浜村淳、ラジオでしゃべり続けて45年「浜村節」誕生秘話

5月21日(火)11時0分 NEWSポストセブン

しゃべり続けて45年の浜村淳

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 月曜から土曜まで、毎朝8時から2時間半以上もマイクの前でしゃべり続ける──浜村淳(84)がパーソナリティを務めるラジオ番組『ありがとう浜村淳です』(毎日放送)が、4月で45周年を迎えた。朝一番に、柔らかな関西風の名調子でニュースを紹介。日替わりゲストを招いてのトークから、「実際の映画より面白い」と評される映画解説まで、幅広い内容を網羅。3世代にわたって愛される関西の人気番組だ。


「今の番組ディレクターは、放送開始時は生まれていませんし、俳優の菅田将暉さん(大阪出身)や野村周平さん(神戸出身)のように、子供の頃に聴いていたという芸能界のスターもいます。彼らが番組ゲストとして来てくれると、第一声が『まだやっておられるんですか』ですよ(笑い)」


 毎晩10時には寝て、朝5時前に起床。6時にはスタジオに着き、一般紙からスポーツ紙まですべてに目を通し、その日の話題を考える。時間の都合上、実際に紹介できるのは準備したネタの3分の1程度。「反響はすぐに電話やFAXで届きます。『いい勉強になった』と言われると嬉しいですね」


 そして8時にひとたび番組が始まると、ノンストップでしゃべる毎日だというから、並大抵ではない。「声を維持するために、仕事以外ではなるべく話さないようにしている」という浜村。平日で2時間半、土曜は3時間半もしゃべり続ける。だが浜村はこう微笑むのだ。


「続けてこられた理由のひとつは、楽しくやってきたからでしょうね。何事も楽しまないと長続きしませんから」


 


1935年、京都に生まれた浜村は、近所で時代劇の撮影が行なわれる環境で育ち、幼少期から映画に魅せられたという。10歳で終戦を迎えると、ラジオから流れる音楽番組やラジオドラマにも夢中になった。地元の同志社大学に進学すると放送部に所属。校内でジャズや映画の解説をしていたところ評判を呼び、次第にジャズ喫茶やラジオ局から声がかかるようになる。


「ジャズ喫茶というと今でいうライブハウス。当時はテレビも普及していないし娯楽も少ないから、生歌を聴くのが一種のブームでした。淡谷のり子さんのライブで司会をしたところ、気に入ってくださって、『音楽の本を買って勉強してね』と特別に1000円もいただいたことがあります。今で2万円程の価値になるでしょうか。ありがたかったですね。そのお金で買ったジャズの解説本は、大切にとってあります」


 ならばと卒業後に上京、テレビの歌番組に司会者として呼ばれたこともあるが、上手くはいかなかった。


「最近は関西出身の芸人が東京で活躍していますが、当時、全国放送での関西訛りは受け入れられませんでした。標準語を話してみても、やはりお国言葉じゃないですから。自分らしく、自由にしゃべれませんでしたね」


 10年と経たずに関西に戻った浜村は、再びジャズ喫茶やラジオ局で解説を始めた。なかでも「ジャズ喫茶はいい経験になった」という。


「テレビと違い、お客さんの反応がその場で返ってきます。特に大阪のお客さんは厳しくて、『単なるジャズの解説では30分ももたへん。1000円払うたら1000円分笑わせてくれんと承知せんで』と言われました(笑い)」


 模索するうちに生まれたのが、出身の京都弁に近い関西訛りで、ゆっくりと聞かせる“浜村節”だった。


「関西でやるなら、地元言葉の方がより親しんでもらえます。かといって、本当の話し言葉では品がありません。僕が話すのは関西訛りですが、文字にすると標準語のしゃべり方なんです」


 1974年、39歳で始めた『ありがとう浜村淳です』は、長く愛される番組に成長した。それを陰ながら支えてきたのは、9つ年下の妻だ。


「奥さんは、自分の服を買いに行っているのに、僕に似合うものがあると、自分は買わずに僕のものだけを買ってくるんです。朝は僕より早く起きて、食事から洋服の準備までして送り出してくれますね。ずっと僕に合わせた生活を続けてくれています」


 振り返れば半世紀近くに及ぶ番組史。リスナー500人とハワイに行くなど、これまで20回以上もの「旅行会」を実現。アラン・ドロンソフィア・ローレン、故・石原裕次郎をゲストに迎えたこともある。今もリスナーにとって、「分かりやすく、面白く、ためになる」の三拍子そろった番組を提供し続けるのが、浜村の願いであり喜びだ。


「放送50周年を迎えたい。そのためには、あと5年は続けたいですね」


●はまむら・じゅん/1935年、京都市生まれ。パーソナリティ、映画評論家。同志社大学在学中からジャズ喫茶などで司会の仕事を始める。独特の語り口で人気を博し、1968年から『全日本有線放送大賞』(読売テレビ)の司会を24年間務め、1974年放送開始のラジオ番組『ありがとう浜村淳です』(毎日放送)は46年目に突入。2011年、第37回放送文化基金賞・放送文化賞を受賞。


■撮影/佐藤敏和 ■取材・文/戸田梨恵


※週刊ポスト2019年5月31日号

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