【劇場アニメレビュー】シリーズ初プレイのドキドキが甦る!?『バイオハザード:ヴェンデッタ』

5月26日(金)20時0分 おたぽる

映画『バイオハザード:ヴェンデッタ』公式サイトより

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 カプコンの人気サバイバル・ホラー・ゲーム『バイオハザード』の映画化といえば、先ごろ完結を迎えたばかりの実写版シリーズがあまりにも有名ではあるが、フルCGアニメーション・シリーズも忘れてはいけない。 

 ストーリー的にはゲーム版『バイオハザード2』の続編とし、かつて米国中西部の工業都市ラクーンシティの人々を次々とゾンビ化していったアンブレラ社のT-ウィルスが、その後テロリストたちの手に渡ったという設定の元、バイオテロ撲滅のために戦い続けるレオン・S・ケネディ(大統領直属エージェント)とクレア・レッドフィールド(NGO「テラセイブ」に属し、バイオテロの被害者救済に尽力)を主人公とする『バイオハザード ディジェネレーション』(08年)。

『バイオハザード:ヴェンデッタ』はゲームをプレイしてなくてもまったく問題なく見られる作りにはなっているが、やはりこのふたりの登場はバイオ・ファンにとってはうれしいところで、マニア心をくすぐる設定も多々あり。またゲームからこの世界観に接した者からすると、実写よりもフルCGのほうが入り込みやすい利点もある。

 その続編『バイオハザード ダムネーション』(12年)はゲーム版『5』と『6』の間に挟まる内容で、主人公はレオンだがクレアは登場せず、代わって『2』や『4』『6』でおなじみで謎の東洋女スパイ、エイダ・ウォンが暗躍。東欧の小国独立運動を背景に、生物兵器の実戦投入をめぐる危機が描かれる。

 と、ここまでは『日本沈没』(06年)『GANTZ』(11年)などの特撮監督として著名な神谷誠監督によるダイナミックかつゲーム版の世界観にこだわった画作りがなされていた(この2作の経験が功を奏してか、彼は16年の実写ゾンビ映画大作『アイアムアヒーロー』の特撮監督を務めている)。

 しかし最新第3作『バイオハザード:ヴェンデッタ』(17年)は、監督を『THE NEXT GENERATION パトレイバー』シリーズ(14年/エピソード2・4・8を担当)などの辻本貴則にバトンタッチ。制作会社も一新され、またエグゼクティブ・プロデューサーに『呪怨』シリーズで世界に名を馳せる清水崇を迎えている。

 このことで、本作が前2作以上にホラー色に力を入れていることが予想できるかと思うが、特に今回、冒頭での武器密売拠点でもある謎の洋館における攻防戦でのショッキングな描出の数々は特筆的。主に画面の奥に蠢くゾンビがいきなりこちらに飛び出してくるかのような演出に、ゲームを初めてプレイしたときのドキドキ感が甦ってきたほどで、正直映画を見ながら幾度も椅子から飛び上がってしまったほどだ。

 今回の主人公はクレアの兄で対バイオテロ組織「BSAA」に所属するゲーム版でも人気の高いキャラ、クリス・レッドフィールドと、元ラクーン市警特殊部隊「S.T.A.R.S.」に所属していたレベッカ・チェンバース。両者が国際指名手配犯グレン・アリアスの凶悪かつ狂大なるバイオテロの陰謀に対峙していくのだが、それに伴い、CGアニメ版の顔ともいうべきレオンも登場する。

 クリスとレオン(前2作およびゲーム版の数々の戦いで疲弊しきったか、今回はすっかりやさぐれたおっさん状態で登場するあたりがナイスだ)のタッグは、ドラマ後半のNYバイオテロをめぐるスリリングな攻防戦でのバイオレンス・アクション・シークエンスで魅力を放つ。特にバイク・チェイスのくだりは、ガン・アクションにこだわりを持つ辻本監督の長所が最大限に発揮された白眉たるものといってもいいだろう。

 そして、これらの秀逸な演出を裏付けするCG技術の躍進には本当に圧倒させられる。前2作を初めて見たときも、その都度斬新な映像に驚かされたものだが、今回はさらに進化した、リアルながらもどこかフルCGアニメ映画ならではの独自の味わいをきちんと湛えたセンスに感服させられる。ちょうど同時期、セルルックCGアニメ映画『BLAME!』のクオリティの高さに圧倒されたばかりだが、こちらも負けず劣らずのすばらしさ。

 かつてはCGアニメのCG臭とでもいうべきのっぺり感や動きのぎこちなさなど、かなりの部分で見る側が補完しないといけないような時期もないわけではなかったが、今のCGアニメは、ある種実写にもセルアニメにもない魅力を発散するようになってきていて、その分新作を見るのが俄然楽しみになってきている。

 一方で神谷誠にしろ辻本貴則にしろ、実写だの特撮だのアニメだのといった垣根を優に通り越したところでのエンタメ的活動に勤しむ優れたクリエイターがごく自然に増えてきている事実にも、今後の日本のエンタメ界に希望が持てるところで、あとは企画する側のセンスなどに期待したいところではある。

 いずれにしてもこれからのCGアニメの躍進から当分目を離せなくなりそうである。
(文・増當竜也)

おたぽる

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