有森也実「妻としての母」を大切にしていた父への複雑な思い

5月21日(日)7時0分 NEWSポストセブン

映画『いぬむこいり』の演技が話題の有森也実

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 映画『いぬむこいり』での大胆な演技が話題の女優・有森也実(49才)。そんな彼女の母・久子さん(享年76)は2年前の1月に9年に及ぶがん闘病の末に亡くなった。そして、今年1月には父・正行さん(享年80)も肺がんで亡くなっている。


 相次いで両親を亡くした有森だが、30年にもわたって葛藤を抱えていた。というのも、父と母は離婚することなく別居生活を続けていたのだ。「夫婦は一緒に生活するもの」と当たり前のように思って生きてきた有森には、理解できるものではなかった。


 有森が生まれた1967年当時、正行さんと久子さんは横浜で暮していた。しかし、有森が女優として活躍するようになった1988年、正行さんの会社が倒産。正行さんはひとり故郷の佐賀に戻り、鹿島市にある「松岡神社」の宮司となった。一方、久子さんは娘の芸能活動をサポートしたいという思いもあり東京に残り、その後、夫婦は離婚することなく、東京と佐賀で離れて生活することとなったのだ。


 母の闘病中、父はほとんど見舞いに来ることはなく、最期を看取ることもなかった。


「母は最初の頃はやっぱり、父がお見舞いに来てくれないことがすごく寂しそうでした。けれど、がりがりにやせてしまった亡くなる1か月前ぐらいは、『会いたくない』って言うようになりました。私は、『今会わないと話もできなくなってしまう』と思ったんですけどね…。それでも娘としては、父に『最期くらいは来てあげてよ』って思いました。でも母が亡くなる前後の年末年始は、神社が忙しい時期というのもあって、とうとうふたりは会わないまま別れることになったんです」(有森、以下同)


 それなのに父は、母の葬儀は「佐賀でやる」と言い出した。これほどまで母を、家族を放っておいた父に、有森は怒りを爆発させた。


「そんな茶番をやっても意味がない!」


 ほとんど悲鳴に近い叫びを上げる娘に、父は、「そういうわけにはいかないんだ」とはっきり言い、頑として譲らなかった。



 有森にとっては不本意だったが、両親は離婚していないし、喪主はあくまで父。しかも神社の宮司だ。結局、母の葬儀は佐賀で執り行うことになった。そして参列した葬儀で、有森は思いがけない光景を目の当たりにした。父が選んだ遺影は、母が30才くらいの時のものだったのだ──。


「母は9年ほど闘病していますから、私にとっての母は、闘病中の印象が強くて、だから正直、『えっ?』と思ったんです。でも父は『おれの知っている久子はこれだ』って言うんです。父は、家族のなかの母というより、妻としての母を大切にしていたのかなと思いました。母はおしゃれな人でしたから、最期に父に会いたがらなかったのも、いちばん幸せではつらつとした時期を、父の記憶にとどめてほしいと思っていたのかもしれないし、父もそうだったのかもしれない」


 母の遺品の片づけには1年半もかかった。ある日、その遺品の中に父と母のラブレターを見つけた。


「消印を見ると、2日おきにやりとりをしていたことがわかり、こういう愛もあるんだな、って。私に隠れて、父が母に会いに来ていたこともあったようです。距離があってはじめて続けられた家族だったのかなと今は思えるかな」


 娘としては少し寂しいですけどね──寂しそうな笑顔を浮かべてそう付け加えた。


撮影/村上雅裕


※女性セブン2017年6月1日号

NEWSポストセブン

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