美人棋士・竹俣紅が語る「アタック25に優勝した森内俊之師匠とのこと」

5月27日(日)17時0分 文春オンライン

大学生活を送る傍ら、棋士として、そして『東大王』をはじめとしたクイズ番組でも大活躍中の竹俣紅さん。注目の俊才、そのクイズな日々と素顔とは一体? 木曜4限が終わる頃、早稲田でインタビューはスタートしました。(全2回/ 後編 へ続く)






「東大王キラー」と呼ばれて


——今日も講義が何コマかあったんですか?


竹俣 はい、受けてきました!


——早稲田大学2年生で、棋士としても活躍している竹俣さんですが、最近は『東大王』をはじめとしてクイズ番組での活躍が印象的です。「東大王キラー」とまで呼ばれて。


竹俣 いやいや、私なんてクイズ初心者ですから。自分なんかが出ててもいいのかなって感じです、本当に(笑)。



——クイズの力は出演するごとに上がっている実感はありますか?


竹俣 ほやほやの初心者から少しずつ前進して、やっとアマチュア15級から10級くらいにはなれたかなって感じです。まだまだですね。


——クイズ歴をお伺いしますが、初めて出たクイズ番組って覚えてますか?


竹俣 何だろう……『ミラクル9』かな。小学生の時に『ネプリーグ』に出たことはあるんですが、クイズには参加していないんです。私は「ネプキッズ」としてトークコーナーに出演しただけでした。



——先日の『東大王』ではついに、東大王チームの鈴木光さんよりも早く「夏目漱石」って正解する場面もありましたよね。漱石独特の当て字なんかがヒントで出てきて、「この作家は誰?」という問題でした。


竹俣 あれはたまたま運がよかったんです! ちょうど大学の「言語表象論」で作家の直筆原稿を分析するレポートを書いた直後だったので。面白い講義で、他にも川端康成の手書き原稿を見て、その特徴を分析したりするんです。マス目からはみ出した書き方をする作家がいたり、人によってこんなにも原稿の使い方が違うんだって、新鮮でした。


就活用の一般常識問題集を電車で読んでます


——あの問題は早押しならぬ「速書き」で答えるものでしたが、瞬発力で答える問題は得意なんですか?


竹俣 運動オンチではあるんですけど(笑)、ひらめき系のクイズは得意で、『潜在能力テスト』に出演したときも割とスッと答えが出てきます。そのためには、基礎的な知識力がなくてはならないので、書店で就活用の一般常識問題集とかを買って、通学中に電車の中で読んだりしてます。



——勤勉ですね。そんな竹俣さんからみて、クイズ番組の共演者で、この人すごいって思う人はいますか?


竹俣 藤本(敏史)さん!


——フジモンさん。すごいんですか?


竹俣 知識を超える発想力があると思うんです。例えば『東大王』で「『捌く』、何て読む?」という問題が出たときに、藤本さん、見たことがない漢字だったのに「さばく」って正解したんですよ。「手偏に“別”だから、手で別にする、さばく」って考えたそうですが、推理力というか、その頭の構造がすごいなあって、感動しました。オードリーの春日さんもそうですが、芸人の方は想像力で知識を補う才能を持っているように思います。



クイズ! 「絶起」ってどういう意味でしょう?


——BS朝日『クイズ モノシリスト』にも出演されていますが、こちらは出演者それぞれが問題を持ち寄って、答えを考えつつ、うんちくを披露し合うようなクイズトーク番組みたいな感じですよね。


竹俣 はい、対決するような戦いの雰囲気はなくて、平和な番組です(笑)。正解がなかなか出なくても、近い答えが出るとみんなで「おおーっ」と盛り上がったり、脱線トークもあって和気藹々です。



——初回に竹俣さんが出題されたのが……。


竹俣 「若者ことば『絶起』。どういう意味でしょう?」。絶望の起床ってことで、私たちの世代では、授業があるのに寝坊してしまったときに使われています。私は寝坊で遅刻したことはないですよ(笑)。


——いとうせいこうさん、市川猿之助さん、日本クイズ協会の原孝寿さんたち出演者のみなさんが「絶起? 薬?」みたいに盛り上がってました。


竹俣 みなさん控え室でも自然と問題出し合っていて、第2の収録現場みたいになっているんですよ(笑)。初回収録のときですけど、差し入れのおいなりさんの箱にも問題が付いていて楽しかった。



——どんな問題だったんですか?


竹俣 「番組の最初においなりさんを出すのは縁起がいいと言われています、その理由とは?」。ヒントは、おいなりさんを作るときを想像してみてください。


——酢飯を詰める??


竹俣 詰める前に手にする油揚げ。裏返して作るおいなりさんもありますよね。「裏を食う」は「裏番組を食う、さらに上に行く」に通じるということで、縁起がいいと。



——ははあ、なるほどー。


竹俣 なので、現場にいるだけで自然と頭が良くなっていきます(笑)。クイズ番組に出ていると、そういうことが多くて、以前のことですが「答えはシイタケ」というVTRをスタジオで見ていたら、隣にいたやくみつるさんがシイタケ雑学を教えてくださったり。「これ、覚えておいたほうがいいよ」って。


——さすが、クイズおじさん。


竹俣 私は小さいころから将棋ばかりしてきたので、普通の人が知っていることも案外抜けていたりするんです。クイズ番組を通して、大げさかもしれませんが人間力や生きるための知識を蓄えているような気がしています。



やくみつるを破って優勝した、森内九段


——竹俣さんの将棋の師匠は『アタック25』で優勝経験もある森内俊之九段ですよね。


竹俣 それこそ、やくみつるさんを破って優勝されたと伺っています。


——師匠とクイズのお話をしたことはあるんですか?


竹俣 小学生のときに将棋を教えていただいていた際、奥様が「紅ちゃんにクイズも教えて差し上げたら?」って、よくおっしゃっていて。でも、森内先生は「僕はもう、今のクイズは分からないから」って。でも、絶対に強いのにって思ってました(笑)。



——本当は教えて欲しかったですか?


竹俣 そのときはまさか、自分がクイズ番組に出るようになるとは思っていませんでしたからね……。今となっては、教えていただいていたら、もっと強くなっていたかなあって思います。



高3で「1年休業」した理由


——師弟のことでお伺いしなければなりませんが、竹俣さんが高校生の時、対局の「記録係」を避けていたがために師匠から怒られて、関係が悪くなったという話があるようです。これは……。


竹俣 全くそれはないですよ。なぜかそういう話になっていて、本当におかしなことです。事実と全く違うことばかり書かれてしまって、大変な被害でした(笑)。女流棋士の学生はそもそも記録係が免除されるという規定になっているんです。



——高校3年生のときに公式戦の対局を1年休場されました。それはどうしてだったんですか?


竹俣 高2のときに私は女流王位戦で予選を抜けて上位リーグに入ったんです。ところが、リーグに入ると対局数が多くなって、ある授業の単位が足りなくなってしまったんです。対局日に重なった授業をたくさん休んでしまったからです。高3は、きちんと卒業できるように対局は日曜日か放課後にしてもらなさいと学校側から言われたのですが、それは無理だったので高校卒業を優先させていただきました。


——その間、将棋のほうはどうしていたんですか?


竹俣 もちろん、対局自体からは離れてしまいますからブランクは生じます。ただ、できる限りのトレーニングは、もちろんしていました。



——いま、師匠とお会いすることはあるんですか?


竹俣 師匠は今、日本将棋連盟の理事になりましたので、とにかくお忙しそうです。私が将棋会館に行くと、いつも書類を抱えられてます。お会いすればもちろん、お話しします。


クイズで身に付けたい将棋の「第六感」


——竹俣さんの現在の活躍には、どんな言葉をかけられるんですか?


竹俣 「学業と将棋と芸能と頑張ってください」と、応援の言葉をいただいています。


——直接指導を仰ぐことはないんですか?


竹俣 師匠からは、私が中2でプロの女流棋士になったときに「将棋のことは、これから自分で全てやりなさい」と言われました。ですので、それ以来、ご指導いただいたことはないんです。



——では、今こそクイズの指導を伺ってみてはどうですか?


竹俣 いえいえ、畏れ多いことです。『モノシリスト』に出演されている経営コンサルタントの鈴木貴博さんがその昔、師匠とクイズをご一緒したことがあるらしくて、「森内さん、すごい強かったんだよ」って教えていただきました。でも鈴木さんが「あの人はクイズの才能があるのに、将棋やってるんだよね」って言うので、それは「いやいやいやいや、なんてことを!」って(笑)。


——クイズプレーヤーとしての経験値が、棋士としての力になっていると感じることはありますか?


竹俣 将棋は理屈で詰めて行く部分もありますけど、やっぱり最後は秒読みに耐えうる勘とかひらめき、第六感が大事になってくると思います。まだまだ修業中の身ですが、クイズを通してそんな力が身についていけばいいなあと思っています。



※後編〈 美人クイズ棋士・竹俣紅「天才少女が『ワイドナショー』で芸能界デビューした理由」 〉に続く


写真=佐藤亘/文藝春秋



たけまた・べに/1998年、東京生まれ。6歳から将棋を始め、森内俊之九段に師事。2012年、14歳で女流プロ入り。現在、女流初段。渋谷教育学園渋谷中学・高校を卒業し、2017年に早稲田大学政治経済学部入学。経済学専攻で、大学の将棋部に所属している。




(「文春オンライン」編集部)

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