の、その時の感情もあると思いますが、楽しんでもらいたいな、と思います。


毎熊:パッと見、凄く重たい映画なような感じもするんですが、映像の画、音、刑事の部分……よく観ると水谷監督の遊び心が詰まった映画になっていると思います。シリアスな重たい映画という構えでなく、エンターテインメントとして、楽しみにこの映画を観てもらえたらなあと思います。



映画『轢き逃げ −最高の最悪な日−』は全国公開中


公式HP:http://www.hikinige-movie.com/


(C)2019映画「轢き逃げ」製作委員会


取材・文/藤沢ともこ


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