『街並み照らすヤツら』監督&脚本家が語る急ピッチ制作の裏側 森本慎太郎が現場を照らす「太陽」に

2024年5月23日(木)5時0分 マイナビニュース

●第1話は「先のことも決めずに興奮しながら書いた」
SixTONES森本慎太郎が主演する日本テレビ系ドラマ『街並み照らすヤツら』(毎週土曜22:00〜)。当初予定していた小学館漫画原作ドラマの制作が中止となったことから、急きょ立ち上がった企画だ。
連ドラは通常1年以上準備をかけて撮影に臨むが、企画の立ち上げからクランクインまでの期間はわずか1か月。このチャレンジングな作業に挑んだ監督の前田弘二氏と脚本の高田亮氏に、話を聞いた——。
○“人がどう動くか分からない”という作りにすればできる
今作の立ち上げについて、前田氏は「制作期間がなかったから、ガッツリとしたストーリー展開で見せるというのは難しいだろうと思ったので、“人がどう動くか分からない”という作りにすればできるんじゃないかと最初スタートしました」と回想。そこで、シャッター商店街の人たちが偽装強盗の保険金で店を立て直そうと思ったら、集まった人がポンコツで様々なトラブルが起こる——という企画の骨子が作られた。
これを前田氏から聞いた高田氏は「前々からクライム・コメディをやりたいという話は(前田)監督ともしていて。でも、連続ドラマだと長い話を作らなきゃいけないのに、1店舗の偽装強盗のトラブルで10話ももつのかなと不安があったんですけど、商店街を巻き込む騒動になるというアイデアが出たんです」と明かす。
この商店街の登場人物のキャラクターを作るときに、「街を牛耳ってるも商店会長が二世な感じでお仲間だけ優遇してるとか、街全体を日本の縮図みたいにできるかもしれない」と思いついた高田氏。「すごくバカバカしいところと、日本の現状を映すようなところが両方同時にできるというのが面白いんじゃないかと思ったら、すごく気持ちが高まってきて、1話は先のことも決めずに興奮しながら書いた覚えがあります」と、ハイ状態で一気に筆が進んだという。
だが、「5話目を書き終わったところで、猛烈に疲れが襲ってきました(笑)。前半は伏線をばらまいて、後半に行くにつれてそれを閉じる段階になって“何やってないんだっけ!?”と思うようになり、僕的には今、ピンチです(笑)。今までは1週間でプロットを書いて、1週間で台本を書くぐらいのペースだったんですけど、最終話は結構時間かかってます(笑)」と、終盤になって苦戦しているそうだ。
○スタジオセットの完成度が大きな刺激に
前田氏と高田氏が、映画『婚前特急』『わたしのハワイの歩きかた』『セーラー服と機関銃—卒業—』などでタッグを組み、互いの自主製作映画を手伝い合う間柄だったことも、急ピッチの作業でプラスに働いた。
高田氏は「脚本って、監督の好みが見えてないと、あんまり思い切ったことがやりづらいんです。短期間でなるべく早くOKをもらわないといけない状況だと、わりと安牌を狙ってしまうようなことがあるかもしれないんですけど、前田監督だったら“おかしな人間を出せば出すほど喜んでくれるだろう”っていう感じがありますし、ロープの結び方を思い出そうとしたら影絵が出てきちゃう(=第1話)みたいなことをやっても、笑ってくれるだろうなと思ったので(笑)、わりと思い切って書けるのがすごく楽でしたね」と実感を語る。
前田氏は「ドラマで言えばクドカン(宮藤官九郎)さんとか、福田雄一さんとか、いろんなタイプのコメディがある中で、どうせオリジナルでやるなら彼らとはまた違うタイプのものをやりたいなと思うじゃないですか。その時に、(気心の知れた仲の)高田さんとやりたいなと思ったんです」とオファーしたのだそう。高田氏と、もう1人の脚本担当である清水匡氏は、別の仕事がたまたまずれ込んだことで奇跡的にスケジュールが確保でき、今回の作品を受けることができた。
撮影まで時間のない中で作られた商店街のスタジオセットを見て、驚きを隠せなかったという2人。前田氏は「主人公のケーキ屋さんの前のアーケードの延長線上の道を作ってほしいと言ったら、すごく良いセットを作ってくださって、それでまたテンションが上りましたし“これは本当に良い作品にしなきゃダメだな”とモチベーションが上がりました」といい、高田氏は「セットを見た時は、“これ、もうできてるんですか!?”ってびっくりしました。ビリヤード場の飾り込みもカッコいいし、それで我々脚本チームも盛り上がりました」と、大いに刺激になったようだ。
●森本慎太郎が持つ「不思議な安心感」
撮影現場の様子を前田氏に聞くと、「役者さんが皆さん明るくて、コメディでもあるので、ずっと笑いが絶えない現場です。オリジナルだと与えられた役を自分のものとして演じていて、高田さんと清水さんが書いてくれた脚本を面白がっているのが大きくて、“これどうなるんだろう!?”というスリルも含めて、毎回キャッキャキャッキャ楽しくやっています(笑)」と紹介。
その背景には、キャスト陣のキャラクターもあるそうで、「森本(慎太郎)さんも森川(葵)さんもハマケン(浜野謙太)さんも根が明るいので、そこは本当に助けられています。みんなで素直に楽しく撮ってる感じがあって、とても気持ちの良いストレスのない現場です」とのことだ。
特に主演の森本は、座長として現場の空気感を作っているのだそう。
「森本さんは現場を明るくしてくれる太陽というか。人に気をつかわせないし、まっすぐだし、本当に気持ちがいい人です。芝居でも繊細な部分もしっかり演じて、いろんな話ができるという意味でも、役においても森本さんが持ってる柔らかさが、いい具合に溶け込んでいます。今回、おかしな人たちがいっぱい出てくるんですけど、それを無理なく許容してくれるのがいいんですよね。森本さん自身の持ってる資質だと思うし、どんな人が来てもたぶん大丈夫という不思議な安心感、明るさがある。それが役者としてすごく魅力的だなと毎回感じます」
具体的なエピソードとして、「自分の子ども時代を演じた“チビ正義”に、“グッモーニン!”って言いながらスタジオに入ってくるんですよ(笑)」と挙げ、「そういう空気を明るくするパワーがあって、それも正義を演じる上でとてもいいですよね。犯罪でギスギスした空気をポーン!とひっくり返してくれるようなユーモアが、役にもすごく生かされています」と感謝した。
○第5話で初回冒頭の伏線回収へ
25日には第5話が放送。前田氏は「正義(森本)と彩(森川)、そして街を代表する大村(船越英一郎)と正義、この2つの人間模様が色濃く出る回になります。この話がどこに向かっていくのかというのがはっきり出る回だと思います」と見どころを語る。
また、第1話の冒頭で、正義が火事の現場から人を運び出したように思われるシーンがあったが、藤森真実プロデューサーは「その回収もあります」と予告している。

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