もしも今「月刊ベイスターズ」を作ったら……元編集長の妄想企画会議

5月27日(日)11時0分 文春オンライン

 20年ぶりの優勝に向けて熱戦を繰り広げているDeNAベイスターズ。開幕から連勝したかと思えば連敗。巨人相手に筒香の3発など6本塁打10得点で大勝したかと思えば、次の試合では今季初登板の40歳・山井の前に散発4安打で零封負け……と、ファンの皆さんは今年のチームは果たして強いのか弱いのか何ともいえない日々を過ごしているのではないだろうか。とはいえ、混戦模様の展開が予想される今シーズンのセ・リーグで、ゴールデンウィーク終了時点で勝率5割ラインをキープしているわけであり、ここからが本番のペナントレースはますます面白くなっていくことだろう。


 私が現役の頃(といってももちろん選手ではない。月ベイ編集長の頃ということです)も、開幕直後のホエールズ・ベイスターズは好調を維持していたものだった。「今年こそは……」「もしかすると今年は本物か?」などと淡い期待を寄せたのも束の間、ゴールデンウィークが終わる頃には失速しているというのが大まかなパターンだった。また2005年にセ・パ交流戦が始まってからは、開幕後の1ヵ月を乗り切ったとしても交流戦でパ・リーグのチームに叩かれて失速というパターンが多かった。それだけに、今シーズンも交流戦でのパ・リーグチームを相手にどのような戦いをみせるのか大いに注目していきたいところである。


元月刊ベイスターズ編集長の妄想企画会議


 さて、昨シーズンの日本シリーズ進出を受けて、20年ぶりの優勝を期待されてスタートを切った今シーズンのDeNAベイスターズ。もしも私が今、編集長として月ベイを作っているとしたら、果たしてどんな誌面の作っているのだろうか? ゴールデンウィークも終わった5月のある日、そんな妄想を楽しんでみることにした。


 開幕から1ヵ月が経過。投手では京山、飯塚、東が、野手では神里、宮本らの新戦力が躍動しているだけに、彼らにスポット当てた特集を組んでいるだろうか。いやいや、この当たりの顔ぶれは、おそらく3月号のキャンプ特集で“今季期待の若手たち”として取り上げていることだろう。ならば、正捕手争いから一歩抜け出した嶺井をピックアップし、インタビューと子どもの頃からの成長をお母さんや恩師の話を交えて構成するヒストリーの二本立ての人気企画『嶺井博希大研究』も面白そうだな……などと考えていたら、なんと左太もも裏を痛めて登録抹消のニュースが。そういえば、こういうアクシデントはよくあったなぁ。月刊誌の宿命といえばそれまでなのだが……(苦笑)。



正捕手争いから一歩抜け出したつつあったが、左太もも裏を痛めて登録抹消された嶺井博希 ©文藝春秋


 発売日直後(ちなみに毎月25日が発売日)の5月29日から始まる交流戦を睨んだ特集も当然外すことはできないだろう。ペナントレースを制するためには重要な鍵となる交流戦を如何に戦い、勝利するのかを探ることになるだろう。パ・リーグにも詳しくかつベイスターズと縁のある解説者の方に分析してもらおう。千葉ロッテでコーチを務めていた青山ヘッドコーチや東北楽天から移籍の中川大やソフトバンクに在籍していたバリオスに話を聞いても面白いかもしれない。


 いやいや、ここは月ベイらしく今年交流戦で訪れる3球場(ヤフオクドーム・ZOZOマリン・京セラドーム)の観戦ガイドやグルメ情報も欠かせないだろう。



優勝した98年の6月号を引っ張り出してみた


 ところで、優勝した98年の6月号はどんな特集をしていたのだろうか。あの年も前年に2位になったことで「今年こそは優勝だ!」と開幕前から意気込んでいた。そしてゴールデンウィーク終了時点では5割ラインを行き来しており、状況的にも今シーズンとよく似ている。ならば、当時の月ベイはどんな誌面だったのだろうか? ということでバックナンバーを引っ張り出してみると……。


 メイン企画は『川村丈夫大研究』。やっぱり大研究シリーズだったか。サブ企画は、当時なぜか勝てなかった甲子園で勝つにはどうしたらいいのかを真剣に(?)考える『甲子園でなぜ勝てないのか』。ちなみに、この企画では「月刊タイガース」の編集長に、相手の立場から分析してもらうという画期的なこともしていた。そしてもうひとつの特集は月ベイの真骨頂ともいえる季節モノ企画『YB選手の梅雨対策』。どの選手もいろいろと工夫しているんだなぁ……。



 それにしても『野球雑誌ではなくファンマガジンである』というのが月ベイ編集の大前提であったとはいえ、ペナントレースや優勝とは全く関係のない誌面だったなぁ……。ちなみにこの号を隅々まで読んでみたが、『優勝』に関する記事はおろか記述も一切なし! さすがは月ベイ! こんなに早い時期から浮き足立ったりはしません(苦笑)。唯一の例外は、「本業ベイスターズファン・副業大学教授」と名乗っていた信州大学の山本哲士教授(当時)の連載コラム。開幕直後に行った権藤監督との対談で「ベイスターズ優勝・日本一」を確信したという哲教授のコラムは「優勝は間違いない! 歴史的な年になる!」と断言し、この誌面の中では異彩を放つ熱量だった。



 DeNAベイスターズが勝利すると、ネット上には『横浜優勝』という文字が躍る昨今だが、おそらく今も月ベイを作っているとしても、きっとあの頃と同じようなお気楽な特集を組んでいることは間違いないだろう。


「まあまあ、そんなに勢い込んでいるとシーズンが終わるまで持たないですよ。勝敗や成績に関することは他の媒体にお任せして、我々ファンは、ベイスターズを楽しみましょうよ」そんなふうにゆる〜くて、のん気なファンマガジンが月ベイなのだから。


 もしも今、月ベイを作っていたら……そんな妄想を楽しんだ5月のある日。ゴールデンウィークにはどこにも出かけることはなかったが、ちょっとしたタイムトラベルを楽しんだ。


※「文春野球コラム ペナントレース2018」実施中。コラムがおもしろいと思ったらオリジナルサイト http://bunshun.jp/articles/-/7273 でHITボタンを押してください。



(岸野 啓行)

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