【美空ひばりさん没後30年】後援会メンバーが、令和に語り継ぐ「ひばり伝説」

5月26日(日)20時0分 週刊女性PRIME

和也さんがお祝いの鯛を取り分けてア〜ン。豪華な伊勢エビ、赤飯なども並ぶ

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 1枚の写真がある。平成元年(1989年)5月29日、誕生日を祝う大きな特製のケーキにナイフを入れようとポーズをとる美空ひばりさん。入院中の病室で撮られたと見えて、パジャマ姿にノーメイク。かたわらには長男・和也さんが、はにかんだ笑顔を浮かべて立っている。

 写真から約1か月後の6月24日、昭和の歌姫・美空ひばりさんは、惜しまれつつ世を去った。まだ52歳の若さだった。

 あれから30年─。

 元号が『令和』に変わった今も、ひばりさんは人々に愛され続けている。

■目をつぶって聴いてほしい



 熱心なファンの集まり『美空ひばり後援会』では、毎年欠かさず「生誕祭」を開き、フィルムコンサートなどでひばりさんを偲んでいる。中心メンバーの3人、網中紀子さん、尾松不美江さん、河野ルミさんに話を聞いた。



網中「私たちにとって5月29日は特別な日です。ひばりさんがオギャーと生まれてきたからこそ、たくさんの素敵な出会いや思い出ができた。平成2年に“みんなで集まってビデオを見ようか”と何の気なしに声をかけたら、銀座の『十字屋ホール』に入りきらないくらいの人が集まって」

尾松「急きょ昼夜の2回やりました。翌年は『新宿シアターアプル』、さらに翌年は『日比谷公会堂』と会場が大きくなって、ここ数年は『浅草公会堂』でやっています」

河野「フィルムコンサートは毎年内容が変わって、ひばりプロさんが映像を編集してくれるんです。オープニングにも締めくくりにも、ふさわしい曲がいっぱいあるから、どんな構成か楽しみです」

網中「前半の第1部は、映像なしで名唱・名歌を聴いてもらいます。みんなに目をつぶって、ひばりさんの歌だけを聴いてほしい」

尾松「ナビゲーターには今年も神津カンナさんを迎えて、MCの私がお話を聞く予定です。カンナさんは中村メイコ先生の娘さんだから、ひばりさんのエピソードをいっぱいご存じで、すごく好評です」

 3人とも半世紀以上にわたる熱心なひばりファン。



■みんな夜は何してるの?





網中「コンサートなどを追っかけているうちに、楽屋での仕事のお手伝いをするようになりました。後援会からお手伝いみたいな形で毎回2人ずつぐらい行ってたんです」

尾松「網中さんは東京、私は関西地区の後援会。大阪・新歌舞伎座や梅田コマ劇場でお手伝いをしていました」

網中「でも、私はひばりさんの威圧感というかオーラを強く感じちゃって……。舞台が終わって楽屋に戻ってくるとき、のれんを(頭が引っかからないように)上げて待っているのも仕事なんですけど、間近すぎて“目のやり場”に困りました」

尾松「あなたはいつも下を向いてたよね(笑)」

網中「だって、半端じゃないオーラなの。どんな人が出てきたって敵わない威厳が身についていた。もしかしたら、ひばりさんはそれだけ孤独だったのかもしれないけど、私には本当にまぶしかった」

河野「私も性格的には緊張感に弱いほうだから、楽屋には入らなかった(笑)。でも、全国どこにでも追っかけて行きました」

尾松「だから、ひばりさんにも覚えられていたよね」

網中「昭和52年だったか北海道の釧路で、ひばりさんと同じホテルになって“みんな夜は何してるの?”って声をかけられたでしょ」

河野「あれは困った(笑)。最初は黙ってたんだけど、何回も聞かれるから“ひばりさんが新宿コマ劇場でやったショーをまねして歌ってます”って言ったら“やって見せて”って言われちゃって」

網中「ひばりさんは素人の芸を大笑いして見るのが大好きなんです(笑)。宴会の余興とかも楽しみにしていました」

河野「恥ずかしいけど覚悟を決めてやろうと思ったら、ほかのお客さんがレストランに入ってきて、ひばりさんは出て行かれました。惜しいことをしたかも(笑)」

 冒頭の写真の話に戻ろう。

 東京ドームでの伝説の「不死鳥コンサート」の後、ひばりさんは再び病魔に倒れ、平成元年3月、順天堂大学病院に入院。殺風景になりがちな病室を“楽屋にいるような雰囲気にしよう”と飾りつけたのは網中さんたちだ。

網中「ひばりさんが退屈しないようにと、ハワイアン調の花柄の生地を買って衝立に掛けたんです。枕カバーも作って、喜んでもらいました。

 誕生日には病室にいたみんなが、写真の和也さんの位置に代わりばんこに立って、一緒に写真を撮ってもらいました。私も1枚だけ持っていて、大切な宝物です」





■虫の知らせだったんでしょうか



 一方、尾松さんと河野さんはテレビ局にいた。

 午後2時からテレビ朝日で『お誕生日おめでとう!!ガンバレ!美空ひばり』という特番が生放送され、後援会のメンバー約500人も観覧。ゲストの近藤真彦、岸本加世子らとともに、ひばりさんを励まそうとお祝いのメッセージを送った。

尾松「1時間の生放送ですよ。小粒なスターばかりになった今の時代では考えられない」

河野「あんな番組ができちゃうんだもんねぇ」

尾松「あとで、ひばりさんに食べてもらおうということで、スタジオでケーキを作ったり」

網中「もちろん、ひばりさんも病室のベッドでテレビを見ていて、知っている顔を見つけては、誰それが出てるー、って喜んでいました。すごく勇気づけられたと思います」

 司会者はひばりさんに“もし元気にテレビを見ていたら、番組あてにお電話をください”と何度も呼びかけた。

網中「それで(付き人の)範子さんが番号を大きくメモ書きして、ひばりさんに渡したけど、とうとう最後まで受話器は持たなかった。かける気はなかったみたい。

 どうして? こんなに元気なのに、ってのは私の疑問だったのね。でも、虫の知らせだったんでしょうか。それから1か月もたたないうちに、急にお別れが来てしまいました……」

 最近、3人にとってうれしい出来事があった。長年にわたってひばりさんを支え、その最期を看取り、現在もひばり邸に住み続ける付き人・関口範子さんが、初めての著書『美空ひばり恋し お嬢さんと私』を出版したのだ。



網中「もともと範子さんも後援会で、私たちの先輩ですから。まさに“生き字引”的な存在。何でもよく覚えているのにびっくりします」

尾松「範子さんはひばりさんのドレスの色から曲目から、ぜんぶメモに記録していました。優秀な秘書であり、本当にファンだった」

河野「30年は長いですよね。そんなにひとりのことをずっと思っていられるのかしらと思ったけど、範子さんも、私たちも、みんなが思っているのよね。ひばりさんの満面の笑顔、あの声、歌い方……。大好きです!」

《INFORMATION》

『第82回 美空ひばり生誕祭』5月29日(水)12:00開場、13:00開演 会場/浅草公会堂 入場料/当日3500円(税込み)

週刊女性PRIME

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