「わた定」で話題 「クライアントからの誘い」をどう断るか

5月22日(水)7時0分 NEWSポストセブン

ドラマ『わたし、定時で帰ります。」の公式サイトより

写真を拡大

 これまでのお仕事ドラマとは一味違った切り口で、働く人たちの心をワシづかみにしている『わたし、定時で帰ります。』(TBS系列、火曜10時)。「定時に帰ること」「有給を100%消化すること」をモットーにウェブ制作会社で働く東山結衣(吉高由里子)がヒロインのドラマである。


 5月14日に放送された第5話のテーマはズバリ「セクハラ」だった。職場でのセクハラ問題が論じられるようになって20年以上が経過しているが、いまだにこの単語が聞かれなくなることはない。同話では「クライアントから“定時後”に誘われる」ところからセクハラへとつながっていく。現実社会でもクライアントから飲み会などに誘われることはあるだろう。異性のクライアントから「自分1人だけ」誘われれば誰でも警戒するが、断りにくいのも確かだ。


 ドラマ第5話でもこんなシーンがある。ヒロイン・東山結衣が勤務するウェブ制作会社ネットヒーローズに派遣社員として勤める女性デザイナー桜宮彩奈(清水くるみ)が、クライアントであるスポーツ用品メーカー「ランダー」の中西(大澄賢也)らから飲み会に誘われる。東山やその上司の種田晃太郎(向井理)は「セクハラでは」と疑うが、桜宮本人も「私、飲み会が好きなんです」と釈明するのだった。


 桜宮は東山に「相手に気をもたせるレベルでやめている。効率よく仕事をしたいんです。相手がこっちの意見を尊重してくれるようになれば、仕事もうまく進みますよね」と言い、“女性であることを仕事に活かしている”ことをほのめかす。「本意ではないが、これも仕事のため」というわけだ。


 その後、重大な事件が起こる。中西が会社帰りのタイミングで電話してきて、「今からジョギング会に参加しないか」と桜宮を誘ってくる。駆け付けた桜宮に「商品モニターの子が急遽、来られなくなってしまった。代わりに試作品のウェアを着てみてくれないか」といって、露出度の高いウェアが渡される。桜宮は「いいよ、別に嫌だったらやらなくても」という中西の言葉にうろたえるが、結局、引き受けてしまう。


 派遣社員である桜宮からすれば、派遣先の「ネットヒーローズ」も、その取引先の「ランダー」もクライアントである。受け取る側によっては「パワハラまがい」「セクハラまがい」となりかねない行動を、軽い気持ちでしてくるクライアントは、今すぐいなくはならない。そういう人ともうまく仕事をしていかねばならない。


 断りにくいクライアントからの誘いにどう対応すべきか。仕事のモチベーション研究などを行う菊入みゆき明星大学特任教授はこうアドバイスする。


「個人ではなく、会社組織で仕事をしていることを意識しましょう。それは窮屈なこともありますが、時に大きな力となって自分を守ってくれるものでもあります。


 例えば、会社のルール、規則を理由にして誘いを断ることができます。『お誘いいただき、ありがとうございます。会社の規則で、そのようなお付き合いは禁止されていまして、うかがうことができないのです』というように、誘いへのお礼を述べたうえで、断りましょう。あるいは、上司を持ち出すのも一案です。『上司とも相談しましたが、今回は失礼させていただきます』という具合です」


 さらには、そもそも個別の誘いを受けないようにするために予防線を張っておくのも効果的だろう。菊入氏が続ける。


「常に複数の人とともに仕事をしていることを、折に触れて、取引先にも伝えておきましょう。『その件は、上司とも相談します』『御社との先日の取引に関して、当社内でも報告しましたが、非常に高い評価を受けました』などです。相手に、『この人には、会社組織や上司などの後ろ盾がある』と認識してもらうことが大切です。これは、『この人は会社の中の人脈をしっかり築き、社内でも認められている、できる人なのだ』という印象を形成することにもつながります。


 また、断るときには、まっすぐ相手を見て、毅然とした態度で、最後の言葉まではっきりと言いましょう。過度に申し訳なさそうにしたり、語尾をあいまいにしたりしてしまうと、『本当はそう思っていないのでは?』と受け取られることもあります」


 こうして上手に断っていれば、夜や休日の誘いを断っただけで仕事の依頼がなくなるといったリスクは減るはずだ。それはもちろん、仕事の実力があれば、だが。


 ドラマで桜宮は「私程度の腕じゃ、デザインより人付き合いで仕事を取るしかないと思って……」と語っていた。人間関係が良好になることで、仕事が円滑に進むということは当然ある。ただし、それが異性としての魅力でのみ成り立っているときは、長続きしないだろう。


 もちろん、仕事ができる人は異性としてもモテるケースは少なくないわけだが、それは結果としてであり、目指すべきものではない。異性としてより、仕事人としてモテることを目指したいものだ。取引先であっても、言うべきことは言う。そうした対等な関係であってこそ、仕事人としてモテるし、より長く適度な関係性が築けるはずだ。


 ドラマで吉高由里子演じる東山結衣は、チームのメンバーを守るためにクライアントに言いにくいことも言う。毅然とした態度は、仕事人として信頼できる。キュートな外見だけでなく、果断なヒロインの姿勢には見習うべきものがありそうだ。


●取材・文/岸川貴文(フリーライター)

NEWSポストセブン

「ドラマ」をもっと詳しく

「ドラマ」のニュース

トピックス

BIGLOBE
トップへ